古代ギリシャの哲学者にエピメニデスという人がいました。

エピメニデスはクレタの人でした。

そしてエピメニデスは「クレタ人は皆嘘つきだ」と言ったそうです。

論理的に考えるならば、エピメニデスもクレタ人ですので、嘘つきということになります。

そうすると「クレタ人は嘘つきだ」というのも嘘ということになり、「クレタ人は皆嘘つきでない」ということになります。

そうするとエピメニデスの言ったことは本当であり、「クレタ人は皆嘘つきだ」というのは本当だということになります。

するとまたエピメニデスのいうことは嘘ということになり・・・。

これが永遠に続きます。

自分だけでは真か偽か話すことができないパラドックスです。

クレタ人のパラドックスと言われるものです。

エピメニデスが自分以外のクレタ人は嘘つきだと言えばパラドックスにならなかったと思います。

クレタ人のパラドックスは、数学のゲーデルの不完全性定理を簡単に説明するときに取り上げられたりします。

ゲーデルの不完全性定理とは、数学で証明も反証もできないものが存在するというものです。

数学の証明は、外から条件を持って来なければなりません。

三角形の合同の証明は、三角形の合同条件がなければなりません。

集合Aを証明するのには、その外側にある集合Bが必要です。

集合Aだけでは証明できないというのがクレタ人のパラドックスと同じです。

では一番外側はどうでしょうか。

それ以上、外側がないために証明も反証もできません。






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