日時: 2022年9月10日(土)14:00
場所: ルネこだいら中ホール
曲目: メンデルスゾーン・バイオリン協奏曲、「英雄」
独奏: 伴野潤(とものじゅん)
指揮: 由井恒志
ちょいと我が家からは遠いが「英雄」を聴けるのなら、と小平まで遠征した。たぶん聴くのが初めての楽団で、しかしホールは二度ほど聴きに行った記憶がある場所だ。
協奏曲の方は、アマオケの演奏会で独奏を務めるのはプロのオケのコンサートマスターや腕に覚えのあるアマオケのコンマスが務めることが多く、歌舞伎で言えば「見得を切る」ような演奏が必要なのに平坦に終始してつまらないことが多かったことから、期待せず出掛けた。前の晩にウェブでこの日の独奏者を検索し、「みんなのヴァイオリン教室小竹向原」by Jun Tomonoの先生ということが分かっていた。これはこれまでになかったパターンであり、20%興味津々、80%懐疑的だったのが正直な話だった。主目的は「英雄」だったのである。
前の晩の調査?でもうひとつ分からなかったのは、i-Amabileの記事の項目に指揮者が書かれていなかった点だ。指揮者無しで演奏するのか、独奏者が指揮も兼ねるのか、謎のまま現地に向かう。会場に入りプログラムを読むと、オケの代表による「ごあいさつ」のコラムの中で「指揮は当団代表の由井恒志が務めます。」とさらっと書いてあった。これだけ。
さて本番はどうだったか。
協奏曲の方で素晴らしい体験をさせて頂いたのです。
大袈裟に聞こえるかもしれないが、この曲でこれほど終始楽しんだのは初めてのことだった。オケの音は聞こえ過ぎにならないのだが、細部まで良く聞こえて、曲の構造が分かり易かったし、ソロとよく息が合っており全体が有機的に響き合っていた。ソロは必ずしも完璧とは聞こえなかったけれど、そういうことを考えながら聴くという評論家的態度が恥ずかしくなるような、本質を衝いた、志の高い演奏に思えた。地味なアクションながらもこれほどの演奏をリードした指揮者と相まって、思いもよらぬ心地良い時間に誘われた。何ともありがたいことだった。
ソリストのアンコールではシューベルトの「魔王」のバイオリン独奏版が演奏され、これは熱演であったが、私としては協奏曲で良い気分になったまま休憩を迎えたかった。
さて「英雄」である。小編成に思えるVn6x2、Va 4、Vc2、Cb 2は550人余り収容の中ホールに適量だったかもしれないけど、現実としてはチェロがあと2本ほど欲しかった。素人推量ながら、トゥッティでもフーガでもバランスが悪かったように聞こえた。コロナの影響もあってメンバーが足りなくなったのかもしれない。途中内部のパートのリズムがずれてはっとさせられたこともあったが、これはすぐに立ち直れてほっとした。しかし全体としては大好きな「英雄」を楽しめたのだから、相当な地力があるのに違いない。