さすがに年末ほどのラッシュではないにしろ、この時期になっても週末のアマオケのコンサートは途切れることが無くて、今日は4~5枚我が家に溜まっていたチラシの中からラスベート交響楽団第35回定期演奏会を選んで行く。曲目にベートーベンの田園が入っていたからだ。ラスベートというのはロシア語で夜明けのことだそうだ。数あるアマオケの中で特徴を出そう、とのことでロシア音楽を中心に据えているのと関連している。こういうことを含め、トロンボーン奏者でもある顧問が書いたプログラムの挨拶がとってもとっても興味深かった。幾つかの大学から現役・OBが集まって創設した楽団が一度潰れ、その後今日に至るまでの話、グラズノフチクルスを続けてきた意味、等々、非常に読み応えがあった。アマオケの演奏会のプログラムにこういう内容の一文があったらとても親しみが湧くと思うのだが、現実は「どういう経緯で集まっているのか、ということより演奏を聴いてくれ」という風にしているところがほとんどだ。
コンサートの直前に重めのランチを取ってしまったせいもあり、最初のマイスタージンガーの前奏曲とベートーベンの田園ではうつらうつらしてしまった。まずい、あとはグラズノフの交響曲第7番「田園」だけだ。何十年か前にチャイコフスキーの交響曲を好んだ時期はあったけれど、ここ10年ほどはロシアの交響曲を聴いて良いと思ったことは無いのだから退屈するのではないか。我慢の時間になるのではないか、と心配になった。
演奏が始まると即「あれっ?」と思った。聴こえてくる演奏の集中度が前の二曲とは段違いに高かったのだ。ただのクラシック音楽愛好家に過ぎないのに、自分にそんな判別能力があるとも思えないのであるけれど、たぶん全く初めて耳にする割りと複雑な作りの交響曲を、その心持ちで最後まで楽しむことができてしまった。曲は何回か聴き込まないと構造を理解できそうもない。マーラーのように黙って聴いていても存分にあちこち連れまわしてくれる曲ではなさそうであり、テーマが発展していく曲というよりは接続曲風ではあった。今後そう何回も聞かないだろうとも思うけど、グラズノフが演奏される機会が増えればそれなりに楽しめそうだ。
(ついでですが)この演奏会が開かれたタワーホール船堀は上に展望台があり、100m超からの眺望も楽しめました。
眼下に船堀駅とそれを横切る船堀街道。遠くで夕日を浴びているのは荒川放水路です。