カルメン公演を観に行って | takacciの「見た・観た・聴いた・読んだ」

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音楽に関すること、観たこと、読んだことへの感想などを書いていきます。(文中敬称略) 2019年4月より別サイトで掲載していた写真の記事も同居させましたが、20年7月に元に戻しました。

本ブログの無断転載はお断り致します。

三ヶ月以上前の話で恐縮ですが、

 

一度はオペラを観てみたい、と言う子供のご要望に応え、去年の秋にこの春の藤原歌劇団によるカルメンの券を用意しておいた。東京文化会館大ホールでコンサートを聴くのは久しぶりだったが、それにもましてオペラを観るのは何十年ぶりなのだろうか。今考えてみたら、もらった券で体育館に観に行った「トゥーランドット」が最後。退屈なので途中退場してしまったのを思い出した。

 

この晩、座った席は天井桟敷の5階席。中学・高校・大学と当然のように最安席しか使えなかった頃、将来は一階で聴けるようになればいいな、と思いながら5階に座っていたことを思い出した。今回は、たまにしか聴かないオペラなのだから少し張り込んでもいいか、と思ったけれども、それにしてもオペラの公演の入場料は高額である。公演に掛かる費用のことを考えれば仕方がないのはよく理解できるし、税金から助成金を持ってくるのはキリの無い話であり賛同できない。同行者も「一番安い席でいい」と言うことだし、その場に居合わせられれば良いとするか、と判断して天井桟敷となった。それにしてもこの席は他のグレードの席に比べて著しく安かった。演奏の話を後に回して続けると、東京文化会館の5階席はよく聞こえます。音響的に問題ある席じゃないけど、舞台から見て右サイドの5階席で座った位置からは、残念ながら舞台の右端が隠れてしまい、見えないのでしたー。でもまあこれは仕方ないや。

 

伴奏は山田和樹指揮の日フィル。40年以上前に文化放送放送用収録のための御招待演奏会で聴いて以来の日フィル、前奏曲の出だしの縦の線がバラバラで、これで大丈夫なのかよと心配になったが、すぐ持ち直して、最後まで楽しめる演奏だった。

 

歌は、タイトルロールのロシア人ソプラノが意外に地味な歌唱で目立たなかったが、ホセ役の声が朗々と響いていた。闘牛士役の韓国人は全然迫力無かった。正直なところ歌は少々物足りなかったけれども、歌劇全体の音楽の素晴らしさには実に圧倒された。良く出来てる曲だなあ、ビゼーってこんなに良かったっけ? バッハのマタイ受難曲とどちらがズシーンと来るのだろうか?などと思いが巡ったのだった。

 

幕間の休憩には会社時代オペラ好きで有名だった先輩に声を掛けられてびっくり。今でも欠かさず観て回ってるらしい。「藤原も国立も賛助会員になってる。こちらは公演の度に券をくれるのだけどあっちは全然もらえないんだ。」と語っていた。実に常連ですね。うっかり連絡先を伺い忘れたけれども、またオペラを観に行けば会えそうだから、これで今生の別れとはならないだろう。