「われわれ中国共産党は、宮廷ドラマが及ぼす5つのマイナス面を絶対に看過できない」

 

 これは2019年2月18日に中国共産党北京市委員会が公表した見解だ。この見解が公表されるとすぐに再放送されていた「延禧攻略(中国での原題 日本では「エイラク」)」が即時放送中止になった。あなたは信じられますか?

 

 

 中国共産党が「延禧攻略(エイラク)」を「思想的に問題のあるドラマ」として認定したのは

①皇族のライフスタイルの流行
②後宮で繰り広げられる謀略が及ぼす心理的悪影響
③皇族の美化に伴う党の建国英雄たちの存在感低下
④倹約や勤労精神の置き去り
⑤行き過ぎた商業化

 

 要は「共産党的価値観とは相いれない」ということ。少しわかりづらいが、共産党国家には国民が守るべき共産党的価値観があり、それにそむくことはなんびとも許されない。共産党では「農民と労働者が最上位階級」とされ、「貴族や金持ちは社会の敵」でしかない。そんな敵を持ち上げることなんて許されないのが共産主義なのだ。

 

 共産党国家では例外なく「思想統制」が行われる。「共産党は最高」と言わなければ生きていけない。実際は党ではなく、最高指導者や幹部のことだ。もちろん習近平や金正恩を批判することは犯罪。ドラマ「延禧攻略(エイラク)」が誰の逆鱗に触れたかは容易に想像できるだろう。

 

 心配は「延禧攻略(エイラク)」の出演者に危害が及ぶこと。秦嵐さんや呉謹言さんが批判の対象にならないことを祈るばかりだ。中国とはそういう心配をしなければならない国だ。