池袋のシアター・グリーン、Box in Boxシアターでソワレ、劇団壱劇座【独鬼-hitorioni-】の千秋楽を鑑賞してきました。
この日はマチネで、北千住のTheatre1010でミュージカル座【ひめゆり】の千秋楽公演を鑑賞してからのソワレでの【独鬼-hitorioni-】でしたが、ちょっと順番が入れ替わるけどこちらの記事を先に。
劇団壱劇屋は関西基盤の劇団で東京には年に一度しか来ないそうで、今回の演目は【ワードレス殺陣芝居】、つまり台詞が一切無い殺陣芝居という作品。
ワードレス殺陣芝居という響きは珍しいけど、如何せん殺陣芝居と言うのを普段見ない=殺陣芝居というものを良くわかってないので、台詞がないって事自体珍しい事なのかどうかは良くわかりません。
過去にもノンバーバル(無言語)・エンターテイメントの類として【Cookin'NANTA】や【ジル・ド・レ】を観ているので、台詞がないって事に対して特別物珍しさは感じなかったのだけど、殺陣芝居が好きな友人から面白いと情報を得て、折角なのでと観に行った次第。
殺陣芝居なのでほとんどの役者が派手な殺陣を演じるシーンの連続、小さな劇場の最前列だったので、文字通り目と鼻の先で殺陣を観る迫力を味わえました。
前説でも念を押す様に台詞は一切ないって事を強調してましたが、本当に台詞は殺陣の叫び声と泣き声くらいで言葉としては一切発しない作品でした。
台詞は無いがストーリーはあり、永遠に死なない・老いない鬼が、とある女性の生涯50年間を隣で過ごす、と言う作品。
無頼漢が蔓延り旅人を片っ端から襲ってた時代、無頼漢に襲われた夫婦が女の赤子を鬼に託して切り捨てられた所からストーリーが始ります。
目の前で突然、妻を刺し殺された旦那の言葉にならない絶叫(台詞がないからとかじゃなく、本当に言葉にならないだろうな…って印象を強く受けた)と、卑しい表情で刀を振り回す無頼漢と、そしてその向こうでその様子を無表情で眺めてる鬼、と言う光景。
常に無表情で切っても刺してもゾンビの様に起き上がって無頼漢を切り捨て、表情がない為に助けてあげた人間にも恐れられていた鬼が、幼い少女と接するうちに次第に笑顔の使い方を覚えていく。
季節はめぐり、少女の成長と、出会いと、恋と、そして伴侶の裏切り、少女の危機を何度も大立ち回りで助けながら人生を見守った鬼は、その女性が亡くなった時に初めて泣くことを覚える。
そんな鬼の心の移り変わりを描いた作品で、台詞はなくとも音楽とアクションと役者の表情だけでしっかり伝わってくる作品でした。最後の方はほんとホロリと来たなー。
主演の鬼役の役者さんは、85分間休みなしの作品の大部分を殺陣で派手に飛び回り、しかも終わる度に小振りなおにぎりを一口で頬張って大変そうだったなー、後半になると、設定上時代が変わってるはずなのにまだモグモグやってる場面あったもんな笑
当日は千秋楽と言う事で役者紹介と千秋楽の挨拶がありましたが、劇中喋らなかった反動か、喋る喋る!笑
心優しい鬼の印象が瞬時にして崩れ落ちたのでした(笑)
この作品は機会があればまた観てみたい。
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