映画【舞妓はレディ】 | たかびの自己満観劇ブログ
16日、TOHO CINEMAS渋谷にて、映画【舞妓はレディ】を鑑賞してきました。

何でも、監督さんが着想から22年もの時間を費やした大作だとかで(笑)

本作品はトレーラー(劇場予告編)を観た時に、なんだか楽しそうな印象が残ったので公開されたら観に行こう、と思いつつも、秋公開ってだけでいつ公開なのかすっかり忘れていた次第でして…。
たまたま日曜日にTOHO CINEMASのサイトを見たら、ちょうど前日に公開されてるじゃないですか、と。

んで火曜水曜連休だし予定ないし、行ってこようかなぁと言う感じで行ってきました。

行き付けの有楽町では有楽座での公開と言う事で、狭くてこじんまりとした有楽座にあまり良い印象を持ってなかったのもあり、渋谷で観る事に。

ところがっ。

渋谷って広くて綺麗な印象があるんですが、知りませんでした。
あのシネタワーの地下に、SCREEN6って言う、狭くてこじんまりとした陰気くさいスクリーンがあるんですね。

歴史は感じるものの、それなりに当時最先端だったであろう内装を施してる有楽座の方がまだ小奇麗やないかーーーーい!(笑)

そのSCREEN6での公開でした。

どこに行っても単館や、シネコンでも小スクリーンと、概ね小規模な劇場での公開の様で、東宝としてもあまり大々的な規模では展開してない作品の様です。


そして、どういう事?
館内右を見ても左を見てもお爺ちゃんばっか!!
両隣おじいちゃんでした。
車いすのお爺ちゃんもいました。

え…と…観に来る映画を間違えたか…?
(-ω-;)


あらすじとしては、京都の花街に突然、舞妓になりたい!と飛び込んできた女の子が幾多の困難を乗り越えて舞妓になるまでの姿を描く感じ(ざっくりし過ぎ?)

♪ま~いこ~はレディ~…と言う主題歌のインパクトが強いんですが、合計10曲を超える歌唱曲がある、なかなかに本格的なミュージカル映画でした。

出演者に関して言うと、もう何というか脇役が豪華の一言です。

竹中直人、岸部一徳、高嶋政宏、小日向文世、妻夫木聡、彦摩呂、津川雅彦…あと、AKBとかSKEの子も出てましたねえ。
本当にちょいと顔を出す程度の出番しかない人も含めて結構豪華。

あと、芸妓(作中では「まいこ」に合わせて「げいこ」って言ってたけど、たぶん正しい読みは「げいぎ」)の豆春姐さん役の渡辺えりさん、どこかで見た顔だな~、と思ってたら、その昔に観に行った舞台【トップ・ガールズ】(シス・カンパニー公演)に出てた。

作品としては、クスっと笑えて、最後にちょっと感動できる感じでした。

以下ネタバレ注意。


主人公の西郷春子は、複雑な環境に生まれ育ち、舞妓になりたい!と花街に辿り着いた時には、津軽弁と博多弁がごちゃ混ぜになってる様な冴えない田舎娘。

その様子を言語学者の京野法嗣が『津軽弁と博多弁のバイリンガル』と呼びつつ、半年間で京言葉を叩き込んで見せる、とその役を買って出ます。

あんな子が舞妓になるなんて絶対にあり得ないと馬鹿にする常連客と賭けに出た京野は声紋分析を駆使して春子の訛りを改善しようとする。

一方、当初門前払いだったお茶屋に仕込みとして置いてもらえる事になった春子だが、全く初めての世界の言葉遣いや仕来りに手も足も出ないながらに必死に食らいつこうとする。

本当に親身になって協力してくれる京野に惹かれていった春子だったが、助手に京野の本心(賭けでやってる事など)を聞かされ、ショックのあまり言葉を失ってしまう春子。

さてどうなる?


みたいな感じの展開です。

この春子の姿ってひょっとしたら、この映画に出演する役者たちみんなが通ってきた道かもしれないね。
演じる役者さん達だって、それなりに京言葉や舞妓、芸妓の作法や身のこなし、舞を身につけなきゃ話にならないもんね?

作中にも出てくるけど、京言葉をちょっとの訛りもなく再現しなきゃいけないし、作法や舞だってその道のプロがやってる訳じゃなくて、役者陣が覚えてやってるわけだから、ひょっとしたら裏では春子と同じ様な経験をしてるのかも知れない。

さて、春子ちゃんなんですが、なんだかもう出来の悪い新人を見てるかの様です。
どこの職場にもいそうな感じ。
じれったい!(笑)

会話の中にお国言葉が混じる度に厳しく京言葉に直されて、満足に会話すら出来ない、何度言われても仕事が覚えられない、舞のお稽古ではオトメを食らう。

お師匠さんに『もういい…オトメです!』と言われて春子は泣き出してしまったので、そんなに厳しい事(例えば、見込みなし、これ以上やっていけないから諦めろって意味でお止め)なのかと思ったら、そうじゃくて単純に泊まり込みで稽古していけって意味の『お留め』だったらしい。何もあんなに泣く事なかろうに。

とにかくそんな出来そこないの仕込み(見習い)だった春子が、ある日を境に少しずつ変わっていく様はミモノです。

完全に訛りが抜け、舞のお師匠さんにも『これからもおきばりや』(これからも頑張って)=合格の合図を貰い、そして、ついにお見世出し(舞妓の装束で初めて人前に出る事、挨拶回りに出る事)に辿り付いた時は感動しましたねえ。

舞妓HAAAAN!で、阿部サダヲさん演じる鬼塚公彦が、一目見た舞妓さんに惚れてしまったのは、丁度このシーンに当たる訳ですな。
別の映画なのに、ほどんど同じ光景(お見世出しを今か今かとカメラを持って待ち構えてる人がたくさん出口を取り囲んでる様)が描かれていたので、実際の花街で本当にある光景なんでしょうね。

そこから、初めて舞妓『小春』としてついた席で明るみになる真実(と言うか、春子が隠してた事を、周りの姐さん方はみんな知っていて、その上で接していた、と言う件)


なかなか面白い映画でした。

曲もいい感じのがあったなー。

あ、そういえば原作を知らなかったので気付かなかったんですが、この映画ってミュージカル『マイ・フェア・レディ】のオマージュなんですってね。

なるほど、舞(マイ)妓は(フェア)レディか(笑)

確かにマイ・フェア・レディのストーリーを読んだらまさにこの映画そのものでした。

道理で?かどうか知らんが、やけにご年配の客が多かったワケだ?

ピグマリオン(原作)⇒マイ・フェア・レディ(ミュージカル舞台)⇒マイ・フェア・レディ(映画)⇒舞妓はレディ(映画)

名作は色々形を変えて何世代も伝わって行くって事ね。

この記事にぺたっとな。