東宝ミュージカル【ミス・サイゴン】(2回目) | たかびの自己満観劇ブログ
水曜日は、東宝ミュージカル【ミス・サイゴン】を鑑賞してきました。

焼き付ける日差しの中、汗だくになりながら、1年1ヶ月振りの帝国劇場へ。

もう、写真を撮りながら汗が目に入って大変だったわよ。

だもんで、空調効きすぎなロビーは天国でした。

ミス・サイゴンの鑑賞は前回の青劇公演以来2年振りなんですが、その青劇版で【新演出】とされてたミス・サイゴンは更に改良を重ね、今回の帝劇版は【最新演出版】となっており、前回の改定で削除になった“実寸大ヘリコプター”が今回復活と言う事で、初めて観るヘリコプターのセットが楽しみな所。

キャストボード。

杉山有大さん(アンジョ)、萬谷法英さん(テナルディエ)、青山郁代さん(コゼット)、磯貝レイナさん(コゼット)と、レミゼでプリンシパルだった役者さん達の名前をアンサンブル陣に見付けました。

プリンシパル陣。


前回青劇での鑑賞時(2012年8月22日)からのキャストチェンジは以下の通り。

エンジニア:市村正親さん⇒筧利夫さん
キム:新妻聖子さん⇒笹本玲奈さん
ジョン:上原理生さん⇒岡幸二郎さん
タム:寺崎杏珠ちゃん⇒浅沼みうちゃん

タムは、また女の子です。そしてプログラムにはお約束の『男の子役なので髪を切りました』と言う文章…(笑)

クリス(原田優一さん)、エレン(木村花代さん)、トゥイ(泉見洋平さん)、ジジ(池谷祐子さん)は前期からのスライド。

本当はエンジニアもスライドだったんだけど、例の市村さんの降板を受けて筧さんになりました。

昨年のレミゼに続き、帝劇公演で2年連続主演降板とは不運ですな。

プログラム。


座席は1階I列センターブロック上手通路。

明るい舞台なら役者の表情もはっきり見える距離だけど、いかんせん東宝はどの作品も舞台照明が暗い。なので結局役者の顔もボケて見える感じでした。


~あらすじ~

ベトナム戦争末期、両親を失った少女キムは陥落直前のサイゴン(現在のホー・チ・ミン市)でフランス系ベトナム人のエンジニアが経営するキャバレーでアメリカ兵クリスと出会い、恋に落ちる。

お互いに永遠の愛を誓いながらも、サイゴン陥落の混乱の中、米兵救出のヘリコプターの轟音は無情にも二人を引き裂いていく。

クリスはアメリカに帰国した後、エレンと結婚するが、キムを想い悪夢にうなされる日々が続いていた。一方、エンジニアと共に国境を越えてバンコクに逃れたキムはクリスとの子タムを育てながら、いつの日かクリスが迎えに来てくれることを信じ、懸命に生きていた。

そんな中、戦友ジョンからタムの存在を知らされたクリスは、エレンと共にバンコクに向かう。クリスが迎えに来てくれた---心弾ませホテルに向かったキムは、そこでエレンと出会う。

したたかに“アメリカン・ドリーム”を追い求めるエンジニアに運命の糸を操られ、彼らの想いは複雑に交錯する。そしてキムは、愛する息子タムのために、ある決意を固めるのだった---。


以下、ネタバレ注意。


相変わらず、オープニングシーンのキャバレー『DREAM LAND』は、暗くて人数も多くがやがやしていてわかりにくいシーンながらに、以前よりもだいぶすっきりした印象を受けました。
演出の変更で立ち位置が整理されたのか、或いは初見でシーン的な予備知識がなかった前回とは違い、予めそう言うシーンがある、と頭にあったせいか、とにかく前回ほどわかりにくいシーンだ、と言う印象はなく。

それから、このシーンに出てくるコールガール達の衣装が…随分露出度が高くなったな…と。あらららら…。

初見の筧エンジニア…筧さん自体初めて観るけど、とにかく筧エンジニアは顔がデカい…(笑)
エンジニアってオールバックだから、そのせいもあるのかもだけど、とにかくデカい(笑)

コアなファンに言わせると、筧エンジニアに難色を示すファンは少なくないらしいんだけど、作品自体を観た回数が少ない側としては、全然気にならなかった感じです。

むしろ、市村エンジニアより台詞が聞き取りやすい印象を受けました。

そして何より、急遽代役的な扱いでのキャスティングで、稽古期間も1週間あるかないかの短期間で、演出も何も今回とは違った6年前の公演で演じたきりの役をここまで仕上げてきたのは、ただただ凄い、と思います。やっぱりプロの役者って違う。

歌があまり…と言う声が多いけど、個人的にはエンジニアの曲ってアメリカン・ドリームくらいしか印象に残っておらず、別に聴かせるナンバーでもないものあり、全然気にならなかった、と言うのが正直な気持ち。


同じく初見の笹本キム、笹本さんと言えば個人的にはジキル&ハイドのエマの印象が強く、エマの様な美しい歌声を期待していたのですが、聴いてみて、あれ…笹本さんってこんなに声細かったかな?と言う印象でした。
新妻聖子さんのキムの印象が凄く強く、なんとなく比べてしまった所があるんですが、新妻キムより声量も弱く、細い印象でした。

ただ、新妻さんに劣っているかと言えばそう言うワケではなく、新妻さんとは違うタイプのキムだ、と言う印象。

新妻キム×原田クリスの歌声で一番インパクトが強かった『世界が終わる夜の様に』で、笹本キム×原田クリスではイマイチ感じる物が少なかったんだけど、その代わり、新妻キム×原田クリスでは感じる物が少なかった『サン・アンド・ムーン』が、笹本キム×原田クリスでは♪高い空へ~のハモりで、ラブシーンの王道の様な感動が(笑)

笹本さんの方が綺麗に歌ってるんだろうな、新妻さんの方が力強く歌ってる。一幕序盤で、自分の身の上話をクリスにする時の迫力も、新妻さんの時の方が凄かった。

岡ジョン、岡さんは旧演出版レ・ミゼラブルのジャベール役で観て以来なので、印象は全くと言って良い程ありませんでした。
ジョンと言えばブイ・ドイの熱唱が印象強いんだけども、熱いですね、上原ジョンのブイ・ドイがどんなだったか覚えてないんだけど。

ブイ・ドイってシンポジウムか何かで『我々の全ての罪の証拠だ』『父親をあの子に与える義務がある』と訴えてる体で歌われてるんだろうけど、地獄で生まれたゴミクズ、と言う歌詞が歌詞だけに、そして背景にブイ・ドイ達おの映像が流れる演出なだけに、終わった後にジョンが賞賛を浴びてめっちゃ笑顔なのが何か嫌だ。


作品は二度目と言う事もあり、ストーリーも知ってる、曲も知ってる、見所もなんとなくわかる、けど演出とか細かい事は覚えてないので、何がどう変わったとか、そう言う事はあまりわからない状態(笑)

前回観た時は、誰も悪くないのに…と書いた、キムとエレンの対峙のシーンなんだけどさ、やっぱりクリス悪い奴だな~ってちょっと思った(笑)

クリスとキムが結ばれる事は当然知ってたんだけど、あの二人がジジをはじめとしたコールガール達に囲まれて結婚式みたいな事をしてたシーンを、忘れてたのか何なのか、全然記憶にないシーンだった。

え、こんなきっちりとした結婚式らしきシーンなんてあったっけ?
あったなら何故、前回の鑑賞記に、重婚じゃん!!って書いてないんだろう?

混乱の中で、一晩の契で子供が出来ちゃったなら、子供を授かったキムが一方的にクリスを夫として思ってるんなら、まぁエレンが『あなたと結婚してるつもりなのよ!』とクリスに食いつくのもわかるけど、つもりじゃなくて、本当に結婚してるんじゃん!
マンマ・ミーア!のI Do,I Do,I Do,…のシーンみたいに写真撮ってるじゃん!

重婚なんてまっぴらよ!!!!←。

そのクリスもキムを思って悪夢にうなされるワケだけどさ。

比較的、男性の役は悪役に描かれてる感が強い作品だけど、でもどの人物も単純に“悪”だけじゃ語れない部分が多いのが、なんともやりきれないですね。

トゥイなんて、根っからの悪人にしか見えない描かれ方をしてるけど、タムの存在を知った時のトゥイの絶望感と言うか、気持ち凄い解るし。

親が決めた許嫁とは言え、それでもずっと思ってきて、キムを探す為に地位を上げて、やっと見付けて、今のキムの状況からやっと救い出せる!って矢先に、キムに敵国(南ベト)側のアメリカ兵との間に子供が居た…なんて知ったら、そりゃ目の前真っ暗になるよね、ってな感じで。

タムを殺そうとしたトゥイを思わず撃ち殺してしまったキムが、次の瞬間に銃を捨ててトゥイを抱き上げて絶叫するシーンとか、涙物でした。

我が心の夢、サン・アンド・ムーン、世界が終わる夜の様に、今も信じてるわ、命をあげよう…と、聴かせるナンバーが続く一幕に対し、二幕はブイ・ドイとアメリカン・ドリーム程度しかビッグナンバーがなく、ほとんどリプライズでつないでいく様な状態。

ホリプロや東宝の作品って、何故か一幕に偏ってる物が少なくない気がします。二幕はどの曲を楽しみにすればいいんだろう…とか、二幕は妙にあっさりしてるな…とか感じる事が少なくない。

レミゼなんかはバランスいい作品だけどね。

そう言えば、楽しみにしていたヘリコプターなんだけど、観ていてゾクゾクしました。

ちょっと想像してたのとは違ったけどね。てっきり天井からデッカイのがバタバタバタバタ…と降りてくるのかと思ってたんだけど、映像で表現されたヘリの飛来シーンを映写してる壁の向こうから突き出て来て、意外と大きくないなぁと感じたのが正直な感想。

でも考えてみると、そもそもアパッチみたいな戦闘ヘリなんだからそんなに大きいわけないんだけどね。

でも、でっかいプロペラがヒュンヒュン回っててそこにアメリカ兵がどんどん乗り込んでるシーンを見て、ゾクゾクした。

んー…でも、ヘリコプターが映像で飛来してくるのを見て、なんか前回の青劇公演でも観た様な気がするんだよなー…青劇の時は映像だけで、映像の奥からヘリ出てこなかったっけ?

これも出てきた様な気がするし、でも今公演から復活的な事書いてあるし…。

どうだったんじゃろ?

あ、ちなみにそんな二幕でうるっと来たのが、サン・アンド・ムーンのリプライズ。

いよいよクリスに会えるってんで、キムが“正装”のアオザイに着替えるシーンなんだけど、この時の顔が本当に嬉しそうで、この後の展開を知ってるだけに、余計にその笑顔が切なかったです。

それから最後ですよねー。

タムと最後の別れを済ませ、エンジニアがタムを連れ出したのを見届けた時のキムの悲痛な表情、そして自殺。

切ない…。

その銃声を聞いた時のジョンの行動がイケメン過ぎるよね。

瞬時に全てを察して、その後クリスが取るであろう行動を、エレンに見せない為にとっさにエレンを抱きしめるの。

案の定クリスはキムを抱き起して、んで最後は絶叫だもんね。

そう言えば、以前はこのシーンに『私の小さな神』ってナンバーがあって、ラストが改変されてそのナンバーが途中から無くなったらしいんだけど…。

オレはてっきり、タムとの別れの時にキムが歌う♪時がきた~この時~あなたの命決めるのは 誰でもないわ この私…ってのが『私の小さな神』だとばかり思ってたんだけど、違うのかね?

プログラムを見ると、アメリカンドリームが最後の歌唱曲って事になってるし、この曲の歌詞も収録されてないんだけど。

実際はどうなんでしょう。


あ、エンジニア最大の見せ場、アメリカン・ドリームは見事にワンマンショーでした(笑)


そんなワケで2年振りのミス・サイゴン、やっぱりいい作品だなー…もっと観たくなる。

過去の上演記録を見てると、筧エンジニアの時はずば抜けて大道具トラブルが多かったらしいので、まさか今回もないよな…と思ってましたが、無事に終わったし(笑)

さて、次回のミュージカル鑑賞は、二ヶ月振りの劇団四季、ジーザス・クライスト=スーパースター(エルサレムバージョン)です。

高木さんに退団疑惑がある今、新マリアデビューを期待したいところ。

全国公演に出るし、オンディーヌも控えてるし、どのみち野村さんがマリア完走は無理だと思うので。

どうなる事やら。

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