
音楽座という劇団、音楽座ミュージカルというブランド、Rカンパニーと言う劇団の存在は以前から何となーく知ってたんですが(音楽座はのちに四季の看板女優になる濱田めぐみさんが四季入団前に在籍してた劇団ですね)、実際に作品を観るのは初めて。
ブログに、Rカンパニーの役者さんからメッセージを貰ったのが今回の観劇の切っ掛けでした。
知り合いの役者さんが出るから、とか、コミュニティーツールで役者さんから直接メッセを貰ったから、とか、そういう切っ掛けで観に行く様になった劇団って意外と多いです。
劇場は新宿文化センター…ちょっと不便な場所ですねぇ…。
キャストボード。

古くからの四季ファンの方にはお馴染みの、宮崎祥子さん、井田安寿さんと言った元四季の役者さんも。
面白いですよね、元音楽座の土居裕子さんや濱田めぐみさんがその後に四季に入って、元四季の宮崎祥子さんや井田安寿さんがその後に音楽座に入ってる、と。
今回メッセージをくれた役者さんの名前も、パッセンジャー(アンサンブルの事?)の中に発見しました。
座席は16列やや上手寄り。
高校生の集団が観に来てる様でした。
音楽は生オケ、ですが舞台が大きく客席側にせり出しており、オケピは上手側の狭いスペースにキーボードが数台並んでるだけに見えたので、生オケだけど生楽器ではない?
今回の作品は、浅田次郎さんと言う方の同名の短編小説を原作にしたRカンパニー最新作。
ストーリーは、こんな感じ。
不法滞在の中国人女性を強制送還から免れさせる為に行われた戸籍売買=書類上だけの結婚で妻になった中国人女性が亡くなり、戸籍上は夫になってる男が引き取りに行かされる事になるも、男は顔も素性も知らない、戸籍売買で妻になった事すら忘れていた女の遺体を引き取る事に納得できず拒否。
しかし、周りに促されて渋々安置先まで行く過程で次々に発見され手元に届く、妻からの手紙に、凝り固まっていた男の心が溶けていく、と言う、心温まる内容でした。
んだば雑感。
まず、まーーーず。
これは、ある意味で異常なほど台詞がハッキリ聞こえる劇団四季を見慣れてると、どうしても仕方ない事なのかも知れないけど…。
台詞が聞こえない…。
多分、客席数50に満たない様な小さな芝居小屋で、マイクを使わずに生声だけでやるなら、あの台詞でも全然大丈夫だろうし、むしろ臨場感あって良いんだろうけど、広いホールでマイクを使ってて、ただでさえ音が反響する環境であの台詞は頂けない…。
特に主役の男(吾郎)役の役者さん…カタギではない商売をやって刑務所にぶち込まれる様なキャラの特性上か、俯き加減の姿勢に早口で言い捨て気味な喋り方…本当に何喋ってるのか、半分かそれ以上はわかりませんでした…。
主役なのに何喋ってるのかわからないとか、東宝ミュージカルのミス・サイゴンでエンジニア役を演じた市村正親さん(元四季ですけど)を思い出した。
やっぱり生舞台で特徴的な喋り方をする役の場合、台詞の聞き取り難さが酷い!と言うのはある意味デフォルトなのかも(笑)
ただ、台詞の聞こえなさに関しては狭い箱で目と鼻の先で演技をやってる様な小劇団でもない限りは、大なり小なり感じる事なので致し方ないかなと。
テレビで名を馳せてる有名な俳優さんが出てる様な、三谷幸喜の舞台ですら台詞聞こえない…って感じるからね…。
ちなみに、この台詞の感じに耳が慣れたのは、休憩なしで100分間通しで行われる作品のうち、70分を過ぎた辺りから。
既に亡くなっている為、回想シーンや手紙の音読にのみ登場する、中国人女性の白蘭(パイラン)、日本語がかなり上手いという設定の様だけど、ところどころで接続詞をすっ飛ばしたり、頭が強くて語尾が弱い訛り方をしてたり、ああ、なんかアジア人だなぁ…って台詞回しが好きでした(笑)
なんか女性のアジア訛りって少しキュンとこないですか?(違)
ちなみに白蘭役の人の台詞は別段聞き取りにくい事はありませんでした。
この時々音読される、白蘭が書いた手紙が物語のキモで、回を重ねるごとに、吾郎に寄せる思いが強まり、反して白蘭自身の身体が弱まっていく様が、悲しみを誘い、またそれを手にする吾郎の姿勢が徐々に変化していくのも、また目が離せず。
手紙を握り締めた吾郎が白蘭(の遺体)と対面する場面は、結構うるうるモノでした。
ここで重要なのは、うるうるモノでした、と言う点でして。
台詞は聞こえなくても、物語の意味や感動はそれなりに伝わってるワケですね。
台詞が届かなきゃ感動が届く理由がない、と言うのが四季流と言うか浅利流の演劇理論な訳だけど、別にそういうワケではないんですよね、それに耳が慣れてるってだけの話で。
感動できる、胸が温まる物語でした、が。
果たしてミュージカルにする意味がある作品だったかどうか、と言うとそこはまた少し疑問が残りますね。
物語を彩る楽曲に、印象深く残る楽曲がなかったんですよね。
一回聞いただけで忘れられなくなる楽曲が。
これは何度か同じ作品を観ればそれなりに覚えるのかも知れないけど、覚えるのと印象に残るのとは全くの別物で、これがもしストレートプレイだったとしても、同じ程度の感動が得られたんじゃないかな、と思うわけです。
大道具のシンプルさ、モノトーン中心で所々アクセント程度に強い色を混ぜる配色など、海外産とは違う国産らしさは、初めて観る舞台なのにどこか懐かしさを感じさせるものも。
全員上から下まで真っ黒なダンサーさん達が一斉に同じダンスをするのはある意味インパクトありました(笑)
ちなみにメッセをくれた役者さんは、真っ黒ながらに衣装の特長を予め連絡してくれていたので、どの人かわかりました。ポニーテールだったよね??
↑違ったら申し訳ない。
この作品は是非原作を読んでみたい。
原作本も紹介されていたので近々さがしてみようと思います。
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