劇団四季【ジーザス・クライスト=スーパースター】(ジャポネスク・バージョン)(3回目) | たかびの自己満観劇ブログ
12日水曜日は劇団四季【ジーザス・クライスト=スーパースター】(ジャポネスク・バージョン)を鑑賞してきました。
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キリストの最後の7日間を描くロックミュージカル、JCSの鑑賞は、昨年エルサレム1回ジャポネスク2回、今年エルサレム2回ジャポネスク1回で合計6度目。
   
この作品は、劇場に入った瞬間に感じられる神々しい雰囲気が大好きで、特にジーザスを陥れてしまったユダの苦しみが好きな作品なんですが…それよりも今回は大き過ぎる懸念材料があり、正直そこ一点…と言った感じ。
  
その懸念材料…お察しの通り、マグダラのマリア役の浅利夫人、野村玲子さん…。
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かつての四季の看板ミュージカル女優も、今では歌声の著しい劣化に、聞くのは悪い評判ばかり…。
   
野村さんをミュージカルで観るのは実は今回が初めてで、歌声に関しては詩劇【思い出を売る男】で少し聴いた事がある程度。
 
【思い出を~】の時は、街の女という役でその実態は酒に溺れ喉が焼けた娼婦だったのもあり、声も低く多少荒れてても気にならなかったんですが…。
    
まぁ、百聞は一見に如かずという事で、聞こえたままで判断しようというつもりで観たのですが…。
    
キャストボード。
    
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前回(エルサレム)鑑賞時からのチェンジは以下の通り。
   
◆イスカリオテのユダ:金森勝さん→芝清道さん
    
昨年の公演、そして今回の公演の前半では主役のジーザスを演じていた芝さんがユダ。
古くからのファンの方にはお馴染みらしい芝ユダですが、初見です。
    
◆マグダラのマリア:高木美果さん→野村玲子さん
    
エビータでも秋夢子さんとダブルキャストで主演を演じて大ヒンシュクを買ったのも記憶に新しい所ですが、後進が育っていない昔の持ち役を無理を押して演じるならまだ理解出来ない事はないけど、昨年公演で高木さん1本で完走した役に何故今更?というのが不思議で仕方ないところ。
   
周りとの兼ね合いを見ると、確かにオペラ座のクリスティーヌが足りてないのかも知れないけど、そっちをどうにかして欲しかった。
    
個人的な勝手な予想として来春初公開のリトルマーメイドでクリスティーヌを持ち役にしてる役者さん(苫田さん、笠松さん、高木さん辺り)がアリエルをやるんじゃないかと思ってるので、ひょっとしたら今頃、苫田さんがLMに取られちゃってて、笠松さんがWSS、高木さんがJCSで、デビューから浅い土居さん1本じゃクリスティーヌがキツいのかも知れないけど…。
   
今回の座席は8列センターやや上手寄り。
    
ジャポネスク・バージョンの鑑賞は昨年5月25日以来1年7ヶ月振りですが、ただでさえガラーンとしたセットのエルサレム・バージョン以上にガラーンとしてるジャポネスク・バージョン…昨年公演時に観た内容をあまり覚えてなかったのもあり、御神木と大八車以外に何もない舞台に、なんだか物凄く違和感。
    
御神木のセットってあんなに薄っぺらかったっけ…みたいな。
    
不気味なエルサレムのオープニングに対し、神秘的なジャポネスクのオープニング。オープニングはジャポネスクの方が好きです。
    
ユダは金森さんの独特なしゃがれ声に慣れてしまっているので、芝さんの余裕たっぷりな歌声に少し違和感…(^-^;
    
それと、芝ユダは金森ユダに比べて随分とファルセットに入るタイミングが早い気がする。
    
金森さんが綺麗なファルセットを出せないのか、芝さんが高音を地声で行けないのかはわからないけど。
    
神永ジーザスは、前回に続き2度目。相変わらず芝ジーザスの様な低い響きが無い分迫力で劣るけど、高音の綺麗さは凄い。
    
特に今回は♪行け~す~ぐに~去~~れ~~~!は(メイクもメイクなだけに)ビジュアルバンドのヴォーカリストかと思った(笑)
    
神永ジーザスの高音と芝ジーザスの低音を両方扱えるジーザスが現れたら無敵じゃないか?
    
そしてある意味注目の野村マリア。
一人だけマイクの音量を上げてあるのがわかる程不自然な感じがしたけど、言うほど酷くないんじゃない…?
    
…と、思ったのも束の間、少し音程を上げただけで、観た方々が口にする不満要素が一度に襲い掛かってきた。
    
カッスカスの歌声、気持ち悪さを感じるほど不自然な歌声の揺れ、音程も不安定でリズムも遅れてる、いつ声が出なくなって中断するかわからない…観てる方がハラハラさせられる様な…。
    
そして【私はイエスがわからない】を聴いた時、稽古場に『一音落とすものは去れ』と貼ってある程、音を大切にする四季の俳優とは思えない…とさえ思った。
    
♪こんな事ってあ~るの~…の“ん”を飲み込んでしまったかの様な、♪こっな事ってあ~るの~~
    
代表夫人じゃなきゃ、即干されてるだろってレベルじゃない…?
 
これは酷い。
【私はイエスがわからない】の後に拍手をした人がいたのが信じられない。
 
↑2人だけ。しかし周りの空気を感じたかすぐに止めてしまった。
 
他の楽曲、役者については…。
   
【ジーザスは死すべし】で、カヤパの義父アンナス役の吉賀陶馬ワイスさんが、高音がかなりキツそうだったなぁ。
    
あのメロディであの高音で、あの裏返りスレスレの歌声…聴きようによっては、少し気が触れちゃってる人に見えない事もない。
    
それよりも、ワイスさんの髪の毛のソヨソヨ感が切ない…(笑)
    
カヤパ役の金本さんの貫禄が凄い(見た目的にも歌声的にも)ので、義父だろうが何だろうが、父という字がアンナスには似合わない気がするなぁ。
    
それにしても、金本さんのバリトン(特に【ジーザスは死すべし】の時)は凄い。良くあんなに低い声が出るものだと毎回感心します。
    
ヘロデ役の下村さん、相変わらず一発で空気を持っていきますが、何故か今回一人だけマイクに不自然なエフェクトが掛かってたね。
    
一人だけディナーショーのハンドマイクみたいな響き方をしていた。ああいう演出なのかな?
    
ただ…あの重々しい空気の中で唯一拍手を巻き起こしたのはさすがだけど、あんな出オチ的なコスチューム+あの特異なパフォーマンスを見ても、笑い声の一つも起きなかったのが気になった。失笑の一つくらいあっても良さそうなモノだけど。
    
シモンの本城裕二さん、【狂信者シモン】の♪とこしえの栄光と~力を得たのです~の歌声が大好き。しかし、後半音程を変えるのはデフォルトなのかな?
    
ペテロの玉真義雄さんも本当に良い声してるよね、ジーザスにも合いそうな歌声。
    
ピラトの村さんはもう安定感バツグン。
♪王じゃないのか~…に滲み出てる戸惑い感と、鞭打ちのシーンの声、鞭打ちのカウントをしながら段々と居た堪れなくなって39で鞭打ち人を突き飛ばすまでの流れが大好きです。
    
アンサンブルの皆さんは、基本的にあまりわからないんだけど、イケメンな中村伝さんだけはどこにいても見付けられた(笑)
    
ジーザスとユダの話に戻って…【ゲッセマネの園】のロングトーン、やはり芝ジーザスの驚異のロングトーンには叶わないものの、神永ジーザスもだいぶ長く続く様になってきたと思う。前回観た時は芝ジーザスの半分程度だったのに、今回は3/4位まで伸びてた。
    
ユダ、裏切/賞金やユダの自殺のシーンは、金森さんのしゃがれ声が苦しみを表してる様な風で見てたので、芝さんも喉に力をかけて叫んでたけど、やっぱり金森さんの方がユダは好きだなぁ。
    
でも、ユダの自殺の最後のユダが追い詰められていくシーンの迫力は凄かった。そしてこのシーンの演出はエルサよりジャポの方が好き。
    
芝ユダの【スーパースター】は金森ユダの同曲とは違う曲の様に感じるなぁ。♪ジーーーーーーーーザーーーーーーーースのファルセットは衝撃だった(笑)
    
ラストの磔のシーンの神々しい雰囲気は相変わらず鳥肌モノ。神永ジーザスはお腹を動かさない呼吸を完璧にモノにしてる様です。
    
カテコ、野村マリアだけ明らかに拍手が少ない。
この意味と現実を劇団側は真摯に受け止めて欲しい。
    
カテコは7回、5回目でジーザスがピンで出てくる時に芝ユダが間違えて出てきてしまうハプニング(笑)
    
気まずそうに背中を丸めて袖にハケていく姿が可笑しくて和やかな笑いに包まれました。
    
もちろん、その後出てくる時は常に照れ笑い…芝さん最後にやってくれたな…(笑)
    
そんなワケで、芝ジーザス&金森ユダ&高木マリアがデフォルトになってしまってるオレには今回の神永ジーザス&芝ユダ&野村マリアは色々な意味で衝撃でした。
    
特に野村マリアは…あれはもう役者の好き嫌いの次元ではない…幾ら代表の奥様だって、幾ら元看板女優だって、あんな状態でミュージカルの舞台に上がってはいけないと思う。
    
もちろん、味があるな~と感じたシーンもあるし、野村マリアの全てが悪いわけでも嫌いなわけでもないけど、でも観てる方をこういった意味でハラハラさせてしまうレベルは頂けないと思う。笑えないです。
    
さて次回の劇団四季鑑賞は12/29、アイーダ@新名古屋ミュージカル劇場です。

最前列+300回記念オフステージ付き、何より一番好きな演目、東京公演千秋楽から4ヶ月振り、楽しみです