劇団四季【アイーダ】(2回目) | たかびの自己満観劇ブログ
劇団四季ミュージカル『アイーダ』を鑑賞してきました。

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劇場は大阪梅田にある大阪四季劇場…そう、わざわざ大阪まで来てます。
 
アイーダを観るのは昨年9月以来11ヶ月振り2度目。
 
前回は、ライオンキングを観に行った時に渡されたチラシの『これが本当の愛を体験する最後のチャンスです』というキャッチに魅せられて東京公演千秋楽直前に観に行ったワケですが、何の予習もせずに何の前情報も無しに観たその作品の美しさにドハマリ。
 
もう一度観たい…と思っているうちに、初演の地大阪での凱旋公演が発表になったので、お盆にあわせて観に来た次第…と言っても、大阪も早くも今月21日で千秋楽、次の公演地も決まっておらず、このままお蔵入り…という噂すら聞こえていたので、余計に観に行かなきゃと。
 
コアなファンに支えられているアイーダだけど、結局のところ物語が大人向けで子供に理解出来ない作品だという事が、ロングランを打つ上でのアイーダの弱みなのかもね。
 
こちら会場の大阪四季劇場、梅田のハービス7階にあります。

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東京は電通四季劇場海から追いかけてきたぞ大阪!

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エレベーターで上がるとお上品な雰囲気。

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ロビーには間もなく千秋楽を迎える大阪の地へ出演者たちから感謝の言葉が記されています。

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お馴染みキャストボード。名前がある8役だけでも前回東京で観た時からガラリと変わってます。
 
アイーダ:江畑晶慧さん→井上智恵さん
ラダメス:渡辺正さん→阿久津陽一郎さん
アムネリス:鈴木ほのかさん→大和貴恵さん
ゾーザー:田中廣臣さん→飯野おさみさん
メレブ:吉賀陶馬ワイスさん→金田暢彦さん
ネヘブカ:上條奈々さん→松本昌子さん
 
ファラオ、アモナスロ両国王陛下以外は全員変更(笑)
 
個人的に特記したいのは、ゾーザー&ラダメスの親子が日本公演オリジナルキャスト♪
そして、twitterで四季トークで何かと絡んで下さる方一押しのネヘブカ役松本昌子さん。
 
ネヘブカは役名こそあるものの、扱い的には公式HPのキャスト欄には載らないアンサンブル。
でも主役級の歌声を聴かせてくれるので注目してみて、とアドバイスを頂いていたのです。正にアンサンブルの別格、と言ったところでしょうか。
 
パンフも購入。


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キャスト紹介、アイーダ役の一覧でオリジナルキャストの濱田めぐみさんが一番最初ではなく一番最後に載ってるのは、濱田さんは殆ど出ませんよって意味だったのかな。

実際も開幕からたった数日間だけ演じてすぐに休団されてしまった。
結局“別格”と言われた濱田アイーダを見る事はなかった。
 
ロビーから劇場の中を覗くと、懐かしいホルスの眼が…テンション上がります。

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席は前から3列目、ドセンターより3席ほど下手寄り。
 
緞帳に描かれたホルスの眼はこんなに近くに。

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前回は初見で取り敢えず歌声の迫力に圧倒され漠然と美しい物語程度というのが正直な第一印象でしたが、今では使用楽曲も全曲覚え、細かなストーリーも覚え、注目したい点が纏まり、楽曲もストーリーも一緒に頭の中で追える。
 
そんな訳で感想をつらつらと。
 
◇まず役者と歌声について…
 
◇何かとあまり良い評判を聞かない井上アイーダ。井上さんと言えば個人的にはサウンド・オブ・ミュージックのマリア役のイメージが強いので、見た目的にも歌声的にもイメージ上ではイマイチしっくりきてなかったんだけど、実際に観てみると違和感はほとんどなかった。むしろ、マリアの時は見せなかった力強い歌声が阿久津ラダメスの声と結構相性良く聞こえた。
 
◇『迷いつつ』や『星のさだめ』といった、二人の歌声を重ねる曲は心地よく絡み合ってた気がした。
 
◇癖なのか、♪e~の発音で声を張り上げると声質が変わって♪ye~って聞こえるのが少し気になったけどね…。
 
↑例えば、星のさだめで…
 
♪何故やってきたの別れ~の時が(神が)二人を弄んで…が、♪何故やってきたの別“りぇ~”の時が(神が)二人を“もてぃえ~”あそんで…みたいな。
 
◇一方、別の意味で聞く評判が悪かったのが大和アムネリス。物語全体を通じて『成長』を見せるべきアムネリスが、登場した時から成長し切ってる…みたいな。
 
◇確かに登場から少々違和感があったなーキャラ的にも。
 
◇それよりも個人的に気になったのが歌声。確かに綺麗で上手いんだけど…高音域にも余裕があって『おしゃれは私の切り札』とか、CDで聴く佐渡寧子さんより高音が力強いと思うんだけど…ラダメスの歌声との相性が良くない…。
 
◇一幕の『どうもおかしい』では、アイーダとのユニゾンも綺麗で聴き入ってたんだけど、二幕の『どうしたらいい』の大好きな三重奏が…アムネリスの声がアイーダとラダメスの声に完全にかき消されてしまっていて、三重奏に聞こえなくて、楽しみにしていたシーンだけにだいぶがっかりした。
 
◇オススメされていた松本ネヘブカ。初めて存在が持ち上がってくる『ローブのダンス』の歌声で早くもゾゾゾっときて、魂の叫びとも言える『神が愛するヌビア』では、祖国ヌビアに対する気持ちを歌いあげるヌビアの民とも、魂の叫びを歌いあげるアイーダとも違うハイトーンを聞かせてくれ、思わず息を止めて聴き入ってしまった(笑)
 
◇ぶっちゃけオレ、一音たりとも逃さず体内に取り込みたいシーンは、呼吸も瞬きも止まります。
 
◇次に作品全体を通して…もう、目と鼻の作品で演じられてるので(東京の劇場より舞台縁と最前列の感覚が狭いのもあるね)細かい表情とかも良く見えた。
 
◇阿久津ラダメスの高圧的な態度と声…渡辺ラダメスより数倍悪どいね。
 
◇序盤、アイーダの反逆シーンで見せる“ドヤ顔”が憎ったらしい(笑)
 
◇時々悪の将軍らしからぬ、ひょうきんな表情を見せるのが気になったんだけど、ああいう芝居なのかな?
 
◇ファラオからアムネリスとの結婚を言い渡された時の何とも言えない落胆ぶりが表情に良く出てた。
 
◇ラダメスが心の怒りを杯にぶつけるシーン、PVでは思い切り杯を叩きつけていたけど、なんか力なくポイッて感じだったなあ。
 
◇アイーダが最初に歌う『あの日は遠くに』は歌詞変わった?
確か♪あなたたちは奪えない、私の心までは~…だった筈が、♪あなたたちは奪えない、私達の心は~…って歌われてて、あれ?って思った。物語的には“私達”の方が正解なんだろうけど。
 
◇これは、井上アイーダに限った事かはわからないけど『私は知っている』の♪黙りなさい~とか『はかない喜び』の♪美しい祖国の地に~とか、曲の本来のリズムを崩して語り口調っぽいリズムで歌う点が何か所かあるのが気になった。これは井上アイーダだけ?
 
◇どんな時でも常に明るいトーンで話し『神を愛し民を愛し、けれど最も自分を愛してらっしゃる…』とか言葉遊びをしたり、できれば出てきて欲しくないシーンに何度となく出てきちゃ『ラダメスさ…』と絶句する…そして脱獄直前に犠牲になって『故郷に帰りたかった…』と力尽きるメレブ、本当に憎めない奴です。
 
◇前回は席も遠く初見だったのもあってダンスまで見てる余裕がなかったけど、改めて見るとゾーザー軍のダンス格好良過ぎます。
 
◇しかし、エジプト兵にその身を囚われても王女としての気品と誇りを失わなかった井上アイーダは、ラダメスに“心を囚われ”た途端に、ただの女子になってしまうのは何故だろう…後半はもう王女としても品格もへったくれもありません(笑)
 
◇ラブシーンの一つ『迷いつつ』のシーン、目と鼻の先2~3mの所で演じられるそのシーンは本当に圧巻、痺れました。
 
◇ラブシーンでありながら、もはや叶わぬ恋をお互いが悟っているアイーダとラダメスの気持ちが切々と歌われる『星のさだめ』と、それによって自らの恋も叶わぬ事を決定的にされてしまうアムネリスの気持ちが歌われる『真実を見た』が連続で歌われるシーン、3人の運命を決定付けてしまうこのシーンは本当に本当に切ない。
 
◇最後の審判での、歯を食い縛って唇を震わせながらも凛とした態度で命令を下すシーンは、アムネリスの心情が良く伝わってきて感動的だったけど、その威厳と言うか雰囲気が、最初の登場時から備わってた様な…。
底抜けに明るくてキャピキャピ感満点なはずの前半のアムネリスに違和感を感じたのは、物語を通じて成長していく上で生じなきゃいけないそのギャップがほとんど無くで、前半から後半のアムネリスの空気があったからかもしれない。
 
◇最後の石牢のシーン、暗闇に消えていく中で最後のキスを交わすアイーダとラダメス。かなりセンターに近い席(19-20がセンターで17)だったのに、首を中央側に傾けてギリギリでキスをするのが見える程度だった。オレの外側隣の席の人は見えなかったのがわかる位本当にギリギリ。
 
◇あんなにセンター寄りの席でもこんなにギリギリって事は、最後のキスシーンがちゃんと見れるのって、イメージにすると最前列センターから客席奥に向けて細い二等辺三角形を作って、その中に入れた本当に一握りの席だけなんだろうな。
 
それこそ1200~1500席ある劇場で50席に満たないんじゃないかな。
 
◇本当に何度も見て、そのシーンを目当てに座席を取らなきゃ見れないシーンなんじゃないかなって思った。
 
◇PVなんかでも効果的に使われる『例え100回生まれ変わってもきっと探し出すよ』というセリフ、実際にはそこまで際立ってないんだなーと改めて思った。
 
『ナイルが湾曲した先に必ず別の世界が開けているのと同じさ、発見されるのを待っているんだ』
『その世界で私を見つけられる?』
『例え100回生まれ変わってもきっと探し出すよ…アイーダ』
 
ベタベタな恋人同士の臭いセリフに見えるけど、迫りくる暗闇と死の恐怖を必死に押し殺してる感じがするアイーダの強張り気味の口調と、暗闇も死もアイーダと一緒なら怖くないという余裕すら感じられるラダメスの柔らかい口調で語られると、クサイとかそういう安っぽいものじゃない全然違ったセリフに聞こえます。
 
しかしバット!!
 
ここでとんでもないマイナス点を見つけた!
 
このセリフの直後に歌われる『儚い喜び-Reprise-』
 
お互い語りかける様に歌ってるんだけど…
 
ラ『何ものにも縛られず』
ア『愛の地平線目指し』
二『この世の憂さを捨て去り二人だけの世界へ』
 
この最後の一文字、“へ”
 
なんでそこだけ間抜けな音を出したの阿久津さん!
台無しじゃん!
 
◇100回生まれ変わったかどうかは知らないけど、冒頭のエジプト展で、何となく気になりあってる男女、という形で再会を果たした、ついに見つけ出した…という意味でいいんだよね?お互いにそうだというアクションは結局見せないまま幕を閉じちゃうけど、あそこで再会出来たからアイーダはハッピーエンドなんだよね?そう信じてます。
 
◇カーテンコールは6回。5回目でスタオベ来ました。
 
◇5回目で手を取り合ったゾーザーとアムネリスが6回目で腕を組んだのを受けて、アイーダがラダメスをいたずらっぽい表情で見詰め、少し考えたラダメスがアイーダの頬に軽くキスをする、この演出も大好き。
 
やっぱりアイーダは大好きだ。
 
大阪まで観に来た甲斐が本当にありました。
 
でもこれで見納めだとは思いたくない、もう一度どこかで観たい。
 
さて、これから京都に移動してオペラ座の怪人を観てきます。