演劇集団ULPS【エレジー 父の夢は舞う】 | たかびの自己満観劇ブログ
昨夜は、飲み屋で知り合った方が出演する舞台を鑑賞してきました。
 
あちらが舞台役者をしており、そしてオレは舞台鑑賞が好き、という事で、お互いにじゃあ是非という事で今回に至ったわけで。
 
会場は阿佐ヶ谷アートスペース・プロット。
 
阿佐ヶ谷の芝居小屋は、旧・スタジオはるか、ひつじ座小劇場に続き3件目。
 
座席数40に満たない様な小さな小さな箱で、最前列に座ると、脚を小さく纏めていないと舞台に踏み入れちゃいそうな空間でしたが、こういう芝居小屋、好きなんですよね~。
 
演劇集団ULPSの公演で『エレジー 父の夢は舞う』という作品。

たかびの自己満観劇記


何でも古くからある有名な台本らしく、前年には平幹二朗さん主演での公演もあった様です。
 
何となく懐かしさを感じる古い家屋の居間を舞台に、やはり昔ながらの偏屈な頑固親父を中心に5人の登場人物がギスギスした人間模様を描く。
 
頑固で偏屈な親父、頑固親父とはまるで正反対で明朗な性格の弟、頑固親父の亡くなった息子の内縁の妻、その叔母、内縁の妻に求婚する青年医師。
 
親父と息子で買った家を、息子亡き今その権利を主張する為にローンを払い続ける内縁妻、その支払いの手助けをする代わりに権利を主張する叔母と、更に大胆な発言をする医師、なんとか事を避けたいが為に奔走した気のいい弟がやらかしてしまったポカで事態は最悪の方向へ。
 
特に頑固一徹な親父と、ややヒステリック気味な内縁妻は火に油を注ぐような言い合いを顔を合わせる度にして…。
 
もうギッスギスな空気が充満してる中で、知らずに不用意にした発言が更に空気を緊迫させる様な場面を挟みつつ、その空気の中で微妙な関係の変化が面白いお芝居でした。
 
微妙な関係の変化…と言ったけど、時には瞬時に敵味方相関図が入れ替わってしまうシーンもあり、今まで激しい言い合いをしていた同士が突然結託して介入しようとした人を集中砲火…なんて事も。
 
しまいには内縁妻、叔母、医師が狂気じみたテンションでお互いをいがみ合う様になり、最後の最後まで誰が本当の事を言ってるのかわからない、どの主張も信用出来ない、そんな状態に。
 
人間の表裏と生まれ変化していく感情、そこに生まれる哀の心。
 
ストーリーを追って見ていく、と言うよりも、その中での登場人物達の心理の変化を楽しむ作品だったんじゃないかな、と。
 
登場人物達も、もうあなた…根っからの頑固で偏屈な親父でしょ!?と言いたくなる様な容姿の親父役と、髪は白いながらに本当に年が離れない兄弟か?と思うほど若さを感じる弟など、ビジュアル的にも面白さがあったり。
 
ちなみに知り合いになった女優さんは叔母役で登場、髪の生え際に白髪が目立つ、50歳にさしかかろうかという格好で登場してきてビックリ(当然実際は全然若いです)
 
どこか陰湿な空気をかもし出しつつ、お淑やかな感じからの後半の発狂振り…凄かった。
で、結局一番病んでたのは叔母なんですか?(笑)
 
難しくも面白いお芝居でした。
 
終演後に舞台衣装のままの女優さんとご挨拶しましたが、近くで見るとやっぱり顔は若いままなんだけど、舞台上では妙に老け顔に見えたのは凄いなーと。
 
そして舞台上での凄みを利かせた睨みつけ、物凄い迫力でした。
 
また次の公演もお声掛け頂ければなーと思います。
 
そう言えば、なんだか絶対コイツ嫌な人間だなーという印象を受けずにはいられなかった青年医師役の役者さんが小屋の外で談笑をしているのを帰り際に見かけましたけど、本人もあの役は嫌だ…と言ってるのが聞こえました(笑)
 
↑後から冊子を見直して、この医師役がこの劇団の代表だと知ってびっくり。
 
さてさて、久し振りの小劇団鑑賞でしたが、今後も定期的に観に行く劇団になるか否か?
 
今後も期待したいと思います。