最近まで題名しか知らなかったこの作品、実は昨年秋から公演されたソング・アンド・ダンス The
Spiritでナンバーを扱われるまでは、作品タイトルの地味さからストレートプレイだとばかり思ってました(笑)
樋口麻美さん、佐和由梨さん、寺田真実さん、金本和起さん、永井崇多宏さん、戸田愛子さん、川原信弘さん、有賀光一さんと、ほとんどは再見になる役者さん…知らない間に随分沢山の役者さんを見てるんだなあ。
座席は前から2列目センターやや上手寄り。
では感想を箇条書きにて…ネタばれ御免。
◇作品は、エビータやJCSやレ・ミゼラブルなどの作品と同様に台詞がほとんどなく歌で綴られる作品でした。
◇モンマルトルという地名はこの作品で知ったんだけど、かの有名なムーラン・ルージュもこのモンマルトル付近にあるんだとか。
◇冒頭の役所のシーン、もう初っ端から公務員を侮辱するかの様な歌詞の歌が歌われ度肝を抜かれました。
♪俺達暇人だよ、一日やる事ない~
♪クレーム処理課も40人、レポートでっち上げ~
♪苦情はどこ吹く風、それでも貰えるよ月給~
♪一秒でも過ぎればすぐに帰るんだ~
♪クレーム処理課も40人、レポートでっち上げ~
♪苦情はどこ吹く風、それでも貰えるよ月給~
♪一秒でも過ぎればすぐに帰るんだ~
こんな歌詞の歌が公務員達に寄って歌われる『公務員のコーラス』
◇いや、オレなんかはお役人仕事と構えてのらりくらり仕事してる…要は一般企業の人間から見ると、のーんびり動いてる役人を窓口とかで見付けたら、クレームをガンガン付けて無理矢理こっちのペースで動かさせるタイプだから別にいいんだけど、中には気分を害する人もいるんじゃないか~この歌詞?
(^-^;
(^-^;
それにしたって、クレームを付けなきゃいけない程のらりくらりな公務員なんて、極一部を除いてそうそういないしね(^^;
◇そんな中、真面目に仕事をするデュティユルが現在タイプ中の手紙の内容を歌にしてる『タイプを打つデュティユル』という曲は好きだなー。テンポ早い曲に言葉がセンス良く割り振られてるんだけど、歌う方は大変だろうなー。
(^-^;
(^-^;
◇家路に付くデュティユルが最初に壁抜けを体験するシーンの演出は上手いなーって思った。マジックミラーの性質を上手く利用してるよね。
◇娼婦が持ってきたお香?の匂いがたまらなく臭かった!マスクをしてても臭いって感じたので、相当臭いんだろうなー…。
◇壁を抜ける事に気付いたデュティユルが、自分を守ってくれていた壁がいなくなった、と表現したのは印象的だった。
◇序盤から早くもテーマ曲である『壁抜け男のソロ』が歌われるも、サビの♪人生は素敵~人生は最高~の部分がなかなか歌われず、何だかヤキモキした(笑)
◇結局本編中では♪人生は素敵~人生は最高~の部分は一度も歌われる事がなかったという…(笑)
◇大掛かりな舞台転換が一切無い中で、細かな転換に目を奪われました。特にド真ん中にあるパン屋が宝石屋に替わるシーンは面白いと思いました。あんなやり方があるんだーと感心。
◇デュティユルが壁を抜ける事で何かをしようと思う頃になると、様々な『壁抜け』の方法が披露され、なるほどなーと見入りました。
◇特に壁の中から手や顔が出るシーンは面白いと思った。
◇曲の調子がコロコロ変わるから言葉の台詞がなくても飽きが来ないです。
◇ただ、あまりに転調やテンポの変化が多い為、歌う方は相当大変だった様です(笑)
◇警察が陽気すぎてウケた(笑)
◇ヒロインの筈のイザベルは、ちょくちょく地味に姿を現すものの、なかなか歌わず。
◇全体的にイザベルが歌うシーンは非常に少なく、むしろ何役もこなしているキャスト達の方がよっぽど多く歌ってます。
◇ヒロインだからって前面に出て歌いまくるワケじゃないのかーと。
◇そのあまり歌わないヒロインに樋口さんというのも贅沢なキャスティングですねぇ。
◇そして夫になにかと制圧されて自由が奪われているイザベルを見て【コンタクト】にも同じ様な設定があったなーと思い出してみたり。
◇二幕に登場した太り過ぎの囚人がインパクト大だったなァ、あれ二人羽織だよね?
◇M嬢(で良いんだよね?)が歌う♪デュティユ~ッル!デュティユ~ッル!って曲が好き。
◇しかし今更だが、なんでデュティユルなんて読みにくい書きにくい発音しにくい名前なんだろう。フランスってこういう日本人には難解な名前がそんなに一般的なの?
◇デュティユル、イザベル、新聞売り、画家、M嬢以外の全ての役が1人2~3役な為、1幕でデュティユルを捕まえに来た警察官と顔がそっくりな人が2幕でデュティユルを擁護してたりと、ビジュアル的にもなんだか笑ってしまいそうな要素が多く見られた。
◇逮捕されたデュティユルの解放運動で騒ぐ民衆が裁判官に詰め寄って暴動寸前になってる中で、さりげなーく♪Happy Birthday to
Youのメロディーが挿入されてたのがビックリ。歌詞は裁判官を責めてるのにメロディはお誕生日って…(笑)
◇牢屋から抜け出し、いよいよイザベルに気持ちを伝えるか否かのシーンでデュティユルが着てたスーツ…全身レンガ柄の派手派手な生地に、そんなスーツがモンマルトルのどこに売ってるんだよ!とツッコミを入れたくなった(笑)
◇場面に応じて千変万化の曲調を見せる音楽でありながら、ミュージカルの醍醐味ともいえる壮大な盛り上がりを見せるシーンはない。だけど、一貫して非常に心地良い感じがしたなー。
◇女に溺れすぎてはいけないというアル中精神科医の忠告を破ったデュティユルが、モンマルトルに実在するオブジェのごとく壁に埋もれてしまうシーンは切なかったけど、もっと切ない感じがしたのが、壁から抜け出せなくなったデュティユルのそばに寄り添ったイザベルと一緒に最後に…あれは切ない気分になりました。
◇一旦幕が下りて、再度幕が開いてからアカペラで歌われた【壁抜け男のソロ】、ここで初めて♪人生は素敵、人生は最高と歌われますが、この曲はThe
Spiritバージョンしか聴いた事がなかったんだけど、オリジナルの終わり方の重厚感にビックリしました。
◇人生は素敵、人生は最高。別に特別でも何でもない言葉だけど、色々な意味が込められてるんだろうなぁ。
◇そして、幸せって別に特別でも何でもない所にあるんだろうなぁって。
◇なんだかほっこり幸せになれた気がする作品でした。
◇ちなみに、四季ベア【壁抜け男】バージョンは、モンマルトルのどこにそんなスーツが売ってるのか、というスーツです(笑)
◇さてさて次回の四季鑑賞は来週火曜日のエビータです。野村エビータと秋エビータのダブルキャストとなっている今回、観に行く回は希望通り秋エビータが当たりほっこりです。
(*^-^*)
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