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2011年秋、「gdgd妖精sが、かなり面白い」という話題がネット上にあがってきました。このアニメ番組に対してまったくノーチェックだった私は遅れて見始めたのですが、見始めて
「これは面白いし新しい。こんな感覚は初めてだ!」
と感心してしまいました。一言で言えばgdgd妖精sは
「声優ラジオ番組などのグダグダなギャグの感覚が、アニメ化されてしまったもの」
であり、そして
「プレスコとローポリゴンCGによるギャグアニメ」
という、まったく新しいジャンルそのものを作り出してしまったものなのです。いったいどんなところが新しいのか以下に解説してみようと思います。
「gdgd妖精s」というアニメ番組ですが、最初番宣の静止画だけ見てもインパクトを何も感じませんでした。何しろCG、それもかなりローポリゴンの (つまり時代を10年か20年前に遡ってしまったかのような) 単純なCGを使っており、現代の精緻なCGアニメを見てしまっている人間にとっては魅力的でも何でもない絵だからです。ところが実際にアニメを見てみて、そのノリの良さに一気にとりつかれてしまいました。
この「gdgd妖精s」の魅力を語るために、まず従来のギャグアニメの利点と欠点を、漫才や実写のギャグ番組と比べて考えてみようと思います。漫才は実際の人間が舞台上でギャグを繰り返しますが、それが舞台上であるだけに、絵的な広がりはありません。例えば「おならをしたら、もう一人の人間が500m向こうまで吹っ飛んでいった」などという空間的広がりを持った非現実的な絵を伴うギャグは、漫才のような舞台上では無理です。そしてこのような空間的な広がりや、現実にありえない絵を使おうとすると、特撮を使った実写か、それともアニメか、ということになります。しかし特撮を使った実写はかなりお金がかかり、ビジネスとしては大きなリスクを背負うことになります。これに対してアニメであれば、深海に潜ろうが、宇宙に飛び出そうが、特撮を使った実写と比べれば比較的低予算でできます。この点が従来のギャグアニメの、漫才や実写のギャグ番組と比較しての利点であるということが言えます。
しかしその一方で従来のギャグアニメは、漫才や実写のギャグ番組と比較して、ある欠点も持っていました。それは「ライブ感覚」のなさとでも言うべきものです。従来のギャグアニメは、まず音のない動画が作られ、それに対して「アフレコ」という形で、後から声優が声をあてる形式が取られます。ということは、動画が作られる時点で「どの言葉を、どのタイミングで話すか」ということが決まってしまいます。もちろん声優がアドリブを加えることもあるのですが、それにしても画面の中の人物の口パクに合わせなければ絵的に破綻してしまいます。笑いの内容とタイミングが最初の時点から計算し尽くされており、そこにハプニングが起きる余地はありません。漫才などでありがちな、台本と違うギャグを飛ばし始めるなどというライブ感覚は、従来のギャグアニメにはありえなかったのです。
それではアニメにこの「ライブ感覚」を持ち込もうとするならどうすればよいのかというと、「アフレコ」ではなく「プレスコ」を用いるという方法があります。動画を作る前に、先に声優の音声を収録し、それに合わせて後から動画を作ってしまう方法です。これなら声優の持っているライブ感覚を発揮できます。
しかし日本のアニメ番組でプレスコを採用するものはほとんどありません。なぜならアフレコよりも絵を作ることがかなり面倒になり、納期に間に合わせようとすれば、アフレコ以上のアニメーターのマンパワーが必要になる、つまり制作費用がかかりすぎてしまうからです。私自身は今まで「プレスコによるギャグアニメ」というものを見たことがありませんでした。(話によると「ウゴウゴルーガ」がそれに近かったという話を聞いていますが)
ところで、ここで「gdgd妖精s」は発想の転換を行いました。ローポリゴンCGを使うことにより、基本的にほぼ一人の動画制作者だけでプレスコの音声に合わせたアニメーション作成を可能にしてしまったのです。かくして今までにない
「ライブ感覚にあふれたプレスコによるギャグアニメ」
ができてしまったのです。
ローポリゴンであるだけに、絵としてはしょぼいのですが、しかしシリアスではなくギャグなのですから、あまり気になりません。この「プレスコ」と「ローポリゴンCG」を組み合わせてしまったのが、「gdgd妖精s」の画期的なところです。
例えば従来のギャグアニメではありえなかった、声優がNGを出したり、マジ切れしたりしてしまった部分すらも、「gdgd妖精s」はギャグとして動画をつけて、より面白くすることに成功してしまいました。例えば第6話ではシルシル役声優の水原薫さんが「ごまかすんだー」と話すべきところを、「ごますんだー」と喋ってしまうというNGを出しリテイクし直されたのですが、このNGからリテイクの過程がそのまま動画付きで放映されてしまったのでした。
水原薫さんはTwitterで
「あのぅ…MAJIでREALに間違えたテイクがONAIRされたんすけど… 木のせいか( ̄ω ̄;」
と嘆いておられたのですが、そんな今までのギャグアニメではありえなかったライブ感覚の笑いを生み出すことに「gdgd妖精s」は成功しています。その一方でもちろん漫才などでは得られないようなアニメならではの「非現実的な描写」も取り入れられています。
また、さらにこの新しいジャンルが「数少ないスタッフと、極めて低予算で作られた」という点も特筆すべきでしょう。極論すればこの方式を使う限り、ポリゴンCGを作れる技術者と、アドリブでのギャグがうまい声優を使えば、それで面白いギャグアニメができてしまう可能性があります。極めて低予算でありながら、Bruelay/DVDの予約状況は大変良いように聞こえてきますし、ビジネスとしてはローリスク/ハイリターンが見込める旨味のある新ジャンルだということが言えます。
そのことから考えると、おそらくこの新しい方式で作られるギャグアニメが、これから増えてくるのではないでしょうか。まったく新しい感覚のギャグアニメの新ジャンルを切り開いたということで、この「gdgd妖精s」は評価できると私は思います。
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