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「国債の二つの役割、政府の貨幣発行と日銀の貨幣発行(前半)」三橋貴明 AJER2024.7.30
  

令和の政策ピボット呼びかけ人に「独身研究家 荒川和久先生」が加わって頂けました。

 

財務省が仕掛ける緊縮政策「遺族年金減額」を徹底追及![三橋TV第898回]三橋貴明・菅沢こゆき


https://youtu.be/J_MpNGilkKQ

 一般の人というか、多くの日本国民が理解できないのは、
「輸出等で稼いだ外貨を日本国内に持ってくることはできない」
 という点です。


 理由は簡単で、日本国内では外貨が使えないためです。


「いや、自分は外貨預金を持っているぞ」
 と、思われた方がいるかも知れませんが、それは例えばアメリカドルならば、
「貴方がアメリカにドル資産を持っている」
 だけで、日本に持ってきているわけではありません。貴方がアメリカで保有するドル資産を、WEB上で見ている、というだけの話です。


 ドル建て預金を日本国内で「貨幣化」したいならば、両替するしかありません。その際には、日本の銀行が、
アメリカの負債(ドル建て預金はアメリカの銀行の負債)を引き受け、日本円の銀行預金を発行する(キーボードで打つ)
 ことで、貴方の日本国内の銀行のお預かり金額を増やしたに過ぎません。実は、「両替」も信用創造の一種なのです。


 元々は貴方のものだったドル建て預金という日本の対外資産(アメリカの対外負債)は、両替してくれた日本の銀行の「アメリカにおける資産」として残り続けます。


 アメリカ・ドルは日本国内で使えない以上、当たり前の話なのです。


 というわけで、日本がアメリカと貿易や投資をし、ドルを稼いだとして(=経常収支の黒字)、そのドル資産は未来永劫(資本移転等をしない限り)、日本国の対外資産として残り続けます。


 逆に、外国が日本との取引で日本円を稼ぐと、それは「外国が日本に日本円建て資産」として永遠に残り続けます。


 一定期間内の、日本と外国の取引の収支を意味するのが「経常収支」。そして、経常収支の黒字は日本の対外純資産(=対外資産ー対外負債)として蓄積されていきます。

上半期の経常収支 黒字額 去年同期比4兆7000億円余増
 日本が海外との貿易や投資などで、どれだけ稼いだかを示すことし6月までの上半期の経常収支は、黒字額が去年の同じ時期より4兆7000億円余り増えました。貿易赤字が縮小した一方で、企業が海外への投資で受け取った配当や利子などが増えたことが主な要因です。
 財務省が発表した国際収支統計によりますと、ことし1月から6月までの上半期の日本の経常収支は12兆6817億円の黒字でした。
 黒字額は去年の同じ時期と比べて4兆7148億円増えました。(後略)』
 

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特別コンテンツ「三橋貴明×宇山卓栄:日本人はどこから来たのか(前編)」がリリースになりました。
https://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/

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 というわけで、日本の経常収支。

【日本の経常収支(右軸)と部門別収支(左軸)の推移(億円)】


http://mtdata.jp/data_92.html#keijou

 日本の経常収支は、所得収支(第一次所得収支)が巨額化しておりまして、貿易収支が多少赤字だろうとも、それを余裕でカバーし、全体で黒字の状況が続いています。


 円安で、日本の輸出が激増した(100兆円超えた)ため、貿易収支の赤字は縮小。下手をすると黒字化するため、経常収支全体の黒字はさらに膨らむでしょう。


 ちなみに、貿易収支の赤字が悪、経常収支の赤字が悪、という話ではありません。何しろ、世界最大の貿易赤字国、経常収支赤字国はアメリカ合衆国なのですよ。(当然、対外純負債もアメリカが世界最大)


 2022年の経常収支を見ると、データが揃っている186カ国の中で、経常収支赤字国が130国。黒字国は56カ国でした。
 

 誰かの黒字は、誰かの赤字である以上、当然です。
 

 別に、日本が貿易赤字だろうが、経常収支赤字だろうが、経済が成長し、国民が豊かになっているならば、それで良いのです。とはいえ、日本国民の多くは「黒字は善、赤字は悪」とう印象が頭に刷り込まれているため、間違える。


 例えば、先日、財務官から内閣官房参与に横滑りした神田眞人の勉強会「国際収支から見た日本経済の課題と処方箋」懇談会の報告書には、こうある。


『我が国の経常収支は安定的に黒字を計上し、2023年度の黒字は過去最大となっている(図表1)。また、2023年末の対外純資産残高は過去最大の471兆円に達し、33年連続で世界最大の純資産国となっている。
このように、国際収支面から見た我が国の状況は盤石なように見えるが、その内容を子細に分析していくと、決して楽観できる内容とは言えない』

 いや、こいつらマジで、「経常収支の黒字は善、赤字は悪」と思っているわけじゃないよな。そんなことを言ったら、アメリカはどうなるんだよ。


 日本の問題は、黒字赤字の問題ではなく、経常収支の黒字として稼がれた外貨が日本円に両替されず、日本国内に投資されず、外貨のまま外国に再投資されてしまうという点です。


 つまりは、外貨を稼いだとしても、それが(両替されて)日本国内の経済成長のために投じられていないのです。


 なぜ、国内投資が進まないのかといえば、それはもちろんデフレという需要不足が続いているためです。


 それにも関わらず、財務省の官僚は、神田の報告書を読めば分かりますが、
「このままでは貿易赤字が悪化し、経常収支も赤字化しかねない。それは、悪だ」
 という理屈で、「外資を呼び込むための財政健全化」「外貨を稼ぐための規制緩和、競争激化」といった、意味不明な「対策」を持ち出してくるのですよ(持ち出してきている)。


 経常収支の黒字ですら、緊縮財政や構造改革の理由として持ち出してくる。普通に狂っている、としか表現のしようがないのですよ、マジで。
 

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