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「国債の二つの役割、政府の貨幣発行と日銀の貨幣発行(前半)」三橋貴明 AJER2024.7.30
令和の政策ピボット呼びかけ人に「独身研究家 荒川和久先生」が加わって頂けました。
「少子化だから経済成長しない」という嘘〜意外と知らない経済成長のカラクリ[三橋TV第896回]三橋貴明・菅沢こゆき
https://youtu.be/m1IA8HCEmUQ
昨年のちょうど今頃から、
「日本銀行が利上げをする」
「国債利払費が上昇する」
という「金利ある世界」キャンペーンが始まりました。しかも、「春闘の結果を踏まえ、3月に日銀が利上げする」と、細かい情報までもが流れていた。春闘における「5%」という数字も出回っていました。
というわけで、わたくしは、
「2025年度にPB目標の期限が来るため、財務省は国債利払費を含む財政収支の黒字化を目標にしてくる」
と、予想し、あれこれ書いてきたわけですが、24年3月の日銀のマイナス金利政策解除以降の動きを見る限り、間違っていなかったようです。
『金利が動く世界へ(4)利払い費増、迫る健全財政 選択と集中、成長の礎に
金融緩和頼みの経済から、民間主導の自律成長へ。企業も家計も確かに動き始めている。ただ財政政策だけは自律型とほど遠い。岸田政権は円安で値上がりした電気・ガス料金の負担を軽減する家計への補助金を8月に3カ月ぶりに再開した。(後略)』
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特別コンテンツ「三橋貴明×宇山卓栄:日本人はどこから来たのか(前編)」がリリースになりました。
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凄い・・・。ここまで露骨だともはや笑ってしまうのですが、2033年には長期金利が3.5%に上昇し、利払い費が20兆円を超えてくるとのことです。
日本の長期金利(新規発行十年物国債金利)は1%に満たず、世界最低水準。というか、世界最低。
日本の23年の長期金利はわずか0.56%に過ぎず、低金利国として有名なスイスを抜き去り「世界最低」でございました(世界最低金利の玉座は、大抵は日本とスイスが争っています)
国債金利が世界最低の国で、
「これからは利払費が増え、破綻する! 国債利払費も含めた財政収支で財政状況を見なければならない」
と主張したところで、嘲笑されるだけです。
だからこそ、
「これからは金利ある世界! 利払費が急騰する。実際、日銀も利上げしているじゃないか」
と、国民や政治家に思わせる必要があり、日銀に利上げをさせる必要があったわけです。
『(引用)11年、欧州債務危機で市場の標的となったイタリアは、PBが黒字にもかかわらず国債が売り浴びせられ、長期金利は7%まで急上昇した。財政の不安なく日本経済が成長するには「PBだけでなく、利払い費を含めた財政収支全体でみる必要がある」(白鴎大の藤井亮二教授)』
ほらね? 露骨でしょ?
イタリアはユーロ加盟国で、イタリア政府に通貨発行権はない(ECBのみ)。イタリア政府は主体的に長期金利を調整することはできません。
対する日本は主権通貨国で、しかも日本銀行は本気になればイールドカーブコントロールさえやってのける。(やってのけた)
それにも関わらず、共通通貨国の事例を持ち出し、国債金利が世界最低の国で、
「利払負担が増えるから、財政収支の黒字化に目標を切り替えなければならない」
と、やってくる。そのために、デフレの国で日銀を利上げに誘導させた(としか思えない)。
財務省は、普通に狂っているのです。