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「国債の二つの役割、政府の貨幣発行と日銀の貨幣発行(前半)」三橋貴明 AJER2024.7.30
  

令和の政策ピボット呼びかけ人に「独身研究家 荒川和久先生」が加わって頂けました。

 

特別ゲスト川田龍平議員登場!失われる日本のタネを守るローカルフード法とは何か?[三橋TV第893回]川田龍平(立憲民主党参議院議員)・三橋貴明・菅沢こゆき


https://youtu.be/YJ65pP7TmB4

 

 

 今回の日銀の利上げが何が「まずいな」と思ったかと言えば、「政権の方向」と「官僚の方向」が完全に食い違っている事実が露呈してしまったことです。


 例えば、現在は実質賃金が26カ月連続で減少中。さらには、実質消費が不気味なほどに弱含んでいます。

【日本の実質消費支出(対前年比%)の推移】


http://mtdata.jp/data_92.html#RC2405

 消費が減っている理由は、実質的な可処分所得が減少していることです。要するに、カネがないので、消費できないのです。


 そのタイミングで、短期プライムレートを引き上げ、住宅ローンの変動金利や企業の短期借り入れ金利を上昇させる「利上げ」を日銀が断行した。


 日本銀行は、
「金融政策の裁量を広げる」
 という理由から、タイミングを見ては利上げをしたがります(黒田日銀時代は例外だった)。つまりは、
「いざというときに利下げできるように」
 と、「ゼロ」からの幅を保ちたがるのでございます。もっとも、これは「官僚的な理由」ですよね。


 そして、官僚的な理由により「国民のためにならない政策」を行政が強行し、意味不明なレトリックで言い訳をする。これが、日本の官僚スタイルです。

日銀総裁、住宅ローンへの影響「賃金が先に上がり、負担は軽減」
 日銀の植田和男総裁は31日の記者会見で、住宅ローンへの影響について「利上げが変動型の住宅ローン金利に跳ねることも考えられる。一方、賃金上昇は続く見通しで、金利が上がっても(住宅ローンの)利払い額は5年間据え置かれるルールのものが多い。賃金が先に上がり、その後に利払い額が上がり、負担はかなり軽減される」との見方を示した。』

 いや、
「賃金が先に上がり、負担は軽減」
 と主張するならば、せめて「賃金が上がっている」データを確認してから利上げをしろよ。実質賃金が絶賛、26カ月連続で下落している状況で、何を言っているんだ。
 

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特別コンテンツ「三橋貴明×宇山卓栄:日本人はどこから来たのか(前編)」がリリースになりました。
https://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/

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 31日の金融政策決定会合では、日銀委員の内、二名が反対。七名が賛成で利上げとなりました。


 反対者の一人、中村豊明氏は、
次回の金融政策決定会合で法人企業統計などを確認してから、変更を判断すべきで、今回は考え方を示すにとどめることが望ましい」
 野口旭教授は、
賃金上昇の浸透による経済状況の改善をデータに基づいてより慎重に見極める必要がある
 と、反対の理由を述べています。 


 その通りです。どう考えても、このタイミングでの利上げは、早すぎる。何しろ、「利上げすべき」と示唆するデータは一つもない。利上げするならば、各種のデータが上向くのを確認してからでも、遅くはない。


 ちなみに「円安」は利上げの理由になりません。為替レートを所管しているのは財務省であり、日本銀行ではありません。


 とはいえ、円安による輸入物価上昇は日本銀行に「利上げしろ」という圧力を与えた。


 そこに、利上げを切望する財務省の圧力が加わった。財務省は、もはや来年のPB目標などどうでも良く、その後の「財政収支黒字化」の目標化に注力しています。


 日本銀行の利上げは「金利ある世界(※元々そうだっつうの)」「国債金利が上がる」といったレトリックで、財政目標を「財政収支」に切り替えることを容易にします。


 そもそも、日本銀行は金融政策の自由度の幅を広げたいため、ゼロ金利を嫌がる。


 結果的に、政治の都合や国民経済を無視した利上げが強行された。


 もはや、日銀も財務省も「国民経済」はもちろんのこと、「岸田内閣の行方」すらどうでもいいのでしょう。今回の利上げで、岸田総理の再選の芽は摘まれたと思いますが、そんなことはどうでもいいのです。


 財務省は、とにかく緊縮路線を貫くことが省是。とりあえずは、財政指標の目標をPBなどという「甘い指標」から財政収支に切り替えること。


 日本銀行は、金融政策の裁量を確保しておきたい。9月に入ると、政治的日程から利上げするタイミングがなさそう(FRBの利下げも始まるでしょうし)。というわけで、駆け込み利上げ。


 官僚の行政が政治から離れてしまった。今回の利上げは、日本の政治が最終的な袋小路に行き着いたことを示しているのです。


 これはもはや、岸田退陣どころでは話が済まない。日本で、官僚政治が暴走をし始めている。
 

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