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「国債の利払いが増えて破綻する論を、財務官僚が、国会答弁で否定してしまった。(前半)」三橋貴明 AJER2024.6.25
令和の政策ピボット呼びかけ人に「独身研究家 荒川和久先生」が加わって頂けました。
【全編公開】岸田政権の大罪/戦後最長の実質賃金下落はなぜ起きたのか?[三橋TV第882回]三橋貴明・saya
https://youtu.be/R6ShmBr9URY
昨日の講演(と講演後の懇親会)で、
「結局、国債はいくらまで発行できるんですか?」
と、何度も質問を受けたのですが、これまた何度も同じ答えを返していますが、インフレ率によります。
そもそも、落ち着いて考えてみてください。1970年度の政府の長期債務残高(ほぼ国債)は、7.3兆円だったのです。当時から国債発行残高は増え続けていましたが、
「結局、国債はいくらまで発行できるんですか?」
に対して、例えばそれっぽい答えを言いたい人は、「う~ん・・・。10兆円くらいまでは大丈夫なのでは」と、適当かましたことでしょう。相手は「なるほど~」と納得したと思います。
「100兆円くらいまでは・・・?」と返すと、「国の借金が十倍以上になって、破綻しないはずがないだろ!バカか!君は!」
と、猛反発を受けたのではないでしょうか。
現実には、2023年度時点で1285兆円。177倍になりました。
【日本の政府の長期債務残高の推移(兆円)】
http://mtdata.jp/data_88.html#saimuzandaka
そして、現在、
「結局、国債はいくらまで発行できるんですか?」
と、問われたとして、「う~ん・・・。1500兆円くらいまでは大丈夫なのでは」と、適当かませばいいんですかね。
国債や政府の債務残高の「数字」には、大した意味はありません。政府の債務残高増加とは、過去に政府がその金額分、国民に貨幣(現在は銀行預金)を提供した記録に過ぎないためです。
政府の債務残高が増えていたところで、インフレ率(※デマンドプル限定)が適正な水準を維持するならば、単に「国民が豊かになっていっている」というだけの話に過ぎない。
その際の政府債務残高の増加ペースが「何パーセントなら正常」といった話もない。インフレ率が適正水準ならば、1%が正解かも知れないし、5%が正解かも知れません。(事前のシミュレーションはある程度できるでしょうけれども)
人間というのは面白いもので、「特定の数字」に意味を持たせようとする。例えば、1971年時点で、
「間もなく、国の借金が10兆円を超える! 破綻する!」
と叫べば、恐ろしいほどの説得力を持ったことでしょう。
1979年には「間もなく100兆円を超える!」ですし、2013年には「1000兆円を超える!破綻する!」です。
現実には、10兆を超えようが、100兆を超えようが、1000兆円を超えようが、破綻しませんでした。
まあ、するわけがないのですが、今は、
「1000兆円を超えたから破綻する!」
になったのでしょうけれども、もちろん家計や企業の負債は別ですが、政府の債務残高は何兆円だろうが、何京円だろうが、「政府が国民に供給した貨幣」の記録なのです。
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特別コンテンツ「三橋貴明×宇山卓栄:日本人はどこから来たのか(前編)」がリリースになりました。
https://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
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「絶対額に意味がないとして、対GDP比はどうなんだ!日本は世界最悪だ!」
と、反発されたくなったかもしれませんが、
【日本・アルゼンチン・ギリシャ・レバノンの政府債務対GDP比率(%)】
http://mtdata.jp/data_88.html#seifusaimu
アルゼンチン、レバノン、ギリシャは、政府債務対GDP比率が日本よりもはるかに「良好」だったにも関わらず、財政破綻しました。理由は、アルゼンチン・レバノンはドル建て国債、ギリシャはユーロ建て国債の債務不履行に陥ったためです。自国通貨建て国債ではないのですよ。
自国通貨建て国債しか発行していない日本、アメリカ、イギリスなどにとって、政府の債務対GDP比率に意味はありません。というか、政府の債務対GDP比率の上昇は、
「GDPが成長していない。政府債務の増加が不十分だ!」
というメッセージなのでございます。政府が国債を発行し、支出し、経済成長率を高めれば、政府債務対GDP比率は必ず下がります。
まさに、日本でございます。