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「日本はなぜ経済成長したのか(前半)」三橋貴明 AJER2024.6.4

  

令和の政策ピボット呼びかけ人に「独身研究家 荒川和久先生」が加わって頂けました。

 

やまと経営者連盟 古賀真さんが登場!~中小企業の経団連「大経連」とは何か? [三橋TV第875回]古賀真・三橋貴明・saya

https://youtu.be/SGvyzILMYO8

 

 

【緊急】6月23日 与野党の積極財政派が大集結!豪華ゲストによる特別シンポジウムが6月23日(日)に開催されます。
是非、ご参加ください。

http://dpweb.jp/382024

 

 日本の経常収支の黒字が史上最大を更新しました。


 ちなみに、経常収支の黒字は、「経常収支が黒字でした」という話であって、経済力がある、ない、黒字が良い、赤字が悪いの指標ではありません。


 何しろ、世界最大の経常収支赤字国は、アメリカなのですよ。


 さらに、経常収支の黒字は「日本が生産する財・サービスの競争力が高い」といった指標でもありません(そのケースもあるけど)。


 日本の経常収支黒字の主役は所得収支(第一次所得収支)であり、貿易収支やサービス収支ではありません


 所得収支とは、日本の対外資産からの収入(金利、配当金等)から対内資産への支出を差し引いた収支です。日本は世界最大の対外純資産国であるため、所得収支の黒字が巨額化しているのです。


 日本の貿易収支は、2010年までは黒字でしたが、翌年の福島第一原発事故により赤字化しました。鉱物性燃料の輸入が激増したためです。


 そこに、コロナ禍の反動、ロシア・ウクライナ戦争、円安で、輸入物価が急騰。2022年度の貿易赤字は史上最大になりました。


 輸入物価の上昇が落ち着いたため、2023年度の貿易赤字は一気に縮小します。

【日本の経常収支(右軸)と貿易・サービス・所得・経常移転収支(左軸)(億円)】


http://mtdata.jp/data_91.html#CA23

 2022年度の貿易赤字は17.8兆円でしたが、何しろ所得収支黒字が35兆円を超えていますので、経常収支が赤字になることはありません。まあ、別に赤字になったところで、「だから何?」な話ではありますが。


 2022年の経常収支のデータが公表されている国々の総計は、186カ国。内、経常収支赤字国は130国です。最大の赤字国はアメリカ(9430億ドル)、時点がイギリス(1214億ドル)、さらにインド(804億ドル)、フランス(597億ドル)と続きます。


 米英印仏について「経済力が弱い」と表現する人はいないでしょ?


 2023年度は貿易赤字が3.6兆円に縮小し、経常収支の黒字が過去最大を更新しました。今後、円安で日本企業が生産拠点を国内に戻せば、そのうち、貿易収支も黒字化するかも知れません。貿易収支が黒字になろうとも、GDPがマイナス成長を続けるのでは意味がないですけどね。(貿易黒字はGDPの純資産になりますが、純資産が増えてもそれ以上に内需が落ち込めば、GDPはマイナス成長になる)


 そもそも、短期的に貿易収支を改善したいならば、原発を全て再稼働すればいい。輸入が一挙に減少するので、貿易収支は黒字になるでしょう。


 いずれにせよ、経常収支も貿易収支も「黒字でなければならない」という話ではないのです。重要なのは、GDPが堅調に成長しているか否かです。
 

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特別コンテンツ「三橋貴明×宇山卓栄:日本人はどこから来たのか(前編)」がリリースになりました。
https://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/

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神田財務官「生産性向上が重要」 国際収支改善巡り
 財務省は18日、国際収支に関する有識者懇談会の最終回を開いた。貿易収支の赤字基調やデジタル赤字の拡大といった構造変化をふまえ、日本経済の課題と処方箋をまとめた提言を月内にも公表する。神田真人財務官は会議後、記者団に成長分野への労働移動を通じた生産性向上が重要だとの認識を語った。
 懇談会は3〜6月に計5回開催した。海外とのモノやサービスなどの取引状況を示す経常収支の黒字は2023年度に25.3兆円と過去最高に達した。一方で、中期的には貿易・サービス赤字の定着などで経常黒字が縮小するとの見方がある。
 神田氏は対応策を巡って委員から、生産性の向上や再生可能エネルギーの利用拡大といった構造改革の必要性を訴える意見があったと説明した。』

 ずれてる・・・・。もの凄く、ずれてる・・・・。


 そもそも、国際収支の「改善」って何だ? 貿易赤字を黒字化したいという話か? なぜ? アメリカは? インドは? イギリスは? フランスは? 四カ国とも巨額貿易赤字(で、経常収支が赤字)ですが、彼らにも改善を求めたら。


 ちなみに、全ての国々が経常収支や貿易収支の黒字になることはできません。誰かの赤字は、誰かの黒字なんですよ。


 経常収支、貿易収支の黒字は、単なる「経済構造の結果」であり、重要なのは「国民の所得(GDP)が増えているか、否か」なのです。


 まあ、やりたいことは分かる。
「貿易赤字を改善しなければならない。そのためには、規制緩和で生産性向上! 最エネ普及!」
 と、特定のビジネスのために経常収支を活用して煽りたいわけです。で、指標について正しい知識を持たない国民はコロッと騙される。


 学ばなければなりません。さもなければ、騙される。
 

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