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「食料安全保障強化の為には政府がお金を使うしかない(前半)」三橋貴明 AJER2024.5.7

  

令和の政策ピボット呼びかけ人に「独身研究家 荒川和久先生」が加わって頂けました。

 

「政府による投資は国の借金...?」日本経済はもう成長できない?1枚の図が示した財務省の大罪[三橋TV第861回]三橋貴明・saya


https://youtu.be/FaYRGPIjr_Q
 

 現在の円安を引き起こしたのは、2020年から2021年にかけた財務省による(相対的)緊縮財政です。


 コロナ禍においてすら、財務省は(国民を救うに)十分な財政赤字を出そうとしなかった。逆に、アメリカはうらやましいほどの財政赤字を出した。
 

 結果的に、日本経済は停滞。アメリカ経済は過熱。
 

 アメリカのインフレ率は、2022年には8%に達した(そもそもアメリカはデフレではなかった)。結果的に、FRBが前代未聞の利上げを実施。日米金利差は2021年にはほぼゼロだったのが、現在は5%超にまで開いています。
 

 もちろん、為替レートは金利のみならず、インフレ率、国際収支の状況などによる「為替市場の思惑」で決まります。とはいえ、さすがにここまで一気に金利差が開けば、普通にドル買い円安が進む。

【日米政府の基礎的財政収支(対GDP比%)】


http://mtdata.jp/data_90.html#JPUSPB

 国民を救うために、十分にプライマリーバランス(基礎的財政収支、以下PB)の赤字を拡大したアメリカ。


 財務省主導の緊縮財政が続き、PBを十分に拡大しなかった日本。
 

 結果的に円安になったわけですが、財務省は「これ」すらも緊縮財政のツールとして活用してきます。円安の原因を日銀の金融政策に押し付け、「利上げ」に誘導しようと図り、骨太の方針2024の議論において、
「国債の利払い費が膨張する!」
 と煽り、PBどころか(国債利払費を含む)財政収支の黒字化を新たな財政指標に据えるべくプロパガンダを展開中です。

財政健全化目標を廃止!?自民積極財政派が掲げる「MSSE」の“いいところ取り”は許されない
◆「骨太24」での財政政健全化目標 積極財政派と健全財政派の論争再燃
 日本銀行が17年ぶりの利上げで金融政策の正常化に踏み出し、国債利払い費の増加が見込まれる中で、新たな財政健全化目標をどうするのか、6月の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針2024)」策定に向けた議論が始まった。(後略)』

 ちなみにMSSEとは、モダン・サプライサイド・エコノミクスの略で、規制緩和や法人税減税といったレーガン政権以来のサプライサイド政策を否定し、財政政策を成長戦略とする考え方です。


 興味深いのですが、この手の積極財政派批判の記事は、テンプレか何かあるのか、必ず、
『日本銀行が17年ぶりの利上げで金融政策の正常化に踏み出し、国債利払い費の増加が見込まれる』
 を入れてきます。
 

 財務省が財政収支に緊縮目標を転換しようとしているのは、間違いないと思います。
 

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皇統論第六十四回「最後の勝者」、歴史時事第六十四回「英雄の物語」が配信になりました。
https://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/

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 後略部に、西田昌司・財政政策検討本部長と、古川禎久・財政健全化推進本部長の「考え方」の要約が載っています。

『(引用)▼財政積極派(西田昌司氏)の考え方
 日本ではこれまで財政出動が不十分だった結果として少子化が進み、消費の抑制や供給力不足につながった。PBの25年度黒字化は事実上達成不可能で、その目標に固執すると予算が縛られるので、廃止か先延ばしにすべきだ。PB黒字化を巡る議論は、政府の財政だけしか見ておらず、インフレ率や民間の貯蓄・投資バランスに着目し経済全体を見るべきだ。貯蓄超過の状態では経済全体のパイが小さくなり税収も落ちてしまう。お金は印刷したらいくらでも作れるし、国民の所得が増えれば税として国庫に戻ってくる。必要な政策の財源を国債で賄うことは問題ない。
▼財政健全派(古川禎久氏)の考え方
 25年度のPB黒字化に向けて、目標を堅持し努力を続けることが必要だ。コロナ禍や物価高への対応という危機対応が終われば平時に戻して、財政秩序を回復させる必要がある。財政目標としては、ストックとフロー両方の目標を持つことが必要だ。債務残高対GDP比については、単に下げるというのでなく、どの水準を目指すのか踏み込んだ目標にすることも含めて議論したい。フローの目標も、諸外国なら利払い費を含めた財政収支で見ており、日本はハードルを下げて利払い費を含まないPBにしており、将来的にどうするか重要なテーマになる。金利の上昇局面が視野に入れば利払い費が大きくなり非常に大きな財政リスク要因となる。

 西田本部長の考え方は、民間企業の「貯蓄超過」の状態では、政府が財政赤字を拡大するしかないというもので、「当たり前」の政策です。(その当たり前が、通らないのが日本なのですが)


 それに対し、古川本部長は、PB黒字化堅持は当然ですが、「利払い費を含んでフロー(収支)を見る」というわけで、まさに財務省の飼い犬の面目躍如ですね。
 

 それにしても、財務省は自分たちが主導した緊縮財政が円安(というかドル高)をもたらしたにも関わらず、それをいいことに日銀の利上げ(実際は単なるマイナス金利政策の解除ですが)をリークしまくり、既成事実化し、「金利ある世界」キャンペーンを展開し、国債金利が上がると脅し、緊縮目標をよりキツい財政収支に切り替えようとしているわけです。


 この財務省が描くストーリーを理解しなければ、骨太の方針2024の議論では確実に負けます。


 PB目標を破棄し、財政収支の目標を入れさせない。日本経済の復活は、「そこ」に」かかっているのです。
 

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