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「カーボンニュートラルがもたらす日本の危機(後編ー1)」(前半)三橋貴明 AJER2023.12.26

  

令和の政策ピボット呼びかけ人に「やまと経営者連盟 代表理事 古賀真氏」が加わって下さいました。

 

新時代の資源戦争 日本のエネルギー自給率を引き上げるには!?[三橋TV第812回] 三橋貴明・高家望愛


https://youtu.be/-9b0Pd6k6mU

 変動為替相場制はなかなか(それなりに供給能力がある国にとっては)優れていまして、通貨安になれば、「輸出増」「輸入減」により、貿易収支は均衡に向かう。逆に、通貨高になれば、「輸出減」「輸入増」により、やはり貿易収支は均衡に向かう。


 ちなみに、いまどき貿易黒字が善、貿易赤字が悪、などと、重商主義チックな認識をしている人はいないよね。何しろ、誰かの黒字は、誰かの赤字。日本が貿易黒字になったとき、反対側に必ず貿易赤字になる国が「存在しなければならない」のです。


 貿易収支が黒字だろうが赤字だろうが、国民の実質賃金が上昇し、GDPが増えていけばそれでいいのです。もちろん、貿易黒字は「GDPにプラス」、貿易赤字は「GDPのマイナス」になります。そういう統計なのですが、別に貿易赤字になろうとも、それ以上に内需が拡大すれば、普通に経済成長します(※アメリカのパターン)。


 日本の昨今の円安は、輸入物価上昇を起因とするコストプッシュ型インフレを引き起こしています。同時に、日本の輸出企業の「国際競争力」と称する「価格競争力」を引き上げることになります。


 当然、輸出も増える。

【日本の財の輸出・財の輸入の推移(兆円)】


http://mtdata.jp/data_88.html#Kokusaisyuusi

 上記の通り、2023年の日本の財の輸出が、史上初めて100兆円を突破しました。

2023年輸出額が過去最高、初の100兆円超 赤字は半減
 財務省が24日発表した2023年の貿易統計速報によると、自動車の輸出が好調で輸出額が初めて100兆円を超え、過去最高となった。資源高の一服で輸入額は減った。輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は9兆2913億円の赤字だった。(後略)』

 ちなみに、2023年も貿易赤字でしょうが、所得収支が30兆円を超えてくるため、どうせ日本の経常収支は黒字が維持されます。


 もちろん、経常収支が黒字で「なければならない」だの「あるべきだ」といった話ではありません。何しろ、世界最大の経済規模を誇るアメリカは、同時に世界最大の経常収支赤字国でもあります。


 経常収支の黒字は、対外純資産の増加。逆に、経常収支の赤字は、対外純負債(いわゆる債務超過)の増加。
 

 ただ、それだけの話です。
 

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皇統論第六十回「頼朝の首を墓に供えよ」、歴史時事第六十回「華夷秩序の崩壊」が配信になりました。
https://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
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 日本はすでに、
「所得収支の黒字⇒経常収支の黒字⇒対外純資産の増加⇒所得収支の黒字」
 の循環に突入してしまっておりますので、延々と経常収支の黒字が続き、対外純資産が積み上がっていくことになる。結果、所得収支の黒字が肥大化し、経常収支は(貿易収支が赤字になったところで)黒字が続く。


 だから、オッケー、という話ではないのです。貿易収支や経常収支が黒字だろうが赤字だろうが、国民の実質賃金が低迷し、GDPが増えないのでは「国民経済の失敗」なのです。


 しかも、日本国民は「赤字」に対する嫌悪感が半端なく、とにかく「赤字」と言われた瞬間に「悪いこと」であるかのようにとらえてしまう。


 だからこそ、「政府の赤字」が「国民の黒字」であることを理解せず、
「政府が財政赤字! 大変だ~っ!」
 と、愚民的な理解に基づき大騒ぎする。


 いや、そうじゃないから。誰かの赤字は、誰かの黒字。しかも、国家として赤字(経常収支の赤字)だろうが、成長する国は成長する(アメリカ)。逆に、国家として黒字(経常収支の黒字)だろうが、成長しない国は成長しない(日本)。


 上記は「統計」について正しく理解すれば、「ああ、なるほど」と、誰もが納得することができる。そして、どうすれば良いのか分かる。


 が、日本のマスコミは国民の「赤字」に対する嫌悪感を活用し、ネガティブな印象の報道ばかりをしてくる。この種のプロパガンダに対抗するためには、情報について「正しく知る」必要がある。


 というわけで、今回は日本の国際収支について「正しく」解説してみました。いかがでした?

 

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