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「カーボンニュートラルがもたらす日本の危機(後編ー1)」(前半)三橋貴明 AJER2023.12.26

  

令和の政策ピボット呼びかけ人に「やまと経営者連盟 代表理事 古賀真氏」が加わって下さいました。

 

いや、募金集めるのはお前の仕事じゃないぞ、進次郎。予算を組めよ! [三橋TV第811回] 三橋貴明・高家望愛


https://youtu.be/210zEJDBrhY

 

 先日も解説しましたが、コンパクトシティとはもちろん「棄民政策」「移住政策」ではなく、同時に「人口集中化」という考え方でさえありません。


 日本のみならず、先進国の多くで車社会化(あるいはロードサイド化)が進んでしまい、中心市街地が空洞化するという現象が発生。いわゆる「ドーナツ化」現象の一種ですね。


 というわけで、行政、教育、医療、商業といった機能を空洞化した都市中心部に集める。同時に公共交通インフラ(LRTなど)を整備し、各所の住民には徒歩、公共交通機関(あるいは自転車)で暮らしてもらう。


 結果、「機能の分散」を回避でき、かつ自動車に依存しないことで環境にも良好(好きでしょ?こういうの)。さらには、みんな徒歩や自転車で移動するので、健康促進。


 と、中心市街地空洞化や拠点分散によるコスト増、自動車依存の問題等々の解決を目指す都市開発手法がコンパクトシティなのです。


 が、どうも日本では、
「分散している行政機関を集約することによるコスト削減」
 に主眼が置かれているようです。つまりは、緊縮財政です。


 そもそも、日本は二十一世紀に入って以降、「ムダを削る」といったお題目で市町村合併(いわゆる平成大合併)を推進しました。結果、各地の行政窓口が削られ、行政サービスは縮小。


 平成大合併は、
「自治体を広域化することによって行財政基盤を強化し、地方分権の推進に対応すること」
 といった建前はありましたが、単なる緊縮財政でした。


 コンパクトシティにしても、当然ながら「元々の目的」は無視し、緊縮財政のために推進されることになる。となると、どうなるか。


 コンパクトシティでは、自治体(政府)の「支出」が重要になります。富山市のコンパクトシティが成功したのは、富山ライトレールを上下分離方式で運営したためです。軌道施設を富山「市」が保有したのです。


 肝心かなめの公共交通サービスに行政が深く関与(特に予算面で)ない限り、コンパクトシティが成功するはずがないのです。特に、交通サービスについて「民間依存」などしていた日には・・・・。

 

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皇統論第六十回「頼朝の首を墓に供えよ」、歴史時事第六十回「華夷秩序の崩壊」が配信になりました。
https://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
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地方公共交通を襲う「2024年問題」 主体性なき自治体が温存した“民間任せ”というツケ、コンパクトシティはもはや淡き夢なのか
◆伊予鉄道減便でコンパクトシティがピンチ
 バスや鉄道運転士の残業規制が4月から強化され、運転士不足をさらに加速させると見られる。地方自治体が目指すコンパクトシティ(交通、商業、医療、教育、行政などの機能を都市中心部に集中させる概念)の実現もピンチに陥りそうだ。愛媛県の松山市駅を発車した伊予鉄道高浜線の電車が3両編成で松山市内を走る。ビルに囲まれた市中心部を抜けると、沿線の風景が住宅街に変わってきた。やがて山口県行きのフェリーが発着する三津浜港と三津駅が見えてくる。松山市北西部の拠点となる地域だ。(中略)
 松山市がコンパクトシティ実現に向けてまとめた立地適正化計画は、都市機能を集める市中心部以外に10か所の居住誘導区域を設けている。そこに周辺から住民を集め、市中心部とバスや鉄道で結ぶ計画。
 三津駅周辺も居住誘導区域のひとつだが、“不安の影”が忍び寄ってきた。伊予鉄道グループがバスや鉄道、路面電車の減便を進めていることだ。
 2023年11月のダイヤ改正では、路面電車の松山市駅線と土日祝日に限って鉄道の郡中線をそれぞれ1日24便削減したのをはじめ、観光客に人気の坊っちゃん列車を当面の間、運休とした。路線バスは松山観光港リムジンバスや森松~砥部線など11路線が減便、運休に。伊予鉄道は
「運転士不足に対応するため」
 と説明している。(後略)』

 都市機能を市中心部に集めるのは良い。10か所の居住誘導区域を設けるのも良い。そこに周辺から住民を集め、市中心部と公共交通インフラで結ぶのも良い。


 とはいえ、交通インフラについて「民間依存」。これは、短期的にはともかく、中長期的に成立するはずがない。


 何しろ、民間企業は「利益」のためにビジネスをしているのです。こういっては何ですが、松山市の都合など「知ったことがない」というのが最終的な本音でしょう。


 24年4月の前の時点で、運転手不足でコストが上がり、路線を維持できない。


 無論、運転士の人件費を引き上げれば、人材は集まるかも知れないですが、その場合は運賃が確実に上がる。伊予鉄道が民間事業者である以上、当然です。


 解決方法は、一つだけ。松山市が公共交通サービスの維持拡充に、よりコミットする。つまりは、「政府のカネ」で支えることです。


 とはいえ、恐らくというか間違いなく日本の「コンパクトシティ」ブームは、「緊縮財政のため」に始まった。政府(自治体)のパワーを高めなければ成功しないコンパクトシティが、「目的は緊縮財政」で、成功するはずがないのですよ。
 

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