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「カーボンニュートラルがもたらす日本の危機(後編ー1)」(前半)三橋貴明 AJER2023.12.26
令和の政策ピボット呼びかけ人に「やまと経営者連盟 代表理事 古賀真氏」が加わって下さいました。
財政関係資料のアップデート ほら、政府の財政赤字は国民の黒字になっているだろ![三橋TV第806回] 三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/hhp6Aoj4Lro
日経平均株価指数が、一時的ではあるものの、1990年2月23日以来、33年11カ月ぶりに3万5千円を付けましたが、お分かりでしょうが株価は「ストック」です。つまりは、資産価格です。
実体経済がどうであろうとも、「信用創造(貨幣創出)」と「株価購入」が増えれば、株価は上昇します。
具体的にバランスシートで考えてみましょう。
例えば、日本に「一つ」の株式しかないことを想定し、現在の価格は3万円で、B氏が保有しています。
【銀行のバランスシート】
借方 貸方
- -
【A氏のバランスシート】
借方 貸方
- -
【B氏のバランスシート】
借方 貸方
株式3万円 -
この状況から、A氏が銀行から4万円を借り入れた。
【銀行のバランスシート】
借方 貸方
貸付金4万円 銀行預金4万円
【A氏のバランスシート】
借方 貸方
銀行預金4万円 借入金4万円
さらに、A氏が借り入れが貨幣(銀行預金)で株式をB氏から4万円で買った。
【A氏のバランスシート】
借方 貸方
株式4万円 借入金4万円
【B氏のバランスシート】
借方 貸方
銀行預金4万円 -
これで、株価は4万円に上昇していることになります。このとき、誰かの所得が生まれているのかといえば、実は(証券会社の手数料と銀行の金利を除き)生まれていません。
所得とは、誰かが生産した財やサービスが購入されないかぎり、創出されないのです。株式は企業の資本であり、財でもサービスでもありません。
というわけで、「国民」が豊かになったか否か(※上記の例ではB氏は確かに豊かになっている)は、所得、しかも物価上昇分を排除した実質賃金で見なければなりません。
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皇統論第五十九回「清盛の蜂起」、歴史時事第五十九回「永楽の夢の果て」がリリースになりました。
https://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
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『23年11月の実質賃金3.0%減 20カ月連続でマイナス
厚生労働省が10日発表した2023年11月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上の事業所)によると、1人あたりの賃金は物価を考慮した実質で前年同月比3.0%減った。マイナスは20カ月連続。物価高に賃金上昇が追いつかない状況が続いている。(後略)』
実質賃金のマイナス幅が拡大してしまいました。
【日本の実質賃金指数の推移(現金給与総額、対前年比%)】
http://mtdata.jp/data_87.html#RI23Nov
国民が働き、生産した財やサービスが買われる(支出される)ことで創出される支出が、実質で下がり続けている。
反対側で、理論的に信用創造(銀行の貸し出し)のみで上昇する株価が上昇する。
上記を受け、「日本経済は回復している」と詭弁をまき散らし、政権支持率を維持し続けてきたのが、第二次安部政権以降でございます。
しかも、「日経平均↑実質賃金↓」を批判してきたわたくし共は、
「株価が上昇すれば、株式保有者が消費を増やすストック効果があるんだよ。知らないのか!」
と、反論されておりました。
ストック効果くらい知っとるわ! 但し、昨今の日本でストック効果とやらが確認されたことが「ない」事実も同時に知っている。
確かに、アメリカではストック効果がある。理由は、そもそもデフレではなく、かつ家計の金融資産に占める株式の割合が約40%と高いためです。
それに対し、日本の家計の金融資産に占める株式の割合はわずか11%で、かつ四半世紀もデフレによる実質賃金下落が続いてきたのです。ストック効果など、あるわけない。
いずれにせよ、岸田内閣としては、
「日経平均が33年11か月ぶりの水準に! 景気は回復してる」
とやりたいところでしょうが、さすがに「賃金!賃金!」繰り返しておきながら、実質賃金が20カ月連続という惨状で、安倍政権期のような詭弁は不可能だと思うのですが、皆さん、いかが思われました?
「実質賃金を引き上げる政策を!」にご賛同下さる方は↓このリンクをクリックを!
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