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日本国民の可処分所得と実質賃金を引き上げるには」(前半)三橋貴明 AJER2023.5.30

 

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国債をめぐる「空気」の研究 こども未来投資国債?赤字国債?[三橋TV第712回]三橋貴明・高家望愛


https://youtu.be/aCx6H-W1x4Y
 

 2023年4月の実質賃金(速報値)は、対前年比でマイナス3%でした。
 国民の貧困化が止まりません。

4月の実質賃金3.0%減、13カ月連続マイナス
 厚生労働省が6日発表した4月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上の事業所)によると、1人当たりの賃金は物価変動を考慮した実質で前年同月比3.0%減った。減少は13カ月連続となる。名目にあたる現金給与総額は1.0%増の28万5176円だった。物価の伸びに賃金上昇が追いつかない状態が続いている。(後略)』

 名目賃金は伸びているにも関わらず、物価上昇がそれを上回ってしまう。

【日本の実質賃金指数の推移(現金給与総額、対前年比%)】


http://mtdata.jp/data_85.html#RI2304


 本来、実質賃金は生産性で決まります。賃金の源である「付加価値」の生産は、GDP三面等価の原則により支出、所得とイコールになります。


 単に、物価が上がるだけで「生産」「所得」の金額が増えても、物価上昇でオフセットされてしまうのです。


 例えば、一日に付加価値1万円の製品を一個生産していたとします。その場合、所得も1万円。
 ここで、物価が10%上昇した。付加価値単価は1万1千円に上がる。所得も1万1千円。とはいえ、物価上昇率10%でオフセットされ、実質賃金は変わりません。


 それに対し、生産性向上で一日に二個の生産が可能になっていたとします。


 製品(の付加価値)単価は1万1千円。所得は(二個、生産するので)2万2千円。物価が10%上昇したとしても、実質賃金は二倍になります。要するに、実質賃金は「生産量」で決まるのです。

 

 当たり前ですが、我々が生産量を増やす前提は「デフレ(総需要不足)」ではないことです。というわけで、デフレの国は実質賃金が上昇しません。何しろ、生産性を向上する必要が「ない」わけですから。


 ところで、生産性で決まる実質賃金に、「外部」から影響を与える要因が二つあります。一つ目は、輸入物価。二つ目は、消費税です。


 本来、物価上昇は名目賃金を引き上げるため、実質賃金は下がらないのです。ただし「外部」から物価にのみ影響を与える輸入物価、消費税は例外。

 

 輸入物価上昇も消費税増税も、生産性や国民の所得とは無関係に「物価だけ」を引き上げるため、実質賃金を引き下げる。図の通り、近年、大きく実質賃金が下がったのが、2014年、そして現在であることは偶然ではないのです。


 2014年の実質賃金下落は消費税増税。現在の実質賃金下落は輸入物価上昇によるものです。


 恐ろしいことに、日本政府は輸入物価上昇により実質賃金が下落しているタイミングで、さらなる消費税増税を目論んでいる。すなわち、インボイス制度の導入です。
 

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お待たせいたしました!三橋 貴明×茂木 誠氏『特別対談』世界を最も変えてしまった男 ジャン・ジャック・ルソーの真実 (後編)が公開になりました!

https://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/

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「物価高騰に国民が苦しんでいるときに…」京大・藤井聡教授 超党派議連の会合でインボイス制度反対訴える
 10月に始まる消費税のインボイス(適格請求書)制度に反対する超党派議連の会合が6日、東京・永田町の衆院第1議員会館であり、元内閣官房参与で京都大大学院の藤井聡教授が講演で「物価高騰に国民が苦しんでいるときに導入はありえない」と訴えた。
 インボイスは、品目ごとの消費税率や税額を記した書類。年間売上高が1000万円以下で消費税を納める義務を負わない個人事業主らは、インボイスが必要な取引先の求めに応じて納税事業者になるか、取引先との関係悪化を覚悟して発行を拒み免税事業者にとどまるかの選択を迫られている。
 藤井教授は「1000万円も稼げない零細業者が消費税を課されれば生きていくのは大変だ。零細業者が納めなければ、取引先の負担となり、価格転嫁の可能性もある。一部のかわいそうな業者の問題でなく、国民全体の話だ」と指摘した。』

 インボイス制度が導入されると、課税売上1千万円以下の事業者が、インボイスを発行しない場合、取引先から排除される可能性があります


 インボイス事業者になった場合、
1.価格を引き上げずに、収入の「=÷11*1」を失う
2.価格を引き上げる
 の、選択を迫られることになります(当初は軽減措置がありますが)。取引先が価格引き上げを認めてくれるかどうかは、あくまで「力関係」で決まります。 


 しかも、価格引き上げを吸収するため、取引先も価格を引き上げる、が伝播していくと、最終的には消費者物価が上昇することになる。またもや、実質賃金の下落です。


 あるいは、インボイス制度導入により廃業が増え、取引先の調達先が減少すると、やはりコスト増になるため、消費者物価に(最終的には)転嫁される。


「インボイスに無関心でも、無関係ではいられない」
 のですよ。全ての国民の問題なのです。
 

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