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改訂版「インボイス制度導入は消費税増税に向けた基盤整備である」(前半)三橋貴明 AJER2023.3.7
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民主制により国民貧困化政策が行われる ロシア、そして日本[三橋TV第687回]三橋貴明・高家望愛
アニメの新シリーズが始まる季節ですが、相変わらず異世界転生ものが多い(別に嫌いなわけじゃないですが)。
ある新番組で、魔族との戦争中の世界に転生させられた主人公が、ヒロインに、
「なぜ、戦争なんかするの?」
と、問われるシーンがあるのですが、改めて「戦争はなぜ起きるのか?」について考えさせられました。
思いっきり抽象化すると、理由は大きく二つに分けられるように思います。
1.生存
2.思想(「こうあるべきだ」というユートピアニズム)
例えば、ユーラシアステップの遊牧民は、限られた牧草地を部族が奪い合う。草地が足りず、あるいは他部族に奪われたとなると、「生存」のために農耕地を襲撃する。
中国も、ヴィザンチン帝国も、食い詰めた遊牧民の侵略者と、頻繁に戦争をせざるを得なかった。生存の戦争。
「生存」には、ビジネスつまりは「市場を奪う」も含まれていまして、産業革命以降の欧米諸国は、生産性が向上し、有り余る財(最初は綿製品)を売り込む市場を求め、アジア・アフリカ諸国を侵略した(いわゆる「帝国主義」)。
さらには、「生存」には「国家を防衛する」とことも、当然ながら入っている。明治維新後の大日本帝国は、国家安全保障上の理由から日清戦争、日露戦争を戦い、勝利した。
結果的に、台湾や朝鮮半島、樺太南部を併合したわけですが、
「台湾や朝鮮半島や樺太は、初めから日本だ。我が国固有の領土を奪い返すために、戦う」
などと考えていた人はいなかったでしょうし、今もいないでしょう(竹島や千島列島は別)。
我が国は、二千年以上も昔から日本国で、日清戦争までは「海外領土」など持ったことがない(例外:任那)。日本は初めから日本で、「失われし○○」など(ほぼ)存在しない。
それに対し、古来から紛争、戦争を繰り返し、領土を奪い合うことを繰り返してきたユーラシア諸国には、「失われし○○」が存在し、「思想」と結びつく。
ロシア・ウクライナ戦争の一つの要因は、プーチンのユートピアニズムです。
プーチンは2021年7月12日の【ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性について】において、
『最近の「ウラジーミル・プーチンとの直通電話」で、ロシア=ウクライナ関係について尋ねられたとき、私はロシアとウクライナは一つの民なのだと述べた~単一の全体なのだ(と答えた)。』
『まず、最近になってロシアとウクライナの間に生まれた壁、基本的には同じ歴史的、精神的/宗教的な空間だったものの、別々の部分の間に生まれた壁は、私から見れば大いなる不運であり悲劇だという点は強調しておこう。』
と、語っていますが、歴史的な正当性は置いておいて(わたくしは「ない」と思いますが)、プーチンが「ロシアとウクライナ(及びベラルーシ)は元々一つの共同体だ」と思っているのは、間違いなく、結果的に「ウクライナはロシアに統合されるべき」というユートピアニズムに繋がっている。
ここに、アメリカの、
「世界の国々は民主制であるべきだ」
というリベラリズム(というユートピアニズム)が加わり、2022年2月24日を迎えることになった。
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プーチンの歴史観も、アメリカのマニフェスト・デスティニー(リベラリズム)も、単なる「思想」です。人類は、「生存」的な理由がなかったとしても、「思想」故に戦争をする。
台湾問題も同じです。そもそも、中華人民共和国は台湾を支配したことはない。本来、現在の中国にとって台湾は「失われし○○」ではない。
清朝の時代にしても、台湾は「化外の地」とされていた。
とはいえ、中国あるいは習近平は、台湾を自国から分離した省で、いずれは再び中央共産党支配下に置かれるべきと考えている。
『中国軍が台湾周辺で10日まで軍事演習 蔡総統の米訪問への対抗か
中国軍は台湾周辺で8日から3日間、軍事演習やパトロールを行うと発表しました。台湾の蔡英文総統によるアメリカ訪問への対抗措置とみられます。
中国人民解放軍で台湾方面を担当する東部戦区は8日、台湾海峡と台湾の北、南、東の海と空で軍事演習やパトロールを行うと発表しました。
期間は8日から10日までの3日間としています。
この発表に先立ち、福建省の地元当局は台湾の対岸にある福建省近くの海上で、8日から20日にかけて断続的に実弾射撃訓練が行われるとして船舶の航行を禁じました。
一連の活動は、台湾の蔡英文総統がアメリカを訪問してマッカーシー下院議長と会談したことなどへの対抗措置とみられます。』
中国が台湾に侵攻すると、「グローバルネットワーク」から排除され、経済的ダメージが云々と「生存(ビジネス)」上の理由から、
「そんなことはあり得ない」
と主張する人が少なくありませんが、人類は「生存」のみならず、「思想」的な理由からも戦争を繰り返してきたのです。
しかも、その「思想」に正当性や合理性があるとは限らない。
我々日本国民は、歴史的に日本国民であり、領土もほぼ限定されてきた。(任那が、唯一の例外)
将来においても、日本が「思想」的な理由で戦争をすることは、ほぼあり得ないわけですが、だからと言って、他の国も同じはずがない。
人類は「生存」的な理由のみならず、「思想」的な理由で、非合理的な戦争を繰り返してきたという「歴史」を、今、日本国民は頭に叩き込む必要があると思うのです。
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