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改訂版「インボイス制度導入は消費税増税に向けた基盤整備である」(前半)三橋貴明 AJER2023.3.7
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国民に痛みを強いる「俺、格好いい」の政治家は普通に落選させよう[三橋TV第681回]三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/ACbz1pn-Az0
ルサンチマンとは、元々は、主に弱者が強者に対して、「憤り・怨恨・憎悪・非難・妬み・嫉妬」等の感情を持つことを言います。
日本では、このルサンチマンが緊縮財政や構造改革に利用されてきました。
「お前が貧しいのは、高齢者が優遇されているからだ」
といった形で現役世代のルサンチマンを煽り、高齢者への社会保障支出削減を推進する。
「お前が苦しいのは、農協(あるいは公務員、電力会社、土木・建設会社などなど)という既得権益があるからだ」
と、ルサンチマンを煽り、「自分の利益」を最大化する改革(農協改革など)が進められる。
ちなみに、竹中平蔵は某TV番組で、わたくしの目の前で、
「三橋さん、正規社員こそが最後に残された最大の既得権益なんですよ!」
と言ってのけた。
自ら労働規制の緩和を推進し、派遣社員を増やした挙句、派遣社員のルサンチマンに訴える形で、正規社員の派遣化、非正規化を進める。まさに、マッチポンプ。
というわけで、弱者に訴えてルサンチマンを煽り、「自分のための政策」を推進するのは分かるのです。
よくわからないのが、高所得者層がすぐにルサンチマンに火をつけられることです。
ちなみに、わたくしは最高税率(しかも、皆さんの想像以上に所得が多い)の立場ですが、だからこそ、
「みんなが豊かになる国民経済を取り戻そう」
と、主張しています。所得的な余裕がある者こそが、先頭に立ってみんなのために動かなければならないのでは?
わたくしは所得の余裕など、所詮は運が良かったに過ぎないということをわきまえていますよ。いや、謙遜でも何でもなく、本当にそうなのですよ。(なぜ、ここをわざわざ強調するのかと言えば、嫌みでも自慢でもなく、わたくしに対して「貧乏人のひがみが!」等のレッテル的な批判をさせないためです。わたくしの話は、相当に普遍的だよ)
ところが、日本では一見、成功者に見える方々が自己責任論を叫ぶ。
いや、そんなこと言っていると、次の大震災の際に略奪の対象になりかねないよ。それで、いいの? というか、お前ら、本当にバカなの?
と、思っていたのですが、何となく分かってきました。
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『保守がインボイスに賛成するのは「ルサンチマン」故である~ラッシュ『エリートの反逆』が明らかにした“強者”による弱者に対する怨嗟~
インボイス制度は簡単に言うと、その導入によって次の様なことが起こるものなのです 「インボイス制度が今年の10月導入されると、今まで消費税を納める必要が無かった売り上げ1000万円以下の零細事業者・個人事業者達も、(事実上)消費税を納めなければならなくなる」。
つまりその本質は、「免税業者からも税を取り立てるようにする制度変更」なのです。(後略)』
後略部で、藤井先生は、わたくしの違和感を説明してくださっています。
『(引用)大阪都構想は、大阪市民を守る共同体である「大阪市」を廃止するという話で、それに対して反対運動が起こったわけですが、その反対運動に維新や高橋さん等の保守派の人達は激しい嫌悪、憎悪を表明されたのです。
このインボイスについても、「1000万円以下の事業者の免税制度」を廃止するという話だから、それに対して反対運動が起こっているわけで、それに対して、保守の論客達が嫌悪、ないしは憎悪を感じておられるわけです。
ですからこの両者は、「弱者保護を廃止する事に対する弱者からの反対」に嫌悪・憎悪する、という意味で全く同じ構図なのです。つまり「インボイス導入」も「大阪都構想」も、「社会的弱者を保護する制度の廃止」を意味するもので、それに対して、一部の保守論客や維新らが推進しようとし、それに反対する勢力に対して「ぞっとする」という嫌悪や憎悪の念を差し向けているわけです。
しかしながら、高橋さんの態度に象徴されるこうした「弱者保護への怒り」は決して異常な反応というものではなく極めて一般的、かつ、凡庸な反応だということが政治社会学的に知られています。これは、政治社会学の世界では、1990年代から西側諸国で起こった新しいタイプの「ルサンチマン」だと言われています。
その点を指摘した代表的論客がアメリカの社会批評家で歴史学者のクリストファー・ラッシュです。
ラッシュは『エリートの反逆』の中で1990年頃から、民主主義国家におけるエリート達が、「弱者が享受する社会的保護や公共サービス」を攻撃し、彼らが支援する政治的勢力による差別的な政策を支援する、という奇妙な現象が起こっていると指摘します。そしてこれこそ、現代民主主義の深刻な病理だと論じたのです。
日本で言うならそれは、弱者を切り捨てる新自由主義や構造改革やグローバル化を自民党や維新が推進し、それを「エリート知識人達」が支援するという現象に対応します。
先日、成田祐輔氏が「働けない高齢者は集団自殺しろ」と発言し、それをホリエモン達が支持するという現象がありましたが、これもまた同様の話です。
彼ら「エリート達」は、弱者保護(低所得者や高齢者に対する保護)に対して、激しい不公平感を抱いているのです。
この理由について、ラッシュは、『彼らは自らが稼いだカネの何十%、場合によっては、半分以上ものカネを、税金として納めている一方、貧困者や高齢者達は、全然働かず、彼らが納めた税金で保護されて生きている、という事について激しい不満を感じているからだ』というものだと論じています。(後略)』
要するに、「税は財源だ」という考え方が根底にあるわけですね。「自分」が払っている税金が「無駄に使われている」ということで、不公平感を抱いているわけだ。
いや、税金は財源ではないです。残念ながら、貴方が払った税金は、弱者救済に使われているわけではない。単に、国債と相殺でジュッと消滅しているだけです。
かつ、勝者が弱者にルサンチマンを抱き、弱者いじめに精を出した所で、次の非常事態に虐殺されるだけの話ですよ。自然災害が多発する日本で、本当にそれでいいの? わたくしは嫌ですよ。
というか、所得的に余裕があるからこそ、
「みんなを守ろう」
「みんなで豊かになろう」
という方が格好いいし、女性にもてると思うよ。いや、本当に、実際に、現実にそうだよ。(まあ、三回も結婚するのは自分でもどうかと思うし、というか、普通に屑だけど)
それが、なぜできないのか。結局のところ、根底には貨幣観の間違い(税は財源だ~、とか)があるわけなのでございますよ。
共同体観と貨幣観が、完全に結びついていることが分かります。
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