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「貨幣の源は需要である」(前半)三橋貴明 AJER2023.1.31

   

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少子化・非婚化の主因の一つ、東京一極集中を解消するためには!?[三橋TV第666回]三橋貴明・高家望愛


https://youtu.be/XVmUeadK73U

 本日は、三橋経済塾第十二期第二回講義開催日です。本日のテーマは、国際収支。わたくしは国際収支統計を心底から愛しており、
「経常収支タン」
「金融収支タン」
 と、擬人化して認識しているほど大好きです。つまりは、国際収支を完璧に理解しています。


 実は、日本の国際収支の解説のほとんどは「貨幣のプール論」になっているのです。つまりは、間違っている。


 例えば、アメリカは経常収支が赤字ですが、
「アメリカは経常収支が赤字であるため、海外からその分の資金を調達する必要がある」
 といった、分かるようで、全く理解できない「ふわっとした」説明がなされています。いや、意味わからん。
 

 国際収支は、特殊ケースの資本移転収支や統計誤差(誤差脱漏)を除くと、
◆経常収支=金融収支
 となります。それこそ、GDP三面等価の原則と同じく、「経常収支=金融収支」は絶対です。
 

 経常収支は、まあ、だいたいわかるでしょうが、金融収支とは何か? 
 国際収支を所管する財務省は、金融収支について以下の通り説明しています。

『金融収支
直接投資、証券投資、金融派生商品、その他投資及び外貨準備の合計。
金融資産にかかる居住者と非居住者間の債権・債務の移動を伴う取引の収支状況を示す。』

 はい。財務省の説明だけで金融収支について理解できる人がいたとしたら、それはまさに「天才」だと思うのですが、まあ、いないでしょう。


 実は、金融収支とは、
「日本がアメリカに財やサービスを販売し(※経常収支)、代金を支払われた際に、アメリカの資産(債権)の所有権が日本側に移り、アメリカ国内で様々な形により運用される」
 といっているだけなのです。


「え? アメリカで稼いだカネを日本に持ってくるんじゃないの?」
 と、思われたとしたら、まさに貨幣のプール論。アメリカで稼いだカネを、日本に「持ってくる」ことはできません。理由は、日本でドルは使えないためです。


 日本企業がアメリカで稼いだドルが日本円に「両替」されたとしても、ドルは両替に応じてくれた日本の銀行の「資産(債権)」として残り続けます。あるいは、日本政府が両替してくれたならば、外貨準備として蓄積され続けます。
 

 要は、信用創造の仕組みと同じで、日本がアメリカで稼いだドル(=アメリカの誰かの負債)は、「日本のドル建て負債」を返済しない限り消えないのです。(日本側が、日本国籍以外の経済主体に譲渡したら別です。その場合は資本移転収支で調整されます)


 経常収支=金融収支とは、
日本がアメリカに財やサービスを販売する(経常収支)と、アメリカの金融資産の所有権が日本側に移る(金融収支)
 と言っているだけの話に過ぎないのですよ。

 

 貨幣とは「購買力の所有権」である(※カール・ポランニー)であることが分かれば、わたくしの話に納得して頂けるはずです。
 

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貿易赤字3.4兆円、単月最大 資源高に円安、膨らむ輸入 1月
 1月の貿易統計(速報)は輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支がマイナス3兆4966億円となり、単月の赤字額としては比較できる1979年以降で最大だった。資源高と円安で輸入額が大きく膨らむ一方、輸出は伸び悩んだ。赤字は18カ月連続となった。
 財務省が16日に発表した。これまでで最大の赤字額は2022年8月の2兆8248億円で、3兆円台は初めて。輸入額は10兆477億円で前年同月から17・8%増えた一方、輸出額は6兆5511億円で3・5%増にとどまった。
 エネルギー関連の品目が引き続き、輸入額を押し上げた。石炭が93%増、液化天然ガスが57%増、原油が35%増となり、資源価格の高騰と円安の両方の影響が出ている。(後略)』

 日本のマスコミは、国際収支(貿易収支は国際収支の一部である経常収支の一部)であっても「危機感を煽る」ために活用してきます。


 いや、日本は第一次所得収支の黒字が巨額なので、貿易収支が赤字になったところで、経常収支は黒字のままです。
 

 ついでに、別に貿易収支や経常収支は「黒字でなければならない」などという話にはならない。何しろ、黒字の反対側には、必ず赤字がある。


 世界最大の貿易赤字、経常収支赤字の国は「アメリカ」ですが、「で?」でございますよ。
 

 まあ、奇想天外な破綻論を排除し、今回の統計を見る限り、要するに、
「日本はエネルギー自給率を高める投資をせよ!」
 と、国際交易の市場が言っているに過ぎないのでございます。


 過ぎないのでございますが、日本人は「赤字=悪」「黒字=善」という奇妙奇天烈な固定観念に縛られている。
 

 いや、そりゃまあ、個人や企業といったミクロな経済主体にとって、赤字は嫌ですよね。黒字にしたい。
 

 でも、我々が黒字になるためには、別の誰かに赤字になってもらわなければならない。我々が黒字になりたいならば、政府もしくは海外に赤字を負ってもらわなければならない(※日本の経常収支の黒字)のですよ。


 この当たり前の事実が、国際収支統計を学ぶと、パーフェクトに分かってくる。が、まともに(正確に)国際収支統計を解説している人は、ほぼいない(理由は「貨幣のプール論」に囚われているため、へんてこな説明になる)。というわけで、今回、経済塾第二回のテーマとして国際収支を取り上げることにしたのでございます。

 

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