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「遂に国債60年償還ルールの見直しが始まった」(前半)三橋貴明 AJER2023.1.24

   

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国債償還ルール見直し議論が始まった 財務省から主権を取り戻せ![三橋TV第656回]三橋貴明・高家望愛


https://youtu.be/vKXfwvy9vDc
 

 改めて、日本は世界で唯一、国債償還ルールに基づき、「債務償還費」を一般会計歳出に計上し、予算抑制を続けているわけですが、
「債務償還費の財源」
 が何なのかといえば、もちろん国債発行です。

【令和五年度一般会計歳出・歳入(億円)】


http://mtdata.jp/data_82.html#reiwa5

 何しろ、一般会計歳入の31.1%が「公債金(国債)」なのです。


 つまり、日本政府は国債発行で調達した日銀当座預金を、債務償還費として特別会計に移し、国債の償還に使っているわけです。(特別会計法第四十二条に基づく)


 国債を発行し、国債を償還することを何と呼ぶでしょうか。もちろん「借り換え」です。
 

 だからこそ、
「債務償還費を廃止し、初めから特別会計で借換債を発行すれば良い」
 と、言っているわけです。すると、松野官房長官が、
「償還年数を延ばした場合、毎年度の債務償還費が減少する分、 一般会計の赤字公債は減るが、 その分、特別会計で発行している借り換え債が増えることから、全体としての国債発行額としては、変わることがない」
 と、牽制してきたため、笑ってしまったわけです。


「特別会計の借換債が増える!」
 って、いや、初めからそうしろと言っているんだが。
 

 しかも、国債発行残高は日本においてさえ、増え続けている。

【日本国債種別発行残高(兆円)】


http://mtdata.jp/data_81.html#syubetsu

 つまりは、「債務償還費を計上し、税金で国債を償還する」など、さすがの日本もやっていないのですよ。単に、借換債(による国債償還)を一般会計歳出に計上し、他の予算の圧迫を続けているというのが、国債60年償還ルールの正体です
 

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 ちなみに、特別会計法では、


『2 前項の場合において、国債(一般会計の負担に属する公債及び借入金(政令で定めるものを除く。)に限る。以下この項及び次項において同じ。)の償還に充てるために繰り入れるべき金額は、前年度期首における国債の総額の百分の一・六に相当する金額とする。』


 と、なっており、「税金で国債を償還せよ」とはなっていません。
 もっとも、財政法四条と合わせると、話は変わってきます。


『第四条 国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。
② 前項但書の規定により公債を発行し又は借入金をなす場合においては、その償還の計画を国会に提出しなければならない。』


 そもそも、日本政府は赤字国債を発行できない(建設国債であっても、償還計画が必要)ため、「税金で国債を償還する」が法的に成立することになります。


 ただし、現実にそんなことをしたら財政が成り立たないため、毎年、特例公債法を通し、赤字国債を発行している。結果的に、特別会計法に基づき、債務償還費を一般会計歳出で計上したところで、
「国債発行で国債を償還している」
 状況になっているわけでございます。つまりは、借り換えしているだけ。


 というわけで、バカバカしい限りの国債60年償還ルールですが、岸田総理大臣はこと緊縮財政系においては、検討使の衣を脱ぎ捨てる。

【速報】岸田首相 国債「60年償還ルール」見直しに慎重な考え
 岸田首相は25日、国債の「60年償還ルール」の見直しついて「結果的に国債発行額が増加することや市場の信認への影響に留意する必要がある」述べた。
 防衛費増額の財源確保をめぐって、政府が発行した国債を60年かけて償還する「60年償還ルール」の見直しを求める声が自民党内から上がっている。
 岸田首相は25日の国会で、「60年償還ルール」について「様々な意見があることは承知している」と述べた上で、「結果的に国債発行額が増加することや市場の信認への影響に留意する必要がある」と述べ、見直しに慎重な考えを示した。』

 「結果的に国債発行額が増加する」とは、その通りです。一般会計歳入の公債金はそのままに、単純に債務償還費をオフバランスし、16兆円を他の用途(防衛費など)に使うとなると、その分、国債(借換債)発行が特別会計で増えます。


「で?」
 としか、言いようがない。それが、何なの? 日本政府は1970年度と比較してすら、すでに国債発行残高を170倍以上にしていますが、「で?」ですよ。で、何が問題なの?


 市場の信認云々については、
「国債償還ルールを持たない日本以外の国々は、市場の信認がないのか?」
 で、終わりです。


 今回の国債書簡ルール見直し議論が、どのように決着するかは分かりません。未来は見通せませんが、足掻くことはできます。
 

 というわけで、今回は国債償還ルール関連の情報をまとめておきました。本エントリーの情報を基礎に、皆様、「声を出して」下さいませ。皆様が声を出すこともまた、立派な政治なのですよ。

 

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