株式会社経世論研究所 講演・執筆依頼等、お仕事のご依頼はこちらから
三橋貴明のツイッターはこちら
人気ブログランキングに参加しています。

チャンネルAJER更新しました。

「反グローバリズムの日本国民よ連結せよ!」(前半)三橋貴明 AJER2022.7.26
  

令和の政策ピボット呼びかけ人に「作家・アルファブロガー 鈴木傾城」様が加わって下さいました。

また、メルマガ「令和ピボットニュース」が始まりました。皆様、是非とも、メルマガ登録を!

 

 

食料危機は始まっている!国民が飢えるのも自己責任なのか!?[三橋TV第588回]三橋貴明・高家望愛


https://youtu.be/T8OgpxdiTi0

 


 日本の現在のエネルギー危機を相対化する意図は全くないのですが、記録として欧州のエネルギー危機についてまとめておきます。


 ちなみに、ここで言う相対化とは、
「そんなこと言ったって、欧州だって電力は危機なんだよ!」
 と、他者の事例を持ち出し、問題を矮小化しようとする行為ですね。


 自民党の「政策」を批判すると、「民主党政権は~」と、十年以上も昔の話を持ち出し、自民党を庇おうとする連中がいますが、あれなどまさに相対化です。いや、民主党政権がろくでもなかったのは認めるけど、だからと言って「今」の自民党の苛政は正当化されないでしょ。


 それはともかく、ロシア・ウクライナ戦争に加え、異常な猛暑により、欧州諸国もまた電力危機に陥っています
 まずは、ドイツ。

ドイツで製造業が大脱出のリスク、エネルギー価格高騰で悲鳴
 ドイツでは毎日のように高値を更新する電力価格を吸収しようと、自動車部品や化学、鉄鋼メーカーが奮闘している。こうした製造業がエネルギー価格の高騰に音を上げ、国外に拠点を移すことを決断するリスクがある。
 ドイツの電気・ガス価格はわずか2カ月で2倍余りに上昇。欧州の指標である1年先の電力価格はメガワット時当たり540ユーロ(約7万4000円)を超えた。2年前の同価格は40ユーロに過ぎなかった。
 自動車や航空宇宙、家電業界向けにシリコーン部品を製造するBIWイゾリアーシュトッフェのラルフ・シュトッフェルズ最高経営責任者(CEO)は、「ドイツのエネルギーインフレは、他のどこよりもはるかに急激だ」と指摘。「ドイツ経済で段階的に脱工業化が進むのではないかと懸念している」と述べた。(後略)』

 1年先の電力価格が、2年前の十三倍以上。製造業が操業できるレベルではないですね。


 ドイツはロシアから天然ガスの供給を受けていましたが、ロシア側は供給を停止こそしていませんが、絞り込んだ。結果的に、エネルギー危機。


 ドイツは企業のエネルギー価格上昇に対する保護はなく、容赦なく価格が値上がりしていっています(ついでに、日本も法人企業向けから電気代が上がります)。


 次は、フランス。

猛暑で原発が出力低下?深刻な“電力危機”に直面するフランス
 記録的な猛暑と干ばつに見舞われているフランス。気温は各地で40度を超し、雨も極端に少なく、頻発する山火事と渇水が人々の暮らしを脅かしています。さらに酷暑は深刻な“電力危機”をも引き起こしています。
 その要因となっているのが実は「川」。(後略)』

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【経世史論】三橋貴明と「歴史に魅せられて my」がお送りする、経世史論。

http://keiseiron-kenkyujo.jp/keiseishiron/

第四十二回「皇統論 藤原純友の乱」「歴史時事 サラーフ・アッディーン」がリリースになりました。
ぜひ、ご入会下さい。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

【主要国の電源別発電電力量の構成比】


http://mtdata.jp/data_80.html#dengen

 ご覧の通り、フランスは電源構成に占める原子力発電の割合が約70%。となれば、ロシアからのガス供給縮小の影響をそれほど受けないはずですが、「猛暑」により電力危機に陥っています。
 

 河川の水位低下により、水力発電が厳しくなっているのに加え、川の水温上昇が原発稼働を困難にしているのです。フランスでは、原発が立地する川の水温には上限が定められています。上限を超えると、原発は運転停止というのが大原則です。


 熱波に見舞われた7月以降、水温が上限を超えるところが出てきたため、原発は出力を大幅に制限して稼働せざるを得ない状況になっています。


 追い込まれたフランス政府は、本来は稼働してはいけない(※水温的に)原発の稼働を継続させ、電力供給を確保している有様です。


 ちなみに、フランス政府もまた、国民に対して、エアコンの温度制限や夜間のネオン消灯など、さまざまな「節電」を呼びかけています。


 次は、イギリス。

深刻化するエネルギー危機、イギリスは計画停電を検討 来年1月、企業と家庭を対象に
 英国は冬の寒さとガス不足が重なる日が数日続く場合に備え、来年1月に企業と家庭を対象に計画停電を検討している。
 政府がまとめた最新の「妥当な限り最悪のシナリオ」によれば、石炭を使用する火力発電所を緊急稼働させてもピーク時の需要の約6分の1に相当する電力不足が生じる恐れがある。(後略)』

 イギリスはノルウェーやフランスから電気を買っていますが、今年の冬が厳冬になり、現在のガス不足が継続し、外国からの電力輸入が減少すると、電力不足に陥る可能性があるとのことです。無論、電気料金も高騰する。


 イギリス国民は電気代高騰に加え、計画停電にも備えなければならない。


 まさに、現在の日本国民そのままですね。


 次、スペイン。

公共施設の冷房27度以下は「ダメ」、スペインが法令で規制 エネルギー消費量の削減が目的
 この夏、スペインへ行くなら、いつもより少し暑い中を過ごさなければならないことを覚悟しよう。スペイン政府は最近、多くの公共施設でエアコンを27度以下に設定することを違法とする法令案を可決したのだ。
 このルールは空港、バル、映画館、鉄道駅、ショッピングセンター、劇場などの公共施設に適用される。法令の対象外ではあるが、国民は家庭の冷房も同じ設定温度にするよう奨励される。(後略)』

 ちなみに、スペインは夏の節電はもちろん、冬についても公共施設において19度以上の暖房を禁止し、店の窓の明かりも22時までに消すことを義務付けました。


 熱波が襲来する中、エアコンの温度設定の規制をされたスペイン国民は、果たしていかなる感想を抱いたのでしょうか。


 結局のところ、日本や欧州は「(資源を)持たざる国」として、アメリカ主導のグローバリズムの下で、
「エネルギー? 電気? 買って来ればいいじゃん」
 という、揺りかごの中で甘やかされる環境下で「かりそめの繁栄」を謳歌していたに過ぎないのです。


 外国から鉱物性燃料が入ってこなくなる。あるいは価格が高騰した途端、この有様です。


 自分たちの「夏も涼しく、冬も暖かい」生活が「何」によって成り立っているのか。この根本を各国の国民が理解しない限り、やがては「夏も涼しく、冬も暖かい」生活は成立しなくなるでしょう。


 と言いますか、すでに成立しなくなりつつあるんですけどね。
 

「真剣にエネルギー安全保障を考えようよ!」に、ご賛同下さる方は、

↓このリンクをクリックを!
本ブログへのリンクは以下のバナーをお使いください。
◆関連ブログ
日本経済復活の会のホームページはこちらです。
㈱日本富民安全研究所のブログ絶望の先にはこちらです。
◆三橋貴明関連情報
新世紀のビッグブラザーへ ホームページはこちらです。
メルマガ「週刊三橋貴明~新世紀のビッグブラザーへ~」はこちらです。