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「地方自治体も貨幣の発行者になれる」(前半)三橋貴明 AJER2020.9.13
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国民民主党の重点政策を絶賛する 日銀保有国債の永久国債化! [三橋TV第450回]三橋貴明・高家望愛
今回の総裁選挙で「ゾッ」としたのは、自民党総裁選挙が、事実上の「首相公選制」になりかけている事実です。
野党の支持率が伸びないため、自民党の総裁=日本国の内閣総理大臣、という可能性が現在は極めて高いわけです。
無論、建前上は「総理大臣は、国会議員の投票で選ばれる」ことにはなっています。とはいえ、現実には「自民党の総裁=内閣総理大臣」なのです。
そして、自民党総裁選挙では、党員・党友が投票できる。
無論、党員・投票が影響を与えるのは、半分の投票数には過ぎない。今回の河野太郎・新広報本部長が獲得した党員・党友票は44%でした。が、これが90%だったら?
自民党国会議員の多くが、「次の選挙に勝つための顔」ということで、河野氏に票を投じたのではないでしょうか?
あるいは、それ以前の話として、圧倒的な党員・党友票が故に、河野氏が一回目投票で過半数を占める可能性もあった。
となると、事実上、党員・党友という「普通の日本国民」が総理大臣を決定することになる。すなわち、首相公選制です。
首相公選制(的な制度)の何が問題なのかと言えば、我々日本国民の多くは普段は政治に興味がなく、「誰が、どういう人柄で、どういう政策を訴え、どういう実績がある」といったことは知らない、という点です。
となると、投票用紙が送られてきたとして、「とりあえず、知っている人に入れる」というのは合理的行動です。
かつてのように、中間組織が健在で、一般の国民、あるいは党員・党友が直接、国会議員と話し、「どの政治家が、どんな人物」といったことを「議論」したならば話は別です。とはいえ、グローバリズムにより中間組織が破壊され、多くの日本国民は「マスコミ」を通じて「政治家を知る」ことしかできない。
となれば、「テレビでよく見かける」政治家に票を入れるのは、自然な心情です。例えば、「それっぽい改革」を熱烈に訴え、マスコミに「視聴率になる」と判断され、やたらTVに登場する政治家の「支持率」が上がる。
今にして思えば、コロナ禍が始まって以降、東京都の小池都知事や大阪の吉村府知事が、ひたすら「TVに出ようとした」理由が分かります。いわゆる「スタンドプレー」ですが、彼らは単に、「自分を知って欲しい」と考えたのです。理由は、ほとんどの国民は、そもそも政治に興味がなく、政治家を「知らない」ためです。
TVに出るためには、「その政策が国民ため」といった経世済民はどうでもよく、とにかく派手で、話題になればいい。そうすることで、自分を知ってもらえる。すると、次の選挙で「知られている自分と、知られていない競合相手」との戦いになり、圧倒的に勝利できる。
しかも、自民党総裁選挙は、公示日直後に投票用紙が送られる。公示後の「政策論争」は関係ないのです。
自民党の党員・党友の方々にしても、日常的に政治的な議論をしているわけではない。そのための「場」は、次々に破壊されていっている。
となると、マスコミを通じて「知っている政治家」に、その後の政治論争は気にせずに票を投じてしまう。事実上の、直接民主主義になりかねない。
三橋が直接民主主義を否定する理由は、二つあります。
1.我々有権者は、それほど頭がよくなく、しかも政治について関心を持たず、知識もない
2.結果的に、マスコミに頻繁に登場する政治家を、「知っている」というだけの理由で、支持してしまう
古代ギリシャから、この種の直接民主制の弊害は明らかでした。
だからこそ、イギリスの名誉革命以降、人類は「間接民主制」という制度を発展させたのです。
【三橋貴明の音声歴史コンテンツ 経世史論】
https://keiseiron-kenkyujo.jp/keiseishiron/
※要望多数につき、評論家・中野剛志先生 【通貨論争史:イギリス編】【通貨論争史:日本編】が再掲となりました。
間接民主制の国は、議会で議員たちが、それぞれの「利益団体」の利益を追求し、喧々諤々の議論になるため、なかなか物事が決まりません。
それで、良かったのです。何しろ、特定の誰か(例:レント・シーカー、竹中平蔵、デービッド・アトキンソンなど)の利益を最大化する政策もまた、なかなか決まらないためです。かつての日本は「決められない政治」と批判されていましたが、今にしては「誉め言葉」のように思えます。
90年代後半の政治改革以降、小選挙区制導入、政党助成金制度、そして内閣人事局設置と、日本は次第に「決められる政治」になってきました。結果、レント・シーカー、政商が望む政策が決められるようになった。
成長戦略会議を初めとする「首相の諮問会議」に入り込んだ民間人が、自分の利益を最高する政策を首相に吹き込み、そのまま閣議決定。「特定の誰かの利益」のための政策が「首相指示」として国会に降ろされ、小選挙区制(の公認権)や政党助成金により縛られた(自民党の)国会議員たちは、そのまま通してしまう。
最後の砦たる官僚も、人事権を握られているため、どうにも反抗のしようがない。
これが、現在の日本の政治です。特定の誰かの利益最大化を目的とする政策が次々に決まる。議会は役に立たない。これを、「発展途上国型政治」あるいは「収奪型政治制度」と呼ぶのです。
総裁選において、河野氏は自民党の部会での議論について「ぎゃーぎゃーやっている」との表現で批判しました。つまりは、議会や部会での議論が「邪魔」という話です。
新自由主義者であり、小さな政府主義者でもある河野氏が、自民党での「議論」を否定したくなる気持ちは、良く分かります。
とはいえ、自民党の部会での「ぎゃーぎゃー」が無くなった場合、単に「自分の利益を最大化したい特定の誰か」が望む政策が、速やかに推進されるようになるだけの話です。
グローバリズムとしては、総理大臣が「間接民主制」で決まるという「迂遠さ」もまた、我慢がならないのでしょう。だからこそ、首相公選制などと言い出す。
今回の総裁選挙を通じ、直接民主制の危険性が露呈しました。自民党は総裁選挙における党員・党友投票を廃止するべきでしょう。何しろ、「政治家を知らない」有権者は、「マスコミに頻繁に登場するから知っている」候補者に票を投じるだけです。
同時に、岸田内閣には、成長戦略会議に代表される首相の諮問機関も、全て廃止して欲しい。同じ機能を持たせた「国会議員の会議」を作れば済む話です。
今回の自民党総裁選挙は、直接民主制の危険性や、「議論」「議会」の重要性を改めて知らしめてくれたという点においても、価値があったと思うのです。
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