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「政治の本質ー中間組織の復活を」(前半)三橋貴明 AJER2020.8.9
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政治家の皆さん 国家観・貨幣観を正せば「パーッ!」と目の前が開けるよ [三橋TV第430回] 三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/VQIo1l-tg4M
代表的な構造改革である「規制緩和」は、政府の規制という「参入障壁」がある業界、産業において、障壁を引き下げることです。
参入障壁を嫌うのが誰かといえば、それはもちろん、
「新たにその市場に新規参入し、儲けたい誰か」
でございます。
上記の考え方には、二つ、決定的な問題がある。この問題については、わたくしはまともな解決策を聞いたことがない。
1.そもそも、規制という参入障壁があるのは、安全保障や品質維持、環境保全、価格安定化等の理由がある。規制を弱め、あるいは無くし、それまで同様の安全保障、品質維持、環境保全、価格安定化等が可能なのか?
例えば、農業分野に「株式会社は参入不可」という規制があることで、
「カネになるならばやる。カネにならないならば、すぐに撤退」
といった事業者を排除することができます。逆に、規制緩和で農業を完全に「ビジネス化」してしまうと、日本の食糧安全保障は崩壊に向かいます(向かっています)。
あるいは、「水道サービスは自治体が提供する」という規制を緩和し、民営化(日本の場合はコンセッション方式)した場合、品質や価格は維持されるのか? 国民の「水」に関する安全保障は、本当に守られるのか。
守られるはずがないのです。理由は、ビジネスの目的は「国民の安全・豊かさ」ではなく、「自分の利益」であるためです。
別に株式会社が利益を追求するのを否定したいわけではない(弊社の目的も利益です)。とはいえ、公共性が高い財やサービスの生産については、政府が規制により「ビジネスの理論」を否定する必要があるでしょ。そうしなければ、国民が守られないでしょ、という話に過ぎません。
規制(参入障壁)には、それなりの存在理由があるのですが、その手の議論がされることはなく、単純に、
「既得権益が!」
と、レッテル貼りで規制が緩和、撤廃され、「新規参入」した誰かが儲かる、
【インフレギャップとデフレギャップ】
http://mtdata.jp/data_46.html#Gap
2.例えば、日本の特定産業において、規制がガチガチで、競争も生産性向上もなく、インフレギャップが拡大し、国民が「財やサービスの不足」に悩んでいるならば、まだしも話は分かります。
規制を緩和することで、競争が激化し、生産性向上の投資が起き、インフレギャップが解消に向かう。
それでも「安全保障」などが理由で、規制を維持しなければならないケースはあるでしょうが、少なくとも「デフレギャップ」という需要(=所得)のパイが拡大していない状況では、規制緩和の正当性はゼロなのです。
それにも関わらず、日本では「デフレ下の規制緩和」が繰り返された。
所得(=需要)が拡大しない状況で、規制緩和により「新規参入した誰か」が儲かったとします。その場合、反対側で必ず「所得を奪われた国民」がいるのですよ。パイが増えない状況で、競争を激化させてどうする!
【三橋貴明の音声歴史コンテンツ 経世史論】
https://keiseiron-kenkyujo.jp/keiseishiron/
上記1,2の議論は、別に難しいとは思いません。ところが、政治の場でこの種の議論がなされたことはほとんどなく、そして今、単純な「既得権益が~」という陳腐かつ古臭いレトリックを壊さ禍に叫び、規制緩和に邁進する国家観も貨幣観も間違えている人物が総理大臣。
『【独占インタビュー】菅首相「五輪で若者や子供に夢を与える機会を提供したかった」
(前略)──今後、日本の経済政策の優先順位は。
首相就任以来、規制緩和は私の最重要課題の1つだ。規制緩和を進め、既得権益を打破して、成長の次の段階への突破口を開く。(後略)』
これまでの政治は、
「規制緩和を進め、既得権益を打破する」
とか何とか言っていれば、票が取れた。結果的に、デフレ下の構造改革がすすみ、日本は見事に衰退した。
それにも関わらず、政治の場では何ら反省もなく、ついには菅義偉のような人物、時代遅れ、時代錯誤も甚だしい愚かな人間が、内閣総理大臣に就任。
いい加減にしましょう。
このまま「既得権益が~」と、同じ国民を攻撃し、国民分断を図り、かつデフレを深刻化させ、安全保障を弱体化する構造改革(規制緩和、等)路線を許容するのか?
選挙の季節が始まります。
「時代錯誤の構造改革路線を否定しよう!」に、ご賛同下さる方は、