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「内閣府の経済財政に関する試算の恐怖」(前半)三橋貴明 AJER2020.8.2
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疫病対策のトリレンマ このままでは法治主義が壊れる! [三橋TV第426回] 三橋貴明・高家望愛
日本の地方を車で移動すると気が付くのですが、インフラに投資が「されていない」。地方の多くは、昭和の時代から取り残されています。
高速道路と称するものは、片側一車線対面通行真ん中ポール立て(暫定二車線)。こんなもの、発展途上国でも「高速道路」とは呼ばないでしょう。
特に、小泉政権以降の徹底した公共投資削減、地方交付税削減により、地方財政は「人為的」に悪化させられていきます。しかも、全国的にはデフレ、不景気が続きますから、地方税収も上がりようがない。
地方債についても、「日銀の買い取り」の議論すらなされず、総務省が発行を厳しく制限。
となると、自治体としては「予算カット」以外にやりようがない。
もっとも、自治体住民への公共サービスの提供は、なかなか切りにくい(それでも切っていきましたが)。
とりあえず、一番容易な予算カットは、人件費の削減。というわけで、自治体は公務員数を削り、あるいは正規職を非正規職に切り替えていった。
結果、本来は正規の公務員として雇われるはずだった百万人を超す国民が割を食い、パソナを初めとする「ヒトを売買する会社」がぼろ儲けした。
もっとも、地方の財政悪化は容赦なく続き、ついには「水道サービスの維持が困難」という状況に追い込まれ、
「はい、水道民営化! しかも、コンセッション方式!」
という話になりまして、水道インフラの維持責任は自治体が持たされたまま、上の「楽なところ」だけを民営化。ヴェオリアを始め、外資の水道メジャーは大喜び。
『コロナ禍で地方交付税なしで財政運営できる自治体が22減少
コロナ禍で税収が減ったことなどから、国から地方交付税を受け取らずに財政運営ができる地方自治体が大幅に減少しました。
総務省は、観光地や原子力発電所の立地など、税収が多く、国から地方交付税を受け取らずに財政運営できる「不交付団体」が、2021年度は前年度から22減って54の自治体になると明らかにしました。新型コロナウイルスの感染拡大に伴って税収が減少した影響で、2年連続で減りました。(後略)』
そもそも、
「国から地方交付税を受け取らずに財政運営ができる地方自治体」
を「善」として考える発想自体が間違っているのです。理由は、地方の各種の条件がまるで異なるためです。
【三橋貴明の音声歴史コンテンツ 経世史論】
https://keiseiron-kenkyujo.jp/keiseishiron/
例えば、日本の国土が真っ平で、インフラが平等に整えているならば、まだしも理解できます。同じ条件で、切磋琢磨することに、それなりに価値はあるのでしょう。
とはいえ、現実は異なる。地方自治体の各種条件はバラバラ。元々、有利な地域もあれば、不利な地域もある。
その上、切磋琢磨はともかく、そもそも「競争」はNGです。競い、争い、優劣をつける。この種の発想を地方行政においてやってはならない。理由は、地方行政で落ちこぼれを出し、「発展した地方」と「衰退する地方」に分かれてしまうと、国民としての共同体意識が薄れ、かつ安全保障上、問題が生じるためです。
日本は国土が山脈や多数の河川により分断され、気候も異なり、災害リスクもバラバラ。インフラについても、一部の都市部を除いては、未整備のまま。
そもそも「競争」という発想がダメな上に、この状況では「公正な競争」など成り立つはずがない。「地方は努力し、互いに競争すべきだ」などと主張する連中は、せめて日本全国に東京並のインフラを完備してから言ってくれ。
ところが、「民営化」ビジネス勢力の政治力が大きいのか、或いは財務省の緊縮財政の影響か(もしくは「双方の影響」か?)、日本には地方自治体を「競争させる」という発想が蔓延っています。
何もわかっていない。
このまま東京一極集中と地方衰退を放置し、人口が東京圏に集中し(もうしているけど)、首都直下型地震が起きたらどうするのでしょう。日本の各地方は東京圏の被災者を助けようとするでしょうが、経済力(財やサービスを生産する力)がないとどうにもなりません。
分かりやすい例を出すと、日本国内で東京圏のみが「日本の供給能力」で、それ以外が「レバノンの供給能力」だったとして、東京圏を各地が助けられますか?という話。答えは「できません」。
それにも関わらず、日本政府は地方の衰退を見て見ぬ振りし、挙句「ふるさと納税」という頭のおかしい政策を導入。
「財源が足りないならば、税収を奪い合えばいいじゃん」
と、完全に「自助」「自己責任」の発想を持ち込んだわけです。ちなみに、ふるさと納税を導入したのは、菅義偉です。
地方自治体に「自助」を求めてはならない。特に、東京都民は地方の衰退に対し、政府にクレームを入れなければならないのです。理由は、このまま地方衰退を放置しておくと、首都直下地震が発生した際に、我々東京都民が助からないためでございます。
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