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「内閣府の経済財政に関する試算の恐怖」(前半)三橋貴明 AJER2020.8.2
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正気じゃない! 内閣府「中長期の経済財政に関する試算」の妄想 [三橋TV第425回] 三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/5AZLbhfkIec
レバノン・ベイルートの爆発事故から一年が経過しました。
もっとも、レバノンは爆発事故の五カ月前、20年3月に「財政破綻」しており、その時点で経済は大混乱。そこに、爆発事故が追い打ちをかけたのです。
レバノンの現実を知ることで、いわゆる「財政破綻」が「いかなる状況」で起きるのか。実際に財政破綻すると、どうなるのか。
財政破綻の「条件」と「結果」を知ることができます。
多くの国民が正しく「財政破綻」を知ることが、財政破綻論者を駆逐するのに繋がると考えているのです。
現時点でも、相変わらず、レバノンでは政権が発足しておらず、まさしく「破綻した国家」としか表現のできない状況になっています。
『レバノン、国家「崩壊」危機 ベイルート爆発から1年 インフレで食料・電気不足 通貨価値10分の1に
レバノンの首都ベイルートで約200人が死亡した大規模爆発が起きて4日で1年を迎えた。直後に内閣が総辞職を表明して以降、政治空白が続き、経済は悪化の一途をたどる。7月末には3人目となる首相候補が指名されたが、政権樹立がおぼつかなければ、国家の崩壊が現実味を帯びる。(後略)』
レバノンというか、財政破綻に陥る国の最大の条件は、「供給能力の不足」です。
国内において、資本や人材、技術の蓄積が不十分なのです。結果的に、供給能力不足の国は「国民の需要」を自国の企業や人材では満たせないため、外国から買ってくる、になります。
すなわち、貿易赤字の拡大です。
【レバノンの貿易収支の推移(百万ドル)】
http://mtdata.jp/data_76.html#Lebanese
レバノンの2019年のGDPは約526億ドル。それに対し、貿易赤字は148億ドル。巨額でございましょう(相対的に)?
貿易赤字が巨額な国が変動為替相場制を採用すると、為替レートがひたすら下落していくことになります。すると、輸入物価が跳ね上がるため、国民が耐えられないインフレになります。
そこで、レバノンのような国は(大抵は)固定為替相場制を採用します。もっとも、貿易赤字の国では、固定為替相場制は「政府がドルで、自国通貨を買い戻す」オペレーションを続けなければ成立しません。
というわけで、レバノン政府は「ドル建て国債」を発行し、固定為替相場制を維持してきたわけですが、20年3月に「ドル建て国債」の返済が不可能となり、財政破綻しました。
【三橋貴明の音声歴史コンテンツ 経世史論】
https://keiseiron-kenkyujo.jp/keiseishiron/
結果、レバノンポンドの実勢為替レートは暴落。
公定レートで1ドル=1,500レバノンポンドなのですが、実際には1ドル=約1万5,000レバノンポンド。レバノンポンドの価値が、ちょうど十分の一になったことになります。
日本で言えば、1ドル1100円というところでしょうか。
こうなると、輸入物価が高騰。というか「輸入できなくなる」のです。図のとおり、2020年の貿易赤字は縮小していますが、これはレバノンの輸出が増えたためではなく、輸入が激減したためです。
結果的に、国内のインフレ率は急騰します。
2021年5月の消費者物価上昇率は前年同月比120%。特に、食料品の上昇率は226%。
これが、財政破綻であり、インフレ率の急騰なのだよ、財政破綻論者の皆さん。
問題は、財政赤字ではなく、供給能力の不足なのです。
そして、日本が「財政赤字が~」「国の借金が~」とデフレ脱却に必要な財政拡大を拒否し、緊縮財政を続けると、肝心要の供給能力が毀損していく。
日本を「レバノン化」させ、財政破綻の(少しずつ)可能性を高めていっているのは、あなた方、財政破綻論者であり、緊縮財政を転換しない財務省、政治家たちなのです。
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