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「道義心に訴える緊縮派政治家を改心させる方法」(前半)三橋貴明 AJER2020.6.1
    

 

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6月13日 sayaのライブ開催が決定 (saya-ohgi.jp)

ゲスト:ジャズマン TOKU 今回のテーマはJazz祭り!
https://in.saya-ohgi.jp/sayalive_210613_saya

 

菅内閣が推進する垂直統合モデルは日本の技術立国を終わらせる [三橋TV第397回] 三橋貴明・高家望愛

https://youtu.be/gccIh07A8q4

 
【Front Japan 桜】危険な最低賃金引上げ政策(他)[桜R3/5/31]
https://youtu.be/cKeoM5gjfzg

【ch桜・別館】やっぱり怖かった、三橋貴明の自動運転実体験[桜R3/5/31]
https://youtu.be/3i9L9zshyEc

 さて、最低賃金。
 の前に、賃金水準(実質賃金)の決定要因は、何度も書いていますが「生産性」と「労働分配率」の二つしかありません。

【所得創出のプロセス(実体経済)】

http://mtdata.jp/data_75.html#process

 所得創出のプロセスにおいて、生産者が生産し、顧客が消費・投資として支出をすると、所得が生まれる。同プロセスにおいて、生産、支出、所得は必ず一致する。

 国内の生産の合計がGDP(国内総生産)。とはいえ、生産=支出=所得であるため、GDPは「国内で創出された所得の総計」でもある。(GDP三面等価の原則)
 
 もっとも、上図で生まれた所得は、あくまで「支払いを受けた経済主体」のものになります。個人事業主であれば、「生産者=個人」になりますが、企業の場合は違います。

 企業の生産では「生産者=企業」であり、企業が稼いだ所得から分配されるものが「給与所得」になります。

 生産性が向上し、企業の所得が実質的にどれだけ増えても、そこから「分配」される給与(=人件費)が上がるとは限らない。だからこそ、実質賃金は生産性と「労働分配率(=人件費÷付加価値の生産)」で決まるわけですね。

最低賃金「1500円以上に」 全労連が生活費から算出
 25歳の若者が人間らしく暮らすためにいくら必要か――。全国労働組合総連合(全労連)は31日、生活に必要な経費を調査し、それを賄える最低賃金(最賃)の試算を公表した。コロナで影響を受けた非正規社員らの多くが、ほぼ最賃で働いていることも念頭に、最賃は「全国一律で時給1500円が必要」と訴えた。(後略)』

 全労連は、生活に必要な費用を積み上げ、必要な最低賃金を算定しています。
 興味深いのは、地方は大都市と比べ、住居費は安いものの、交通費は上回っている。結局、必要な生活費は変わらないとのことです。(だから全国一律の引き上げを求めている)
 

【三橋貴明の音声歴史コンテンツ 経世史論】

リクエスト多数につき再掲載!

作家・古代史研究家 長浜 浩明【日本人はどこからきたのか?】【邪馬台国はどこにあったのか?】

https://keiseiron-kenkyujo.jp/keiseishiron/


 さて、生産性の問題については、散々に取り上げましたが、本日は労働分配率。

 企業が生産する付加価値(=所得)から、人件費に回す割合が労働分配率。労働分配率を引き上げれば、確実に給与は上昇します。

 注意しなければならないのは、労働分配率は企業規模や業種、業態によって、大きな差があるという現実です。

【日本の企業規模別労働分配率の推移】

http://mtdata.jp/data_75.html#bunpairitu

 まずは、中小企業は大企業と比べて、元々、労働分配率は高いことを知って下さいませ

 また、リーマンショック期に全体的に労働分配率が上昇しているように見えますが、これは大不況で付加価値(≒粗利益)が激減し、分母が小さくなってしまったためです。別に、給与が上がったわけではありません。

 そして、第二次安倍政権以降、大企業は「株主資本主義」の下で、明確に労働分配率を引き下げていっている。

 大企業(というか、上場企業)の給与水準を引き上げる政策は、株主資本主義を制限すること。具体的には、労働規制の強化や、配当金への課税強化、法人税増税等により、労働分配率を引き上げるのです。
 
 それに対し、中小企業にこれ以上、労働分配率を引き上げろと言われても、それは「無茶」というものです。

 つまりは、中小企業の給与水準を引き上げるためには、生産性向上の投資を誘因する必要があります。
 
 そのためには、まずは「移民」を入れない。移民により人手不足が解消してしまうと、生産性向上は不要になります。

 そして、需要を「安定的に、中長期的に」拡大することを、政府がコミットするのです。具体的には、地方のインフラ整備などを中心とした「国土計画」の復活。さらには、科学技術や教育など、投資系の財政支出について「長期計画」を立て、政府が需要拡大を「約束」する必要があります。

 中長期的な需要拡大の見込みを確信できれば、地方の中小企業は「利益拡大」のための投資に乗り出し、生産性は向上し、実質賃金は上昇していきます。(というか、実質賃金を引き上げなければ、人手不足を解消できない) 
 
 上記の政策を推進すると、政府投資に加え、民間の投資が拡大、実質賃金上昇により消費も増加し、デフレは解消します。

 問題なのは、現在の日本の内閣、政治家たちが、上記の「誰でも分かる話」を理解しようとせず、PB黒字化という長期の財政抑制目標に固執していることです。

 さらには、最低賃金引き上げを「中小企業淘汰」「M&Aによる垂直統合モデル)のツールとしようとしている。

 昨日の鈴木さんではないですが、「最低賃金を引き上げます」という政策は、耳触りがいいのです。骨太の方針2021にも、載るのでしょう。
 
 とはいえ、「労働者の生活水準を高めたい」全労連と、中小企業淘汰に利用とする菅内閣とでは、同じ「最低賃金の引き上げ」であっても、目的がまるで異なるのです。

 わたくしにしても、国民の所得水準を高めるべきだと思います。とはいえ、そのために必要なのは「デフレ脱却」です。

 デフレ状況のまま最低賃金を強引に引き上げたところで、中小企業の経営を悪化させ、M&Aビジネスで日本を食い荒らしたい禿鷹共を利するだけなのですよ。
 
 デフレから脱却し、中小企業の給与水準が上昇し、「実態」に合わせて最低賃金を引き上げる。これが、唯一の正しい手法なのですよ。
 

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