株式会社経世論研究所 講演・執筆依頼等、お仕事のご依頼はこちらから
三橋貴明のツイッターはこちら
人気ブログランキングに参加しています。
チャンネルAJER更新しました。
「国民負担率の引き下げを求めよう(前半)」三橋貴明 AJER2020.2.16
令和の政策ピボット呼びかけ人に「俳優 伊原剛志様」が加わって下さいました。
また、メルマガ「令和ピボットニュース」が始まりました。皆様、是非とも、メルマガ登録を!
一般参加可能な講演会のお知らせ。
4月29日 仙台 「4月29日 講演会 新型コロナで疲弊した地方経済をいかに救うか?―今こそ日本の中小企業を救え!」
http://mtdata.jp/data_74.html#0429
デービッド・アトキンソンから二回目のお手紙をもらった件 [三橋TV第368回] 三橋貴明・高家望愛
いや、大げさでも何でもなく、世界の貨幣観、財政観が変わりつつあります。今回の新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、短期的に多くの人命を奪った災厄ですが、中長期的には異なる影響を人類文明に与えるのかも知れません。
『 村上尚巳 プロ投資家が斬る 「アメリカンレスキュープラン」成立、財政政策の判断基準が大きく変わりつつある
<総額約1.9兆ドル(GDP比9%)の経済対策「アメリカンレスキュープラン」成立。大規模な財政政策に対する考え方が変わってきている......>
前回(2月25日)コラムでは、米国においてバイデン政権が打ち出すアメリカンレスキュープランの多くが実現する可能性を述べた。その後、上下院で多数派を形成する民主党の賛成で可決して、3月11日のバイデン大統領による署名で成立した。(後略)』
商品貨幣論の下で発展した「経済学」では、国家の財政の「考え方」について、少なくとも二つ、「決定的な間違い」があります。
1.貨幣のプール論:貨幣について、金貨のような「物体」であると認識し、貨幣のプールが構築可能と考えてしまう。
貨幣のプール論からは、貨幣について「量的な限界」があるという結論を導き出されます。
現実には、貨幣は「債務と債権の記録」「貸借関係」という情報です。当たり前ですが、情報に量的な限界、制限は存在しません。
政府が、「予算を決める=国債を発行し、支出する」と決めるだけで、国民に供給される貨幣が創出されます。
それが、貨幣のプール論に基づくと、
「政府が国債発行で貨幣のプールから貨幣を持っていくと、残りの貨幣が少なくなるため、金利が上がる」
という、間違った結論になってしまうのです(いわゆるクラウディングアウト)。結果、国債発行を否定する。
先日の池上彰氏の寄稿から引用すると、
『財政赤字が拡大すると、それだけ大量の国債が出回るようになり、高い金利をつけないと売れなくなるので、いずれ国家財政が破綻する危険性が高まる』
という間違いでございます。
2.モノ・マネー論:貨幣について「一種類」しかなく、かつ全ての経済主体が同じように利用できると考えてしまう。
実際には、貨幣には主だったところで日銀当座預金、現金紙幣、銀行預金、小切手、約束手形など、複数の種類があります。
日銀当座預金を利用可能なのは政府と金融機関のみ、銀行預金口座を持っていない国民は、銀行預金を使えないなど、貨幣には経済主体によって利用制限があるのです。
日本銀行も銀行預金口座を持っておらず、資産としての銀行預金はゼロです。
モノ・マネー論に囚われると、土居丈朗のように、
「日銀が国債を売り、市中に流通する通貨(銀行預金)を吸収する」
などと、アホなことを言い出すことになります。日銀が国債を売ったとき、手に入るのは「自らが発行した」日銀当座預金だけなんだよ、土居君。
ちなみに、いわゆるリフレ派の「インフレ目標+量的緩和のコミットメント」によるデフレ対策が失敗に終わったのも、彼らの理論がモノ・マネー論に基づいていたためです。
池上氏の寄稿でいえば、
『中央銀行が国債を大量に買い上げるので、その分のお金が世の中に出回るようになり、お金の価値が下がる=つまりインフレになる』
という間違いですね。
【三橋貴明の音声歴史コンテンツ 経世史論】
現在、【三橋貴明×関良基】歪められた「開国」の歴史〜日米修好通商条約の締結時点では「関税自主権」はあった!?の一部をYoutubeで公開中!
別に、MMTを持ち出さずとも、上記の「貨幣の動き」は単なる現実であり、誰にも否定することができません。現実が、経済学を、そして財政観を変えようとしている。
村上氏の寄稿から引用します。
『(前略)その最たる例は日本である。同書の分析で重視されていた債務残高GDP比率は、日本では200%を越えて各国対比では圧倒的に高い。こうした指標を理由に、日本の財政状況は危機的、持続不可能であると過去20年以上にわたり、日本の経済学者などから言われ続けている。
実際には、1990年代後半の金融危機、ITバブル崩壊、リーマンショック、そしてコロナ危機を経て、日本の政府債務残高GDP比率の上昇は続いているが、経済学者などが主張してきた「財政危機」は起きていない。というか、起きる兆しすら見られないというのが筆者の認識である。(後略)』
『(前略)最近、米国では財政政策の危険度や持続性を正確に考えるためには、伝統的に重視されてきた政府債務残高GDP比率は妥当ではないとの主張が注目されている。(後略)』
『(前略)しかし、「日本の財政は既に破綻している」などの筆者に言わせれば極めて非現実的な主張が、日本のメディアでは依然として目立っている。こうした主張が未だに幅広く信じられており、政治的にもかなり強い影響力を持っているのが実情だろう。(後略)』
村上氏が書いている通り、「政府の債務残高対GDP比率」は、財政政策の指標として不適切です。そもそも、「自国通貨建て国債」しか発行していない国と、共通通貨建て国債(ギリシャなど)、外貨建て国債(レバノンなど)を同じ土俵で比較している時点で、「頭がおかしい」としか表現のしようがないのです。
実際、ギリシャは「政府の債務残高対GDP比率」が日本よりはるかに低いにも関わらず、破綻しました。
財政政策の指標は、インフレ率にしなければなりません。
何しろ、主権通貨国は「インフレ率が健全な範囲に収まる限り」政府が貨幣という「情報」を発行して構わないのです。
そして、インフレ率を見ると、明らかに異質な国が我が国です。
【主要国のインフレ率(%)】
http://mtdata.jp/data_74.html#Infla
つまりは、デフレということですが、長期のデフレに苦しめられた日本は、「適切なインフレ率」という政府の貨幣発行の限界、あるいは「ゴール」が最も遠い国なのです。
そこに、希望があります。
「正しい財政政策で成長を実現しよう!」に、ご賛同下さる方は、
↓このリンクをクリックを!
本ブログへのリンクは以下のバナーをお使いください。
◆関連ブログ
日本経済復活の会のホームページはこちらです。
㈱日本富民安全研究所のブログ絶望の先にはこちらです。
◆三橋貴明関連情報
新世紀のビッグブラザーへ ホームページはこちらです。
メルマガ「週刊三橋貴明~新世紀のビッグブラザーへ~」はこちらです。