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「PB黒字化目標は民間赤字化目標 でしょ?!(前半)」三橋貴明 AJER2020.2.9

    

 

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日本経済の基盤「雇用」を破壊する消費税と社会保険料[三橋TV第363回] 三橋貴明・森井じゅん・高家望愛


https://youtu.be/KCqpIfEOQhA

 本日も、アトキンソンからの「反論」
仮にMMTが正しくても「特効薬にはならない」訳 積極財政による日本経済再生の可能性と限界
 に対する反論。
 

 さて、デービッド・アトキンソンは、デフレで需要(GDP)が停滞していた日本の政府支出をGDPと比較し、
「対GDP比で見れば、日本の政府支出は多い。緊縮財政ではない」
 という、面白レトリックで緊縮財政を否定しています。理由は、緊縮財政を否定し、政府の財政出動を妨害することが彼の目的であるためです。


 日本のデフレを継続させ、構造改革を推進する。アトキンソンにとっては、日本の緊縮財政などどうでもよく、財政破綻論者でもありません。単に、自分のビジネスのために日本の緊縮路線を継続させたいだけなのです。
 

 そもそも、アトキンソンの「日本政府の緊縮ではない」は、チャート一つで論破可能です。

【主要国の2019年GDP及び政府支出対2001年比(倍)】


http://mtdata.jp/data_74.html#20192001

 政府支出は、GDP(需要)の一部です。
 デフレという総需要不足に陥った国が、緊縮財政。政府の支出を抑制し(図の通り)、増税を繰り返した。結果、需要不足が埋まるはずもなく、GDPは成長せず(図の通り)、政府支出対GDP比率は「分母のGDPが成長しないため」大きく見えるようになった


 それを利用し、
「GDP比で見れば、日本は緊縮財政ではない」
 と、詭弁を弄しているのがアトキンソンで、彼のような出鱈目ばかりをまき散らす構造改革主義者に騙され続けた結果、我が国のGDPは図の通り「惨憺たる状況」になったわけです。


 アトキンソンは寄稿の中盤で減税政策と政府支出削減についてグダグダと書き連ね、「政府支出の方が、減税より効果がある」と結論付けています。減税は国民の可処分所得が増えても、支出に回るとは限らないためで、
「そんなこと言ったら、政府支出も所得移転系(給付金など)は支出に回るとは限らんだろ」
 という突っ込みは置いておき、とりあえず現在の日本は政府支出を増やし、同時に減税すれば済む話です。

 

 彼が最も強調したかった論点は、後半のMMTに関する部分です。
 

【三橋貴明の音声歴史コンテンツ 経世史論】


現在、特別コンテンツ 【信じがたい歴史的真実!フランス革命とMMT(現代貨幣理論)】の一部をYoutubeで公開中!

https://youtu.be/j-lLu2feXfU

 

『先ほどの指摘をする人たちは、「デフレは、供給に比べ需要が足りないことが原因で起きているので、需要を増やすべきだ」という理屈を展開しています。そして需要が足りないのは緊縮財政に原因があるので、財政を積極出動し、インフレに持っていけば、経済は復活するという主張をしていると推察できます。
 財政の健全化に反対するこの見方の延長線上で、消費税凍結を主張するのも、理屈としては理解できます。なぜなら増税もデフレ要因の1つだからです。
 この意見に対する一般的な反論は「日本はすでにGDPに対する国の借金が世界一なので、積極的に財政を出動することは危険だ」という主張です。すると彼らは、MMT(モダンマネタリーセオリー)を持ち出し、「先進国の場合、国の支出はインフレになるまでいくら増えても問題ない」と主張し始めます(MMTについての考えは後段で説明します)。』

 一応、申し上げておきますが、わたくし共はMMTが2019年に日本に到来する「前」から、全く同じことを主張しておりましたよ。勉強不足ですね、アトキンソン。


 さて、アトキンソンは、
「政府支出を拡大し、総需要を埋めれば投資が拡大し、生産性が上昇する」
 を、否定するために、「生産性=労働参加率 x 労働生産性」と定義し、

『財政出動は税金や国債の発行上限に制限される必要がないと主張するMMTを論じているアメリカのエコノミストでも、完全雇用が達成されるまで財政支出をするべきだと主張しています。一方、完全雇用が達成された後は、財政出動の効果が減免するか、インフレになる可能性があるとしています。逆に、インフレになるまで、政府は支出を増やしてもいいとも言われます。
 ということは、MMTの効果に関しても、財政出動は、労働生産性ではなく、労働参加率を上昇させることによって、全体の生産性を押し上げるということを意味しています。』

 と、理解不能、意味不明なことをのたまっています。


 インフレということは、(潜在的)総需要が供給能力を上回っている状況です。すなわち、経営者にとっては、
「仕事はいっぱいあるが、我が社の生産能力が不足している」
 というわけで、投資が拡大するため、労働生産性はむしろ「上昇」します。
 実際、日本の高度成長期は「完全雇用下の投資拡大による労働生産性の上昇」により達成されたのです。
 というわけで、例により「証拠」。

【日本の高度成長期の生産性上昇率と完全失業率(%)】


http://mtdata.jp/data_74.html#kanzennkoyou

 高度成長期。日本は完全雇用下で、毎年平均7%以上の生産性の上昇を達成しました。


 ところが、アトキンソンは完全雇用下の「投資による労働生産性上昇」を否定し、
「政府支出拡大で需要が伸び、完全雇用になると、労働参加率上昇により生産性を高めるしかないが(←何でだよ!)、高齢化ですでに労働参加率が高い日本では無理」
 と、印象付けることにより、「政府支出による需要拡大で、生産性を向上させる」という、普通の経済政策を妨害しようとしているのです。


 今回のアトキンソンの主張(というか、出鱈目)の肝は、
アトキンソンは、故意に完全雇用下の投資拡大による生産性向上を無視している
 という点です。


 というわけで、アトキンソン氏への感想。
「あんた、完全雇用になったとしても、投資を拡大すれば生産性が向上するという、基本中の基本すら知らないんだ(爆笑)
 で、ございます。

 

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