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「PB黒字化目標は民間赤字化目標 でしょ?!(前半)」三橋貴明 AJER2020.2.9
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日本の大手紙は全く報じていませんが、実は2月19日のG7首脳会議では、
「経済回復支援のため、政府支出を継続するとの決意」
が表明されています。
もちろん、G7首脳の中には、菅義偉内閣総理大臣も含まれています。
『G7首脳、経済への財政支援継続を表明-東京五輪開催の決意支持
主要7カ国(G7)首脳は19日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)による打撃からの経済回復支援のため、政府支出を継続するとの決意を表明した。
バイデン氏にとっては米大統領就任後初めてのG7首脳会議となった。バーチャル形式で行われた同会議でG7首脳は、公衆衛生の危機後に世界を「より良い形で立て直す」方法について重点的に討議した。議長国は英国。
会議後には「雇用を守るとともに、力強く持続可能で均衡の取れた包摂的な景気回復を支援するために、経済を支え続ける」との声明を発表した。(後略)』
リーマンショック後と同じく、主要国は「共に財政拡大」のフェーズに入っているわけですが、日本はどうでしょうか。
わたくしには、菅義偉首相は「中小企業改革」以外にはほとんど興味がないように見えます。
首相の諮問会議「成長戦略会議」hは、竹中平蔵やデービッド・アトキンソンが主導し、中小企業改革以外はほとんど議論していません。
彼らの中小企業改革は、G7で「国際的」に求められている財政拡大と方向が正反対になります。
何しろ、彼らの、
「中小企業の苦境を放置し、M&Aで身ぎれいな中堅企業と化し、余剰人員を解雇し、不採算部門は廃止し、高く売り飛ばす」
というビジネススキームは、国内がデフレ状況であることが前提なのです。
彼らにとって、コロナ禍ですら「ビジネスチャンス」でしかありません。
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というわけで、コロナ禍から国民や企業を救い、日本をデフレ脱却させる「総需要を拡大する財政支出」は、何としても防がなければならないのです。
が、さすがに、
「俺たちがぼろ儲けするために、日本のデフレを放置する。総需要拡大策など、やらせない」
とは言えないため、アトキンソンのようにからめ手でやってくるわけです。
先日のアトキンソンの寄稿「「デフレだから生産性向上は無理」という勘違い 生産性向上率とインフレ率には負の相関がある」 は、
(1)「デフレだから、生産性の向上は無理」
(2)「総需要が不足しているから、財政出動が必要」
(3)「積極的に財政支出を増やせば、生産性は上がる」
の三つを否定にかかっているわけで、完全に「総需要拡大派」狙い撃ちです。
さらに、寄稿を、
『日本は前者の悪いデフレに陥っているという仮説に立つならば、需要を増やす必要があるという結論になります。その延長線で、政府が財政支出を積極的に増やすべきという主張が出てくるでしょう。
しかし、政府支出さえ増やせば需要が戻ってデフレではなくなり、生産性が上がるというほど単純なものではないことも、真剣に考える必要があります。
要するに、生産性の向上というのは、インフレやデフレが直接的にもたらすものではなく、他の要因が複雑に絡んでくるので、さらに根本的な要因を探し出さなくては、答えにたどり着けないのです。
次回は生産性向上の観点から「総需要が足りないから、財政出動が必要」という説の是非について検証して、この複雑な関係を考えます。』
で、結んでおり、自分たちの「中小企業改革というビジネス」を推進するために、財政出動を妨害する気満々です。
「日本の生産性が低迷しているのは、総需要の不足というデフレが原因ではない」
というレトリックで、デフレ対策を妨げ、中小企業の数を減らすことで儲けようとしているわけでございます。
というわけで、反対側で中小企業改革を進めている以上、菅内閣が「サミット」の決意表明通り、財政拡大に転じる可能性は低いと思います。
野党にとっては、チャンスではあります。
『立憲民主党がMMT派の代表格・藤井聡さんを財務金融部会に招聘
立憲民主党が、MMT、現代貨幣理論の日本における代表格の論者である、元安倍内閣官房参与、藤井聡・京大教授を財務金融部会に招くことが分かりました。
部会は、月曜日(2/22)の衆議院財務金融委員会の「特例公債法案」(204閣法4号)の参考人質疑3時間コースが終わった後の夕刻に、衆議院議員会館で報道陣非公開で開かれます。
立憲民主党財務金融部会長は、牧山弘恵参議院議員。
藤井教授は、野党期の自民党の二階俊博・元幹事長らが打ち出した「国土強靭化計画」の理論的支柱として知られ、政権交代後は内閣官房参与を兼任しました。積極的財政支出だけでなく、ジャネット・イエレンFRB副議長(現・財務長官)や、日銀の黒田総裁らの量的金融緩和を理論的に「正しい」と裏付けた、ニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授の来日講演にもかかわりました。(後略)』
世界は変わりつつある。
日本の政治においても、与党も、野党も、そして国民も変わらなければなりません。
積極財政が大前提で、その上で政策メニューを競うという「真っ当な国」にこのタイミングで転換できなければ、我々の世代ではもはやチャンスはないかも知れないのです。
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