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「全ての歴史がイギリスから動く(前半)」三橋貴明 AJER2020.8.10
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潜在成長率の秘密 信じがたい「平均概念」の欺瞞と恐怖を知ってくれ [三橋TV第283回]
https://youtu.be/UAl8WemMHmY
さて、三橋TVは今回(第283回)と次回で「潜在成長率」「平均概念の潜在GDP」そして「構造改革」の関係というか、欺瞞について解説します。
なぜわたくしが「潜在成長率」の問題にこだわるのかと言えば、
1.他に誰もやりそうにない
2.今後、潜在成長率がゼロになり、「だから構造改革だ!」の声が溢れかえること必至
であるためです。
というか、すでに始まっている。
『水泡に帰すアベノミクス コロナ禍打撃、経済縮小―再生へ構造改革急務
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020082200352&g=eco
2012年末に発足した第2次安倍政権は、金融緩和と財政出動、成長戦略の「3本の矢」による経済政策「アベノミクス」を推進してきた。円安による企業業績改善や株高といった成果を挙げたが、公約に掲げたデフレ脱却はいまだ実現できていない。足元では新型コロナウイルスの影響で経済が急激に縮小。看板政策の果実は水泡に帰しつつあり、経済再生には構造改革が急務だ。(中略)
規制緩和など成長戦略の中身も乏しかった。内閣府によると、日本経済の実力を示す潜在成長率は19年に0.9%と4年連続の横ばいだった。
既に失速していたアベノミクスにコロナが追い打ちを掛けた。20年4~6月期の実質GDP(国内総生産)は年率換算で485兆円と、前期比41兆円も目減りし、政権発足時(12年10~12月期)の498兆円を下回った。生活実感に近い名目GDPは506兆円で、600兆円の政権目標は遠のいた。
借金の山も残された。消費税を5%から2段階で10%に引き上げたが、主要国中最悪の部類に入っていた財政はコロナ対策の巨額支出で一段と悪化。20年度末の国債発行残高は964兆円と実質GDPの2倍に達する見通しだ。安倍政権は「経済再生なくして財政健全化はない」(麻生太郎財務相)として財政再建を後回しにしてきたが、財務省幹部は「いつまでもこの状態を放っておけない」と危機感を示す。
野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「コロナショックを機に、金融・財政政策から経済の効率性を高める構造改革へと一気に比重を移すべきだ」として、サービス業の生産性向上などに取り組むよう求めている。』
ほらね。「潜在成長率が低いから、構造改革」というレトリックになっているでしょ? そして、日本国民の99%以上は、「現在の潜在成長率の統計」の嘘というか、罠というか、「信じがたい欺瞞」について知らない。
記事にもある通り、日本の潜在成長率は1%を切る、極めて低い水準で推移していましたが、これは単純に「実際の成長率が低いため」です。ということは、実際の成長率が上がれば、潜在成長率も上がる。構造改革は、現在の日本ではむしろ潜在成長率を引き下げる。
という、信じがたい「事実」を理解してください。
【三橋貴明の音声歴史コンテンツ 経世史論】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※特別コンテンツ、近現代史研究家・林千勝先生【大東亜戦争の真実~奪われた勝利への道~】が視聴可能となりました。
【インフレギャップとデフレギャップ】
http://mtdata.jp/data_46.html#Gap
本来、潜在成長率とは「最大概念の潜在GDP」の成長率のことです。日本の国民経済の労働力や資本(工場、設備など)が「100%稼働」した際に生産可能なGDPが、潜在GDPなのです。(何しろ「潜在」ですので)
潜在GDPが「最大概念」で、かつ図の左側、インフレギャップの状況であれば、
1.生産者が怠惰で、生産性向上のための投資や努力をしない
2.安全保障に影響を与えない
という、二つの条件を満たすとき、規制緩和、民営化、自由貿易等で「競争を激化させる」構造改革は、正当化されるケースがあります。構造改革で参入障壁が下がり、新規事業者と競争になれば、既存事業者も懸命に生産性向上に努め、「最大概念の潜在GDP」が上昇し、インフレギャップが埋まります。
ところが、日本は潜在GDPの定義を「平均概念」に変えてしまっています。生産要素の「過去平均」を投入した際に生産可能なGDP。つまりは、過去のGDPの平均です。
青木泰樹先生が以前、書かれていた通り、現在の日本の(平均概念)の潜在GDPは、実は「平均GDP」なのです。そして、潜在GDPの成長率である「潜在成長率」は、「平均成長率」です。
平均成長率であるため、実際の日本の成長率が低迷すると、「潜在成長率も低迷」ということになります。
それを受けて、構造改革主義者たちが、
「最大概念の潜在GDPの場合は、有効なケースがあり得る」
に過ぎない構造改革を声高に叫び、様々な規制緩和がなされ、レント・シーカーたちがぼろ儲け。
そして、構造改革は「インフレギャップを埋める」政策、つまりはインフレ対策です。デフレの日本でインフレ対策をすると、当たり前ですが「デフレ深刻化」です。
デフレが深刻化すると、GDP成長率が低迷する。すると、平均成長率である「潜在成長率」が下がっていく。結果、
「潜在成長率を引き上げるため、構造改革だ~っ!」
と、デフレ深刻化とGDP成長率の低迷、さらには潜在成長率(という名の平均成長率)が引き下げられてしまう。それを受け、構造改革主義者たちが、
「潜在成長率を引き上げるため、構造改革だ~っ!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・、恐るべき構造になっていることを、ご理解頂けたのではないでしょうか。
現在の日本の潜在成長率は、実は「平均成長率」であるため、コロナ恐慌により「GDP成長率」が大幅なマイナスになると、「ゼロ」になります。しかも「ゼロ」の状況は、数年続く。
となると・・・・、言うまでもなく、構造改革主義者たちがこれまで以上に跋扈し、「インフレ対策」である構造改革を推進し、状況が悪化していく。
この悪夢の未来を回避するためには、「事実」を国民が共有し、構造改革主義者たちを「嘘つき」として黙らせなければなりません。
とりあえず、政府は平均概念の潜在GDPの成長率について「潜在成長率」と呼ぶのを即刻やめ、「平均成長率」と、正しい呼称に変えるべきです。
「政府は呼称を平均成長率に変えるべき」に、同意頂けた方は、