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「日本をダメにした財務省と経団連の欺瞞(前半)」三橋貴明 AJER2020.7.7

    

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日本経済はコロナ・消費増税前からコケていた 実践主義を取り戻せ![三橋TV263回]中野剛志・森永康平・高家望愛

https://youtu.be/jWW4d2MZ8wI

 

 改めて、国民経済の五原則。

◆国民経済において、最も重要なのは「需要を満たす供給能力」である。
◆国民経済において、お金は使っても消えない。誰かの支出は、誰かの所得である。
◆国民経済において、誰かの金融資産は必ず誰かの金融負債である。
◆国民経済において、誰かの黒字は必ず誰かの赤字である。
◆現代世界において、国家が発行する貨幣の裏づけは「供給能力」である。

 投資とは、未来への意思です。
 国民経済において、最も重要なのは「需要を満たす供給能力」である。ならば、供給能力が国民の需要を満たせなかった場合、そうなるのか。


 まさに、現在のレバノンのごとく「財政破綻」し、国民は「飢え」に苦しめられることになります


 いつもは、財政破綻について「財政破綻した」という結果の方から見ていますが、今回は逆方向からアプローチしてみましょう。すなわち、「供給能力」が不足する国の最終的な運命です。


 供給能力、より具体的には財やサービスの生産能力が足りない国は、どうなるのか。
 もちろん、国内の供給能力では国民が必要とする財やサービスを生産できないため、人々が「財やサービスの不足」に苦しめられることになります。


 というわけで、供給能力が不足する国は「輸入」を増やします。つまりは、貿易赤字の拡大です。

 

 そして、国内で財やサービスを売った「外国企業」は、通貨を外貨に両替しようとしていきます。
 必然、貿易赤字が大きい国は、ひたすら「為替レートの下落」圧力にさらされることになるのです。

【レバノンの貿易収支(百万ドル)】


http://mtdata.jp/data_70.html#boueki

 内戦で供給能力が毀損したレバノン(それ以前からかも知れませんが)は、国民の財やサービスに対する需要を満たすため、ひたすら貿易赤字を拡大していきました。


 その分(※厳密には経常収支赤字分)、レバノンポンド(以下、LBP)を外貨に両替しようというニーズが発生することになります。


 これを放置しておくと、LBPはひたすら対ドル(厳密には外貨)為替レートが暴落し、輸入物価が急騰し、国民は「適切ではない」インフレ率高騰に苦しめられることになります。


 ならば、どうすればいいのか。
 

 LBPの為替レートを、対ドル固定相場とする。他に手はありません。


 実際、レバノン政府は「1ドル=1507LBP」の固定相場制を採用しました。とはいえ、為替の固定相場とは、政府が「1ドル、1507LBPとする!」と、宣言すれば達成されるわけではありません。
 

 貿易赤字である以上、外為市場では常にLBPからドルへの両替が行われます。レバノン政府は、手持ちのドル(外貨準備)で売られたLBPを買い戻す為替介入を続けなければなりません。


 貿易黒字、経常収支黒字国であれば、「外貨の自国通貨への両替分を、自国通貨を調達して買い戻す」形で、外貨準備を蓄積することができます。とはいえ、レバノンは恒常的な貿易赤字、経常収支の赤字。


 自国通貨で外貨を買う形で外貨準備(≒ドル)を手に入れられないレバノン政府は、いかにして為替介入に必要なドルを手に入れるのでしょうか。


 もちろん、ドル建て国債です。
 

 実際に、レバノン政府はドル建て国債を発行し、国際金融市場からドルを調達し、為替介入を行い、1ドル=1507LBPの為替レートを維持してきたのです。


 とはいえ、ドル建て国債は「実質的」に、償還期限が来たら返済しなければなりません。ドル建て国債を償還するには、ドルが必要なのです。


 そもそもレバノン政府はドルを手に入れられないからこそ、ドル建て国債を発行していたわけです。返済のためのドルを手に入れられないと、どうなるのか。


 償還期限がきたドル建て国債の返済不能。すなわち、債務不履行、デフォルト、財政破綻に至る以外の道はありませんでした。


 レバノン政府が(ドル建て国債の)デフォルトになると、当たり前ですが公式の「1ドル=1507LBP」は維持不可能になります。外為市場あるいは「闇市場」において、LBPはひたすら対ドル(※外貨)で下落していくことになります。


 LBPが暴落すると、輸入物価が急騰し、国民は「財やサービスの不足」というインフレに苦しめられることになります。分かりやすく書くと、飢える、のです。
 

【三橋貴明の音声歴史コンテンツ 経世史論】

http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
特別コンテンツ「近現代史研究家・林千勝先生【大東亜戦争の真実~国際金融資本とルーズベルト~】」が視聴可能となりました。

 

『レバノンの通貨大幅下落 財政悪化で信用失墜、コロナが追い打ち
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/200716/mcb2007160500003-n1.htm
 中東レバノンの通貨が大幅下落し、経済危機が悪化した。困窮していた財政に新型コロナによる不況が追い打ちとなった。目立つ産業がなく輸入に頼る同国では、物価が高騰し自殺者や犯罪が増加、反政府デモも継続し、混乱が加速している
 通貨レバノン・ポンドはこれまで安定していたが、財政悪化に端を発する昨年10月からの反政府デモや、今年3月のデフォルト(債務不履行)で通貨の信用が失われた。新型コロナでの失業増もあり、下落に歯止めがかからなくなった。
 昨年10月まで1ドル=約1500レバノン・ポンドだった交換比率は、デフォルト後の今年4月に約3600レバノン・ポンドに下落。地元紙デーリー・スターによると、闇市場では2日に一時、1万レバノン・ポンド近くまで急落した。
 輸入に頼る生活物資は急騰し、困窮者が増加。軍は兵士の食事を肉抜きにして経費を削減している。在レバノン日本大使館などによると、経済苦とみられる自殺者が出ているほか、殺人が昨年と比べ倍増、強盗が2割増など治安が悪化した。
 自らの腎臓を売りたいとネット上で申し出る失業者も。首都ベイルートに住む30代のオマル・ティビさんは新型コロナで飲食店を解雇された後、子供のミルク代にも苦しんでいると言い、「車も宝石も、家具も売った。この国の未来が見えない」と途方に暮れていた。』

 レバノンが経済危機を脱するためには、どうしたらいいのでしょうか。


 通貨暴落を「奇禍」とし、国内の投資を拡大し、供給能力を引き上げ、輸出増により貿易赤字の解消を目指すしかありません
 

 とはいえ、投資による供給能力引き上げは、一朝一夕には達成しえない。供給能力とは、過去の「先人」たちによる努力、すなわち、
「将来の供給能力を引き上げるために、今、投資をしよう」
 という、未来への意志が蓄積された「結果」なのです。


 現代のレバノン人が苦しんでいるのは、過去の先人が十分な投資をしなかった「結果」なのですよ。


 そして、我々が日本国において、それなりに「供給能力のある経済」を満喫できているのは、過去の先人の苦難、努力、投資のおかげなのです


「国民経済において、最も重要なのは「需要を満たす供給能力」である。」
 

 レバノンの「財政破綻の事例」を知れば、経済において最も重要なのが何か、我々が「未来」のために何をするべきなのかが、誰にでも分かるはずです。
 

 そして、財政破綻論者の「日本の供給能力を潰す言論」に対し、わたくしがどれほど怒っているかが、理解できると思うのです。

 

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