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総理が緊急事態宣言の一か月延長を宣言し、記者会見で、
『私たちの暮らしを支えてくださっている皆さんへの敬意や感謝、他の人たちへの支え合いの気持ち、そうした思いやりの気持ち、人と人との絆(きずな)の力があれば、目に見えないウイルスへの恐怖や不安な気持ちに必ずや打ち勝つことができる。私はそう信じています。』
と語りました。
宗教か? 絆の力とやらが、我々の所得を補填してくれるのか?
現実には、絆の力とやらでは、国民は助かりませんから。
政府が緊縮財政路線を改めず、国民の「犠牲」により事態を乗り切ろうとしているのを誤魔かすべく、「絆の力」とやらの抽象論、精神論を叫ぶのは本当にやめて欲しい。
こう言っては何ですが、日本が大東亜戦争に勝てなかった理由が、今の総理や官邸、官僚、政治家たちを見ていると如実に理解できます。現実を見ず、経路依存性から抜け出せず、自分の認識共同体の中のみで会話し、分かった気になり、実質的な対応は可能な限り絞り、責任を国民に押し付け、精神論で煽り、誤魔かす。トップがこんな有様では、勝てる戦争も勝てませんよ。
そもそも、外出禁止、イベント自粛で、所得を稼ぐことができず「飢え」「自殺」に直面している国民を、総理は「絆の力」とやらで、どのように救うつもりなのですか?
本気で国民を救きたいならば、財政拡大の決断、他にはありません。
総理は、会見で、
『感染症の影響が長引く中で、我が国の雇用の7割を支える中小・小規模事業者の皆さんが、現在、休業などによって売上げがゼロになるような、これまでになく厳しい経営環境に置かれている。その苦しみは痛いほど分かっています。こうした中で、緊急事態を更に1か月続ける判断をしなければならなかったことは、断腸の思いです。』
とも発言しましたが、苦しみが分かっているならば、やることは「総額100兆円の新規国債発行」の宣言です。
安藤裕衆議院議員が代表を務める「日本の未来を考える勉強会」の提言について、「(いつものように)検討を指示した」と発言するだけで、多くの国民が救われます
【歴史音声コンテンツ 経世史論】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※ノンフィクション作家「河添恵子」先生との対談「歴史から学ぶ中国と中国人の本質」が視聴可能となりました。
事態は切迫しており、
『経済損失45兆円の試算、そぎ落とされる体力…宣言延長、予断許さず
(前略)緊急事態宣言の延長は、窮状を深めかねない。第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは、宣言が5月6日から1カ月間延長された場合の経済損失額を累計45兆円と試算する。6日までの損失額(21・9兆円)から上積みされ、ほぼ倍増となる見通しで、政府は経済活動を部分的に容認する姿勢を打ち出した。(後略)』
(前略)緊急事態宣言の延長は、窮状を深めかねない。第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは、宣言が5月6日から1カ月間延長された場合の経済損失額を累計45兆円と試算する。6日までの損失額(21・9兆円)から上積みされ、ほぼ倍増となる見通しで、政府は経済活動を部分的に容認する姿勢を打ち出した。(後略)』
4月、5月の経済損失、より具体的に書くと「生産、需要、所得の消滅額」が45兆円。GDPの一割弱。
そこに、19年10月の消費税増税による所得消滅分、1-3月期の所得消滅分が加わるのです。今の日本は、2020年9月末までに「良くて、GDPの二割が消滅する」という状況なのです。
「日本の未来を考える勉強会」や国民民主党が提言している「100兆円の新規国債発行」であっても、「最低限の手当てができるかどうか、微妙」という有様です。
予想通り、大企業も悲鳴を上げ始めました。
『正常化へシナリオ明示を 経済界、追加対策求める声も 緊急事態宣言
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が31日まで延長されたことを受け、経済界は4日、政府の決定を支持する声明を相次ぎ発表した。ただ、緊急対応が長期化するため、経済活動の正常化に向けた道筋の明示や追加経済対策の検討を求める声が出た。(後略)』
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が31日まで延長されたことを受け、経済界は4日、政府の決定を支持する声明を相次ぎ発表した。ただ、緊急対応が長期化するため、経済活動の正常化に向けた道筋の明示や追加経済対策の検討を求める声が出た。(後略)』
わたくしは常日頃は経団連の「政治活動」を猛烈に批判し、すでに書き終わった書籍(小学館)のテーマは経団連批判ですが、それでもあえて書きます。
大企業はもちろん、中堅企業も、中小企業など企業で働く生産者も、個人事業主も、公務員も、生活保護受給者も、風俗嬢も、ネットカフェ難民も、銀座のクラブのママも、一切の選別なく、例外なく、全ての国民を救わなければなりません。そのために、総理がやるべきことは、まずは「充分な対策の規模」を決断することで、こまごまとしたことは、それこそ閣僚や官僚に任せればいいのです。
ところが、総理は「断腸の思いです」の後に、「持続化給付金」や「融資」「社会保障費猶予」「家賃負担軽減」「雇用調整助成金」など、細かい話を始めましたが、そうではない。ミクロな(しかも、大したことがない)施策をクローズアップさせることで、全体が「しょぼい」ことを誤魔かすプロパガンダは、いい加減にしてください。
結局のところ、マクロ(財政規模)の面で財務省の壁を突破できないからこそ、ミクロな事例を繰り返し、「成果をアピール」するしかないのでしょう。
総理がくだらない「木を見せ森を見せないプロパガンダ」や、「絆の力」とやらの精神論に興じている間に、国民が一人、また一人と死んでいく。この「目の前の現実」を、我々は決して忘れてはなりません。
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