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三橋TV第228回【国民を選別してはならない。全ての国民を救うんだ!】
 
 第二次安倍政権発足直後、いわゆるリフレ派の経済政策、つまりは、
「インフレ目標を設定し、量的緩和をコミットメントすれば、期待インフレ率が上がり、実質金利が下がり、消費や投資が増え、デフレ脱却する」
 という「風が吹けば桶屋が儲かる」的な政策が受け入れられたのは、単に「緊縮財政と並立可能」であったためです。

 何しろ、いわゆるリフレ派政策では「財政」が絡みません。日本銀行の金融政策「のみ」でデフレ脱却できるというロジックになっていたため、そりゃまあ、財務省的にはありがたかったでしょう。

 第二次安倍政権は「デフレ脱却」を標榜して誕生した政権であるため、デフレ対策を打たないわけにはいきません。
 
 とはいえ、財務省は正しいデフレ対策である「政府の財政拡大による需要創出」は絶対にNO!

 というわけで、いわゆるリフレ派政策の採用は、
「安倍政権はデフレ対策を推進する」
「財務省は緊縮財政を推進する」
 の、双方が成立する素晴らしきソリューションだったのです。素晴らしきとは、安倍政権と財務省にとってという話で、日本国民にとってではありません。
 
【日本のマネタリーベース(左軸)とインフレ率・長期金利(右軸)の推移】
 
 図の通り、日本銀行は2013年1月以降、MBを380兆円も拡大しましたが、インフレ率が上昇したのは、2014年4-2015年3月のみ。つまりは、消費税増税の影響だけでした。

 逆に、2019年10月以降、物価が上がっていないのが怖いのですが(事業者が「呑んだ」可能性がある)、それはともかく、数百兆円規模で日本銀行が国債を買い取り、MBを拡大してもインフレにならないことを、日本国は身をもって実証したのです。

 当たり前です。
1. MB拡大は日銀当座預金の拡大であり、日銀当座預金を借り入れ、消費・投資に回すことが可能な存在は「政府」しかない
2. 政府は緊縮財政路線を採り、自らの支出を抑制すると同時に、消費税増税で国民の所得を奪い取った
 この状況で、日本がデフレ脱却したら奇跡です。もちろん、奇跡は起きませんでしたが。

 もっとも、怪我の功名というかなんというか、安倍政権の「量的緩和+緊縮財政」というちぐはぐな政策は、いわゆる「ハイパーインフレ論者」を徹底的に、現実により否定するという効果がありました。

 何しろ、380兆円もMBを増やしたにも関わらず、インフレ率はゼロでございます。
「日銀が国債を買い取ると、ハイパー!!!!」
 といっているハイパー厨には、じゃあ、いくら日銀が国債を買い取れば、ハイパーインフレーションになるんだよ・・・・、と、数字を求めましょう。

 もちろん、政府が緊縮路線を採っている限り、消費や投資という需要が拡大することはないため、日銀が残り半分の国債を全て買い取ったとしても、インフレ率は上がりません。
 
 まあ、その前に国債を買えなくなりますが。というか、すでになっていますが、日銀は今年の2月、3月と、MBを減らしました。もはや、金融市場に買える国債はないのです。
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論】

http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※ノンフィクション作家「河添恵子」先生との対談「歴史から学ぶ中国と中国人の本質」が視聴可能となりました。

 

日銀、追加の金融緩和策を決定 国債購入の制限を撤廃
 日銀は27日、金融政策決定会合を開き、追加の金融緩和策を決めた。新型コロナウイルスの感染拡大で経済が急速に悪化するなか、長期金利の上昇を抑えるため、国債を制限なく必要な量を購入する。社債などの買い入れ枠は合計20兆円と従来の3倍近くに増やす。市場に供給する資金を増やし、財政や企業の資金繰りを支援する。
 日銀の黒田東彦総裁が午後に記者会見を開いて内容を説明する。
 今回決めた追加緩和策の柱の一つは日銀が国債を購入する規模の見直しだ。新たに「上限を設けず必要な金額の長期国債の買い入れを行う」とした。これまで日銀の保有残高の増加額を「年間80兆円をめど」としていた。この「めど」がなくなり事実上、無制限に買えるようになる。』
 
 あのね、目途があろうがなかろうが、政府が新規国債発行を渋っている以上、日銀が「無制限に買い取ります!」といったところで、MBは増やせません。何しろ、買える国債がないのです。

 もっとも、日銀が現段階で、
「市中の国債は無制限に買い取る!」
 と、宣言することは、政府に新規国債発行=財政赤字を迫るという点では、意味があるのかも知れません(逆に、その程度です)。
 
 実は、日銀には一つだけ、決定的に有効な「恐慌対策としての金融政策」が残されているのです。それは、地方債の買取です。

 日銀が地方債を買い取れば、「財政破綻のある地方自治体」の財政的な予算制約が取り払われます。無論、「全ての国民を救うんだ!」と同じく、「全ての地方を救うんだ!」方式しかありませんので、
「各自治体が発行した地方債の20%を一律買い取る」
 といったやり方で構わないと思います。「現場」と接している地方自治体は、予算制約さえなくなれば、有効な「国民を救う政策」が採れるのです。

 というわけで、日銀は地方債購入を決断するべきです。
 
 何しろ、FRBはすでに人口25万人以上の市、50万人以上の郡の地方債を購入していっています(しかも、購入範囲を拡大中)。

 さあ、何かといえば、
「アメリカでは~」
 と言い出す「ではの守」たちよ。大声で叫ぶのです。
「アメリカでは中央銀行が地方債を買っているぞ! 日銀も地方債購入を決断せよ!」
 と。
 

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