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令和の政策ピボット呼びかけ人に、高橋あさみ様(私立Z学園高等学校 1年4組 16歳)が加わって下さいました。

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三橋TV第223回【安倍政権の「詐欺対策」 生き延びるために何をするべきか?】
 
 昨日は、三橋TV特別企画(しかも、オンラインで)として、自民党の安藤裕衆議院議員、国民民主党の玉木雄一郎代表との鼎談収録だったのですが、玉木代表(元・財務官僚)が、
一度、閣議決定された補正予算が、途中で組み換えが検討されるなど、考えられないことが起きている(※良い意味で)」
 と、仰っていたのが、大変、印象的でした。

 以前には考えられないことが起きつつあります。
 
首相、令和2年度補正予算案の組み換え指示 国民1人10万円給付へ 新型コロナ
 安倍晋三首相は16日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急経済対策として、国民1人当たり10万円の現金を一律給付するため、令和2年度補正予算案を組み替えるよう麻生太郎財務相らに指示した。補正予算案に盛り込まれた減収世帯などへの30万円の給付はとりやめる。閣議決定した予算案を組み替えるのは極めて異例。10万円の給付に必要な財源は赤字国債の追加発行で対応する。(後略)』
 
 すでに閣議決定された補正予算(どうせ「第一次」)では、一世帯当たり30万円給付の予算が約6兆円しか組み込まれていませんでした。
 国民一人当たり10万円を給付すると、予算は12兆円。つまりは、現在の補正予算「財政赤字=新規国債発行16.8兆円」では、6兆円不足になります。

 単なる組み換えで、6兆円の予算を確保することは不可能であるため、産経の記事にあるように「新規国債追加発行」が絶対に必要になります。
 
 一度、閣議決定された予算が組み替えられるのはもちろん、途中で新規国債発行が加わるなど、まさに前代未聞です。考えられないことが起きつつあります。
 
  もちろん、本来であれば低所得者層向けの30万円給付はそのままで、「追加」で国民一人当たり10万円の現金給付をするべきです。つまり、新規国債発行12兆円ですね。何しろ、何の問題もありませんから。
 
 国債発行について「赤字国債(正確には特例国債)」ではなく、新規国債発行と呼んでいるのは、赤字国債の場合は「十年償還」というくだらないルールがあるためです。有害極まりないPB黒字化目標もあるため、
「今回、赤字国債を発行するが、十年で償還するためのコロナ増税」
 という議論が「確実」に出てきます。
 
 鼎談では、玉木代表が「100年債で」と語っていらっしゃいましたが、わたくしは永久国債で良いと思います。繰り返しますが、何の問題もありません。金利が上がるのが問題(これだけ資金需要が消滅している状況では有り得ませんが)というならば、日銀が買えば済む話です。
 
 いずれにせよ、新規国債を何十兆円発行したところで「何の問題もない」という実績を作るのが重要です。その上で、今後も跋扈し続ける財政破綻論者を実績で叩き潰す。さもなければ、我が国に繁栄の未来はありません。

 恐らく、2020年上半期の「前と後」とでは、違う日本になるのでしょう。97年の「前と後」の日本が、全く異なる国家であったごとく。
 というか、「違う日本」にしなければなりません。
 
 改めて、財務省(及び緊縮財政派)の勝利条件を書いておきます。
1.プライマリーバランス黒字化目標を堅持し、経済対策は予備費と貸付等に限る(財務省の完全勝利)
2.国債を発行し、単発、少額、短期の経済対策を認める。具体的には一回限り、使途、配布範囲限定の給付金
3.国債を発行し、大規模な経済対策を認める。具体的には、休業補償、粗利補償、大規模給付金
4.国債を発行し、継続的、大規模、長期の経済対策を認める。具体的には、もちろん消費税廃止。(敗北)
5.PB黒字化を含む財政均衡化路線を完全放棄し、長期計画に対する予算コミットメントを認める(完全敗北)
 
 現在はどうでしょうか。PB黒字化目標はまだ残っていますが、3の「大規模給付金」には手がかかり、本格的な休業補償や粗利補償には手が届いていない。2と3の間位までには到達した感じですかね。

 当たり前ですが、国民一人当たり10万円の現金給付を一度やったところで、「自殺する国民を減らせる」という効果にとどまります(無論、それでも断固としてやるべきですが)。

 次なる焦点は、やはり「休業補償」というか、粗利補償。国民民主党の言葉を借りれば、減収補償です。

 例えば、政府の自粛要請で、街中の飲食店が苦境に陥ったとします(陥っています)。とはいえ、実際には「目の前」の飲食店のみが苦しんでいるわけではないのです。
 
 飲食店に食品を卸している事業者、さらには卸売業が買い付ける食品を生産している事業者。サプライチェーンは繋がっているため、目の前の飲食店の向こう側には、膨大な「同じく苦境に陥った生産者」がいるのですよ。
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論】

http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※ノンフィクション作家「河添恵子」先生との対談「歴史から学ぶ中国と中国人の本質」が視聴可能となりました。

 

 全く同じ主旨のことを、「前の恐慌期」の高橋是清が語っていますので、ご紹介致しましょう。
 
『更に一層砕けて言うならば、仮にある人が待合へ行って、芸者を招んだり、贅沢な料理を食べたりして二千円を費消したとする。これは風紀道徳の上から云えば、そうした使い方をして貰いたくは無いけれども、仮に使ったとして、この使われた金はどういう風に散らばって行くかというのに、料理代となった部分は料理人等の給料の一部分となり、また料理に使われた魚類、肉類、野菜類、調味品等の代価及びそれらの運搬費並びに商人の稼ぎ料として支払われる。この分は、即ちそれだけ、農業者、漁業者その他の生産業者の懐を潤すものである。而してこれらの代金を受け取りたる農業者や、漁業者、商人等は、それを以て各自の衣食住その他の費用に充てる。それから芸者代として支払われた金は、その一部は芸者の手に渡って、食料、納税、衣服、化粧品、その他の代償として支出せられる。(高橋是清:著「随想録」(中公クラシックス))』
 
 国民経済は繋がっている。同じ国民が貧困化すると、「わたくしが生産している財・サービス」も売れなくなり、わたくしの所得が減る。つまりは、わたくしが貧困化する。

 高橋是清がわざわざ語っているくらいですから、今も昔も上記の、
「国民経済は繋がっている」
「誰かの支出は、誰かの所得」
 という事実を理解しない愚か者の日本人が大勢いて、まともな政策を推進することを妨げていたのでしょう。

 まだ実現したわけではありませんが、一応、安倍政権は「国民を分け隔てしない現金給付」の方向に動いています。となると、次なる焦点は粗利補償、減収補償です。

 このまま放置しておくと、サプライチェーンの各所で事業者が潰れ、我が国の虎の子の「供給能力」が破壊されていきます。となると、コロナ禍が過ぎ去ったとして、「経済のV字回復!」などといったところで、全く不可能ということになるのです。何しろ、供給能力が失われてしまっています。

 というわけで、我が国の経済を存続させ、成長を実現するためにも、現時点の「供給能力」を断固として維持する必要があります。そのためには、粗利補償、減収補償が必須なのです。

 ところで、現金給付を求める国民の声に「クレクレ乞食」などと揶揄していた人を、
「政府が現金給付を決めたようだけど、当然「クレクレ乞食にカネをやるな!」と、政府批判に転じるんだよね(笑)」
 などと煽ってはいけませんよ。

 彼らは単に頭が悪いだけで、「同じ国民」であることに変わりはないのです。
 

「政府は現金給付に続き「粗利補償」を決断せよ!」に、ご賛同下さる方は、

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