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令和の政策ピボット呼びかけ人に、高橋あさみ様(私立Z学園高等学校 1年4組 16歳)が加わって下さいました。

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三橋TV第204回【なぜ安倍政権の国家破壊は止まらないのか!?】
 
 昨日、自民党の経済成長戦略本部で安藤裕衆議院議員が、
「企業の資金繰りは危機的状況。まずは資金繰り支援。貸付ではなく失われた粗利の補償を。PB黒字化目標は凍結して消費税減税をするべき。」
https://twitter.com/andouhiroshi/status/1234663205726670848
 と、貸付ではなく「粗利補償」が必要であると発言されましたが、出てきたのは予想通り「貸付」でした。
 
自民「20年度補正検討を」 感染拡大受け提言
 自民党は3日午前、経済成長戦略本部(本部長・岸田文雄政調会長)などの合同会議を開き、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた経済分野に関する政府への提言をまとめた。全国の学校の休校や大規模イベントの自粛による影響拡大を踏まえ、2020年度補正予算の検討を求めた。政府系金融機関による新たな融資制度や雇用調整助成金の拡充を盛り込んだ。(後略)』
 
 政府の失策あるいは政策により、理不尽に巨額のビジネスを失った企業への対策が「カネ借りろ」というわけでございますね。スゲー、国。

 また、仕事を休まざるを得なくなった両親世代に対する補償は、
「企業が給与を全額支払い、その一部(最大8330円)を政府が補償する」
 という、またまた理不尽に国民に負担を押し付ける対策で、こちらも予想通り。さらには、フリーランス、個人事業主、自営業者はもちろん対象外(従業員ではないため)。(※総理はフリーランス等も休業補償する支援策を講じると国会では答弁していますが、具体的にどうするのでしょうか? 謎です)
 
保護者休業の助成金、1日8330円上限 自営は対象外
 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための臨時休校が2日から全国で始まったのに伴い、厚生労働省は、仕事を休んだ従業員に給料を全額支払った企業を対象に、1人当たり日額上限8330円の助成金を出す新たな制度の概要を発表した。正規雇用、非正規雇用を問わず助成する一方、フリーランスのスタイリストやカメラマンなどの個人事業主や、自営業者の保護者は対象外となる。(後略)』
 
 しかも、「財源」は雇用保険(元々、我々(企業)が払ったおカネ)と、予備費。例により、国債発行の「こ」の字も出てこない。
 
 緊縮財政至上主義の店じまい国家では、ある意味で当然ですが。
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論】

http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※「歴史に魅せられて、myと辿る邪馬台国への道(前編)」が視聴可能となりました。

 

 三橋TV第204回で浜崎洋介先生が解説して下さいましたが、我が国は1990年代の政治改革、行政改革により、「民主制」のプロセスが働きにくい政治体制に構造を改革されてしまいました。
 
 小選挙区制と政党助成金制度は、「公認権」と「政治資金」を握る党中央の権力を高め、特に自民党では各地の国会議員が党中央に「モノ申せない」構造に至っています。厳密には、一応、平場の議論の場は残っているのですが、完全にガス抜き。党中央の決定が覆ることはありません。

 下手に党中央(要は総裁)の決定に歯向かうと、公認をもらえない。あるいは、刺客を送られる。自民党の公認なしでは、小選挙区では勝てないという現実。

 かつては「党内野党」として、政権の暴走を止める役割を担った派閥は形骸化(派閥リーダーの権力が無くなったため)。さらには、「専門家議員」たちは族議員とレッテルを貼られ、消えていきました。

 もはや、自民党に「政党政治」はないのです。

 そして、行政改革、特に2014年に発足した「内閣人事局」により、官僚が人事権を握られ、政権(あるいは官邸)に一切逆らわない。それどころか、総理や官邸のために行政文書の改竄(絶対にやってはいけないこと)に手を染める有様。桜を見る会の名簿も、順番待ちしてシュレッダーにかけちゃうよ!

 結果的に、総理大臣の権力が最大化したものの、もちろん総理にダレイオス一世やクビライ・カーン水準の行政能力や構想能力などありはしない。結果、総理を囲む一部の官僚(今井尚哉首相補佐官など)や諮問機関(規制改革推進会議、未来投資会議、国家戦略特区諮問会議、経済財政諮問会議など)に入り込んだ民間議員と称する民間人の「提言」が政策化されてしまう。

 官僚の人事権を握っているのだから、せめて「財務省」という日本亡国推進組織だけでもコントロールして欲しいものですが、「政治力」を計算した総理は逆らわない。無論、本気になれば戦えないことはないのですが、
「そこまでやって、財務省を敵に回すのもなあ~。スキャンダル頻発することになるし、いいことないし、めんどくせ」
 と、財務省の緊縮は「前提」として認める。財務省を敵に回さないこともまた、「長期政権」を実現する秘訣の一つですよ。
 
 結果的に、我が国では、財務省の省是である緊縮財政至上主義の下で、総理大臣を囲む連中の、
「ピコーンッ! ひらめいた!」
 や、
「オレのカネを増やすために、規制変えろ! 国境を開け!」
 が、何の議論も根回しもないまま「政策」として進んでしまう。「総理提言」として閣議決定され、国会で法律化される。

 まあ、今回の場合は今井補佐官の「ピコーンッ!」が「総理発言」として既成事実化され、周りの官僚や政治家が実務を押し付けられて大騒ぎ、というパターンでしたが。

 ちなみに、安倍総理について「独裁者アベ!」とか批判するのは、的外れだと思います。独裁者であれば、真っ当かどうかはともかく、何らかの政策目標があるわけです。

 総理には、政策目標はありません。「戦後レジームの脱却」も「憲法改正」も、いわゆる保守系の勢力を引き付けるポジショントークに過ぎないのです。何しろ、伊藤哲夫氏の寄稿「程度」で、
「加憲! これだあ~っ!」
 と、本質(憲法九条第二項)を無視した憲法改正に飛びつく始末でございます。

 まさに、空虚な器。

 もっとも、政治家が国民の鏡だとすると、総理の空虚な器は、大東亜戦争敗北後に「安全保障」「ナショナリズム」といった「当たり前のこと」を忘れ去ってきた日本国民のレベルそのものと言えます。我々も、空っぽになってしまった器なのです。

 さて、どうしましょうか。
 
 「どうするのか?」を考える上でも、明日はさらに安倍総理「個人」に踏み込んで考えてみたいと思います。
 
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