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三橋TV第187回【衝撃のゼロ!現実を認めない与党政治家たち
 
 企業の「内部留保」が巨額化していることが問題視されていますが、この種の議論をやる際には会計的な定義を明確化するべきでしょう。
 というわけで、わたくしは「内部留保」を語ったことがありません(設備投資や証券投資などに使われているから)。わたくしが問題視するのは、企業の「現預金」です。
 
【日本の非金融法人企業の現預金(億円)】
 
 日本の一般企業(非金融法人企業)の現預金額は、昨年9月時点で285兆円。額自体の大小ではなく、
「第二次安倍政権発足以降、激増した」
 という点が問題なのです。2012年末と比較すると、一般企業は実に81兆4千億円も現預金を増やしています。

 つまりは、人件費に回していない。
 
 企業経営や会計をやっている人ならばわかると思いますが、給与とは、
「企業が財・サービスを生産することで創出された所得の分配」
 です。給与を払う時点で、GDPが増えるわけではありません(公務員は除く)。

 また、企業が設備投資を拡大した場合、支払いの結果、現預金は統計上、同じ経済主体である「別の企業」に移ることになります。
 
 何を言いたいのかといえば、上記の「現預金の増加」は、単純に「企業⇒家計」という貨幣の分配が少なかったことを意味しているという話です。
 
 12年末からの非金融法人企業の現預金の増加分が、全て人件費に回ったと想定すると、だいたい労働者一人当たり116万円ほど預金が増えた計算になります。
 
 ちなみに、わたくしは「労働者 対 企業」といった対立構造で状況を捉えているわけではありません。別に、
「労働者への給与を減らし、カネを貯めこむ企業はけしからん」
 とも思っていません。「内部留保課税」といった、私有財産権の侵害に対しても、断固反対します。
 
 何しろ、企業の現預金が増えたのは、単純に「日本政府の政策の結果」なのです。責められるべきは、企業ではなく政府です。

 なぜ、企業の現預金がここまで膨らんでしまったのか。もちろん、円安による輸出企業の利益拡大などもあるのでしょうが、主たる理由は、
「利益に対する罰金が減った」
 ためです。つまりは、法人税減税です。
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論】

http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※2月15日まで竹村公太郎先生の「日本文明の誕生-神話から歴史へ-」をご視聴頂けます。。

 

 昨年末、プレジデントオンラインが内部留保問題を取り上げました。

 記事は見出しとは違い、「内部留保課税するべき!」と主張しているわけではありません。非常に真っ当な内部留保問題に対する論評になっています。
 
内部留保膨らむ理由は「人件費減と法人税減税」 内部留保へも課税するのは妥当だ
(前略)理由は2つあります。1つは、90年代末から始まった正規雇用の削減と非正規雇用の拡大による人件費の削減です。従業員1人当たり給付は01年度の764万円をピークに減り続け、09年度には668万円まで低下し、その後も700万円を上回ることはありません。仮に01年度の764万円が毎年度同じ額で維持され続けたと仮定し、従業員数に乗じた額と、実際の給付額との差を加算すると、17年間の人件費の差額は77.4兆円に上ります。
もう1つの理由は法人税の減税です。住民税、事業税を加えた法人3税の実効税率(東京)は97年まで49.98%(法人税のみでは37.5%)でしたが、段階的に引き下げられ、15年には33.06%(同23.9%)にまで低下しています。仮に49.98%の実効税率が17年まで続いたとすると、17年間で38.6兆円が削減されたことになります。(後略)』
 
 記事によりますと、従業員一人当たりの給付が、01年と比較し、100万円近くも下がってしまった。さらには、法人税の実効税率が49.98%から、33%にまで下がった。

 わたくしは、法人税の引き下げと、人件費削減はリンクした話だと確信しています。
 
 つまりは、法人税を引き下げるからこそ、人件費が抑制される
 

 法人税という「利益に対する罰金」が多ければ、その分、企業に費用を拡大するインセンティブが働くため、人件費や設備投資が増える。


 記事によると、内部留保(現預金ではなく)の内、金融投資と自社株購入が激増。反対側で、設備投資が10%近い減少。
 
 法人税減税で人件費や設備投資が減り、しかも消費税増税で消費を抑制し、デフレ脱却できるはずがないのです。
 
 というわけで、日本に必要なのは、
「消費税廃止+法人税増税」
 なのです。 一企業経営者としては嫌ですが、マクロには他の選択肢はあり得ません。国民経済がデフレから脱却し、成長しないと、最終的には経営者も「自分が損をする」状況に必ずなるのです。
 
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