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今期は二回目の試みとして、全国各地で開催します。一月は東京で、ゲスト講師は竹村公太郎先生。二月は京都で、ゲスト講師は藤井聡先生です。
 
『三橋貴明&安藤裕_年末特別対談『三橋貴明VS安藤裕「日本経済この一年」(前半)』三橋貴明 AJER2019.12.31
https://youtu.be/mZjktVVjmr8
『三橋貴明&安藤裕_年末特別対談『三橋貴明VS安藤裕「日本経済この一年」(後半)』三橋貴明 AJER2019.12.31
https://youtu.be/a2eJwLhtxkE
 
 本日はチャンネル桜「日本よ、今...「闘論!倒論!討論!」」に出演します。
 
 わたくしは「いわゆる言論人」として世に出て以降、緊縮財政関連を初めとする「経済の嘘」と戦ってきたわけですが、その際に重視したのは「レトリック」です。

 何しろ、先方は「国の借金」が代表株ですが、レトリックの使いかたが巧みです。というわけで、わたくしは、
「国の借金ではなく、政府の負債」
 と、言葉を正すと同時に、こちらも様々な新たなレトリックを編み出し、対抗するべく努力してきました。

 昨年、ヒットした新レトリックは、「おカネのプール論」ですね。商品貨幣論というか「金貨銀貨の頭の連中」は、仮想的な貨幣のプールがあると思っているわけです。

 貨幣のプールが造れる、おカネの量に限界があるならば、
「政府が財政赤字を拡大し、国債発行残高を増やせば、プールに残ったお金の量が減り、金利が上がる」
 という、いわゆるクラウディングアウト論げ成立します。が、実際にはおカネは「債務債権の記録」という貸借関係であるため、おカネのプールは作れません。「関係」のプールって、なにそれ?でございます。

 昨年夏にステファニー・ケルトン教授が来日し、わたくしと対談した際に、クラウディングアウト否定に際して、
「日本円のプールはありません」
 と表現されたので吃驚したのですが、まあ、誰でも辿り着きますよね。主流派経済学者たちのクラウディングアウト論が、貨幣のプール前提になっているバカバカしい現実に。

 主流派経済学者たちの頭の中に「おカネのプール」がある以上、金融業界や経済誌など、様々な分野に間違った貨幣観が広まり、
「財政赤字拡大が長期金利上昇をもたらす」
 と、日本の「データ」が全否定してしまった理論を未だに信じている連中が少なくないのです。
 
 
『超低利回りを前提にするならリスク、財政支出拡大に潮目変わる可能性
 これからの10年間は債券投資家にとって厳しい時代の幕開けかもしれない。国債の歴史的な強気相場を維持してきた条件がはがれ落ちるためだ。
 世界的な危機以降、各国・地域の中央銀行による前例のない措置が景気刺激で中心的役割を果たし、世界中で利回りの伸びを抑制してきた。しかし、今では財政拡大へのシフトが強まりつつあると見られ、金利を押し上げる可能性がある。緊縮財政は欧州で後退し、アジアで歳出策が導入されつつある。米政府借り入れは向こう数年間について過去最高を更新する方向だ。
 経済協力開発機構(OECD)は2018年に国内総生産(GDP)比で2.9%だった世界の財政赤字が各国・地域の政府支出を背景に20年は3.3%に拡大すると推計している。
 投資家にとって面倒なのは、政府支出が利回り押し上げにつながる臨界点にいつ達するかを見極めることだ。各国・地域の中銀は大規模な刺激策を継続しており、今はまだ初期的な段階だ。
 ルーミス・セイレスのポートフォリオマネジャー、エレーン・ストークス氏は「これが次の10年の展開だ。世界的に財政支出が芽生えているが、政策協調の段階には至っていない」と指摘。「今後5-10年はそれが市場の要素になり、そこが市場の向かう場所だ。われわれは金利低下の状況から金利上昇の状況に考えを切り替える必要がある」とした。(後略)』
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※2月15日まで、竹村公太郎先生の「日本文明の誕生~神話から歴史へ~」がご視聴頂けます。
 
 日本の財政赤字を「最大」で見るため、一般政府(中央政府+地方政府)の資金「不足」(=財政赤字)と長期金利をグラフ化しました。
 
【日本の一般政府の資金不足(=財政赤字)(左軸)と長期金利(右軸)の推移】
http://mtdata.jp/data_67.html#zaiseiakajikinri
 
 図は、Y軸が「政府の財政赤字額」になります。つまり、上に行けば行くほど、赤字が多い。

 安藤先生との対談でも話題になっていましたが、恐ろしいことに、日本政府は本当に「プライマリーバランス黒字化」を達成しそうな勢いです。凄まじいペースで財政赤字を削っていっているのです。

 その分、国民の黒字が減っているのが、第二次安倍政権発足以降の日本です。

 逆に、2009年はリーマンショック後の景気対策の影響で、財政赤字が50兆円近くに膨張していました。

 さて、上図を見て、それでも、
「財政赤字を拡大すると、金利上昇!」
 と、言ってのける人がいるならば、目玉を取り換える必要があります。

 無論、ユーロ加盟国などの「非・主権通貨国」は別ですが、日米英のような主権通貨国では、「財政赤字拡大=国債金利上昇」にはなりえません。というか、金利が上がるのが嫌ならば、中央銀行が国債を買えば話はオシマイ。

「そんなことをしたら、はいぱ~」

 もう、いいよね。過去7年間で380兆円のマネタリーベースを拡大し、日銀が国債を買いまくった我が国は、はいぱー何とかになったのかな? ハイパーどころか、インフレにならずに困っているよね。

 なぜ、日本のインフレ率が上がらないのかといえば、もちろん「財政赤字が足りない」ためです。そして、日本の「実績」が証明した通り、「財政赤字拡大=国債金利上昇」にはなりません。

 政府が財政拡大を続け、インフレ率が健全な水準に上昇すると、やがて金利は上がるでしょう。とはいえ、国債金利が上がるのが問題だというなれば、日銀が国債を買い取れが話はオシマイ(しつこい?)
 
 ちなみに、
「日銀が国債を買うと、はいぱ~」
 な人は、おカネのプール論のみならず「おカネは一種類論」という、似たような病に冒されています。日銀が国債を買う貨幣は「日銀当座預金」。インフレ率に影響する貨幣は「銀行預金」。日銀がどれだけ国債を買っても、銀行預金は一円も増えません。政府が財政支出を拡大すれば、銀行預金は増えますが。
 
 我々は、日銀当座預金を使えないのですよ。日銀当座預金を銀行預金化できるのは、政府(の財政出動)のみです。

 そして、政府の財政拡大で需要が十分になれば、企業がようやく投資を拡大し、供給能力が上がり始める。結果、日本経済は供給能力と総需要が追いかけっこをする「経済成長」を取り戻すことができます。

 おカネのプールはない。この意味を正しく理解すると、現在の日本に必要なのは「財政赤字拡大」であることが誰にでも分かるはずなのです。日本政府に必要なのはPB黒字化目標ではない。PB赤字「額」目標なのです。
 
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