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12月21日(土)シンポジウム「令和の政策ピボットは実現可能なのか?」が開催されます。
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三橋TV第173回【ケン・ローチ監督最新作から見える搾取ビジネスの恐怖】
 
 昨日は三橋経済塾第八期最終回の講義開催日でした。ご参加された皆様、お疲れ様でございました。
 また、三橋経済塾第九期の入塾申し込み受付を開始しました。

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 第一回のゲスト講師は、竹村公太郎先生です。台風19号による荒川や利根川の「危機」が、いかに深刻だったか。河川の専門家のお話を伺います。

 
 スコットランドのエジンバラの岩山(キャッスルロック)の上に築かれた見事な城(エジンバラ城)は、イングランド王国の侵略軍に備えたものでした。

 とはいえ、そのイングランド地方にしても、ローマ人、アングロ・サクソン人、デーン人、そしてノルマン人と、繰り返し侵略された歴史を持ちます。というか、そもそも「イングランド」とは「アングル人の国」という意味ですが。

 グレートブリテン島は、大陸との距離が34km。200kmもある対馬海峡と比べると、狭いです。
 加えて、ノルウェーからデンマークにかけ、ノース人やデーン人といった「海洋民族(いわゆるバイキング)」が活躍(?)しており、イングランドは一時は北海帝国(デンマーク)の支配下に入ります。

 繰り返し、敵軍に侵略される以上、イギリスのみならずユーラシアの国々が「軍隊型」の階級社会になったのは当然なのかも知れません。敵軍が侵攻してきた際に「話し合い」などと悠長なことをしていたら、全滅します。社会全体が、命令系統が明確な構造になっていなければならないわけです。

 さて、日本の場合は、敵軍ではなく「自然災害」という脅威と戦い続けなければなりませんでした。自然災害は、誰にでも公平に襲い掛かります。金持ちにも、貧困層にも、優れた者にも、愚かな者にも、自然災害の神様は実に公平です。

 災害から助かるか否か。もちろん、事前の備えが有効なのは言うまでもありませんが、最終的には「運」で決まります。

 そして、運良く助かった者たちも、互いにリソースを分かち合い、復旧を目指さなければ生き延びられません。つまりは、我が国は国土が「平等」を国民に強いるのです(良くも悪しくも)。
 
 国内の所得格差や貧困層の拡大を放置したら? 次なる災害時に、修羅場になります。貧困層は間違いなく、金持ち層を襲撃し、日ごろのルサンチマンを晴らそうとするでしょう。

 となると、金持ち層は「自衛」せざるを得なくなり、社会は次第に「ヒャッハーッ!」、北斗の拳の世界に近づきます。

 というわけで、現在の我々は愚かなことに、グローバリズムという「考え方」に支配され、「ヒャッハーッ!」の方向に動いています。
 
『反緊縮や貧困対策で主張強める自民若手 なぜ今なのか
 緊縮財政や構造改革、グローバル化を推し進めた結果、格差が拡大し、国力が低下した。現状を厳しく認識し、政策転換をはかる必要がある――。一見、政権を批判する野党の主張にもみえるが、そうした「提言」を掲げているのは、政権与党である自民党の若手議員たちだ。すでに30回を超える勉強会を開き、10月には貧困をテーマに取り組んだ。なぜ今、自民党の若手からこんな声が上がっているのか。(中略)
「このままでは国が壊れる」
 この勉強会とは別に、9月末には、共産党と連携する全国労働組合総連合(全労連)の集会に自民党の議員が参加。最低賃金の全国一律化へ向け「共闘」の姿勢を見せた。
 自民党内で最近、貧困や格差に対する問題意識が高まっているようにも見える。なぜなのか。
 こうした動きの背景について「このままでは国が壊れてしまうという危機感がある」と、若手議員の勉強会の呼びかけ人代表の安藤裕衆院議員は言う。「緊縮財政も規制緩和も、グローバル化も進めた結果、日本社会がよくなったかと言えば、そうではない。貧富の差が開き、若い人を中心に所得は減った。小さな政府論で公務員の数を減らして非正規の公務員が増え、『官製ワーキングプア』が生まれた。いま、地方は本当に貧しい。地方で暮らせないから東京に出てきて、ぎりぎりで暮らしている人も多い。どこも本当に悲惨だ」
 ただ、こうした現状は政権を担ってきた自民党が推し進めた政策の結果でもある。そんな問いに対し、安藤氏は「確かに(一連の施策は)間違っていた。自民党が一番批判を受けるべきだ」としつつ、「野党も小さな政府や無駄の削減と、同じことを言ってきた。マスコミもそうだ」という。
 今求められる施策に、国が地方自治体にお金を出して公務員を非正規でなく正規で雇って給料を上げること、大学教育の無償化や生活保護水準を上げることなどを挙げ、緊縮財政を改めて積極財政へ転換すべきだと強調した。消費増税には否定的で、法人増税には賛成だとも話す。(後略)』
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※2月15日まで、竹村公太郎先生の「日本文明の誕生~神話から歴史へ~」がご視聴頂けます。
 
 なぜ今なのかって、そりゃ、貧困問題が悲惨になってきてために決まっています。というか、朝日新聞こそ、いつも「弱者、弱者」といっているわけなので、
「国民の貧困を解消するために、緊縮財政を転換せよ。消費税は廃止せよ」
 と、キャンペーンの旗振り役を務めなければならないと思いますよ。

 それはともかく、グローバリズムにとって、国民の貧困化は「素晴らしい!」という話になります。
「国際競争力が上がるじゃないか!」
 国際競争力ではなく、ただの価格競争力だろ。というか、生産者の給料を下げて競争力をつけるなど、資本主義としては邪道。資本主義は、あくまで投資による生産性向上で価格を引き下げるモデルです。

 もっとも、国民が貧困化すると、先日来、話題にしている「搾取・無責任型ビジネス」が容易になります。何しろ、
「全て自分の責任になるのは確かだが、一生懸命働けば、大いに稼げるぞ! やってみないか?」
 と、貧困層を煽り、リスクを負わずに「個人事業主を雇い」(あえて、こう書く)、必要なときだけ給料を払うという、利益追求としては実に理想的なビジネスモデルを拡大できるのです。

 でもね、ちょっと考えてみてほしいんだけど、運送業で働く生産者は、災害の際には「安全保障」の一翼を担いますよね。実際、東日本大震災の際には、全国の運送業者たちが救援物資を被災地に運んだのです。ガソリン代にもならない、わずかな報酬で。

 全国のトラック野郎たちがほぼ無給にも関わらず、被災地に向けて徹夜で車を走らせたのは、なぜなのでしょう。同じ国民が苦しんでいるため、それ以外に理由はないのです。

 その手の尊敬すべきドライバーを抱える運送業者が、搾取・無責任型のシェアエコ、ギグエコ(ギグエコノミー)との競争に負け、退場していく

 やがて、我が国の運送業はギグエコだらけになり、大震災発生。さあ、ギグエコの個人事業主たちは、果たして「同じ国民」のために荷を運んでくれるでしょうか。

 日本という国家について正しく知れば、搾取・無責任型のシェアエコ、ギグエコは認めてはいけない。貧困問題について、右も左も巻き込んで議論し、正しい政策を推進しなければならないことが、誰にでもわかるはずなのです。

 それにも関わらず、企業というよりは「自己利益最大化を目指す特定の誰か」のための政策を推進する政治家は、間違いなく「日本人殺し」なのでございますよ、安倍総理。
 
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