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12月21日(土)シンポジウム「令和の政策ピボットは実現可能なのか?」が開催されます。
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 消費税増税の目的は、
「社会保障の安定化」 
 でも、
「財政破綻の回避」
 でもありません。というよりも、日本が財政破綻する可能性が皆無であることは、財務官僚のほうがよく知っています

 消費税は、単に「緊縮財政だから」増税されるのです。目的は社会保障の安定化や財政破綻云々でも「増収」ですらなく、緊縮財政なのです。

 財務省は、2025年にプライマリーバランスを黒字化する緊縮財政の目標を掲げており、「その達成に貢献すれば、出世する」というだけの話にすぎません。
 
 つまりは、10月1日に消費税率が10%へ引き上げられても、別に緊縮財政は終わらない。具体的には「再増税」「社会保障支出の削減」「社会保障負担の引き上げ」の三つが来るよ、と、警鐘を鳴らしていたわけでございます。

 ナイーブな日本国民の多くは、
「消費税が増税されたのだから、社会保障は安定化するだろう」
 などと考えていたのかもしれませんが、そもそも目的は社会保障安定化ではないのです。
 
 10月1日以降、予想通り「恐怖する」ほどの勢いで再増税、社会保障支出削減、社会保障負担引き上げ(これは、要するに増税ですが)の「世論醸成」が進んでいます。
 
10月1日 経済同友会、桜田謙悟代表幹事「消費税率の引き上げについて財政規律の観点から「2025年には14%以上が望ましい」
10月28日 経済財政諮問会議で、安倍総理が「持続可能な地域医療体制を構築するため」とのお題目で、病院の統廃合(=削減)や「過剰な」ベッド数の削減などを進めるよう関係閣僚に指示
11月1日 財政制度等審議会が「医療費の自己負担増や診療報酬の引き下げ」を提言
11月13日 経団連。安定財源の確保のため「10%超への引き上げも有力な選択肢」と指摘
11月25日 IMF(国際通貨基金)「日本は2030年までに消費税率を15%に上げる必要がある」とのレポート公表
同日 財政制度等審議会、麻生財務大臣に「消費税率10%%への引き上げは、財政と社会保障の持続可能性の確保に向けた一里塚にすぎない」との提言提出
11月28日 「全世代型社会保障制度の実現に向けた政府の検討会議」が、75歳以上向け後期高齢者医療制度について、現在の原則一割の窓口負担を、二割に引き上げる方向で検討に入る
 
 特に、後期高齢者の窓口負担二割引き上げは「大きい」のです。
 
 厚生労働省は、75歳以上の受診時の窓口負担を「原則一割」から「原則二割」に引き上げた場合、公費や保険料でまかなう医療給付費が年額で約8千億円減らせるとの試算を公表しています。

 8000億円の「再増税」でございます。しかも、多くは所得を稼いでいない高齢者層において。

 さすがに、国民の負担と反発が大きいと思うので、↑この実現は早期には難しいのではないかと思っていたのですが、甘かったです。
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※11月5日から上島嘉郎先生と三橋貴明の対談「自虐史観はなぜ始まり、深刻化したのか」がご視聴頂けます。
 
『75歳以上22年に2割負担へ 医療費、政府方針
 政府は2日、医療制度改革で焦点となっている75歳以上の後期高齢者の医療費窓口負担に関し、2022年に現在の原則1割から2割に引き上げる方針を固めた。生活に影響する恐れがあり低所得者に配慮する仕組みを検討する。外来時の窓口負担の上乗せについては、現在紹介状なしで大病院を受診した患者に追加負担を求める制度を拡大する方向。政府は全世代型社会保障検討会議が今月中旬にまとめる中間報告に制度改革を明記したい考えだ。
 自民、公明両党と調整するが、難航も予想される。政府は社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)で議論を進め、来年秋の臨時国会への関連法案提出を目指す。』
 
 明らかに無意味というよりは「有害」な自己負担「倍増」ですが、普通にあっさり決まりそうです。

 無論、国民の(というか高齢者の)反発は高まるでしょうが、それを抑制するために、今後、
「後期高齢者 対 他の国民」
 という争いに持ち込むべく、ルサンチマン・プロパガンダが展開されることになるでしょう。

 そもそも、安倍政権の「全世代型社会保障改革」というスローガンの時点で、ルサンチマンを煽る気満々です。後期高齢者の反発を受け、
「高齢者の医療費を、現役世代が負担させられている! 許せるのか!」
「膨れ上がる高齢者の医療費のせいで、財政が破綻し、全世代が迷惑する」
「病院のロビーに行くと、高齢者のサロンのようになっている。医者にかかる必要がない高齢者が暇を持て余して病院に行っている」
 といった、30年前から使われている陳腐なレトリックがマスコミをにぎわすことになるでしょう。
 
 この種のルサンチマン・プロパガンダに騙されないでください。

 そもそも、我が国の財政には問題はないのです。社会保障支出が増えたならば、普通に国債を発行すればいいだけ。
 
 むしろ、現在の緊縮財政は医療の供給能力を破壊し、将来的に「真の社会保障の危機」をもたらす

 この手の「事実」を、国民が共有できるか否か。
 
 緊縮財政は「国民を殺している」という真実の拡散に、ご協力ください。
 
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