一般参加可能な講演会のお知らせ。
年末特別講演会「京都大学大学院教授、元安倍内閣・内閣官房参与 藤井聡様」
2019年12月4日(水) 18:45~ 東京都新宿区
【MMT (現代貨幣理論)を学び、日本経済を展望する】
最近、与党サイドというか自民党方面から「10兆円補正予算」「氷河期世代の公務員採用」など、財政拡大「的」な声が聞こえ始めましたが、注意が必要です。
まずは、補正予算には全く反対しませんが、
「デフレ脱却」
「長期的な供給能力の拡大(というか「回復」)」
を目指す以上、「短期の一時しのぎ」は、結局は「やらんよりは、やった方がいい」程度の話で終わってしまうということ。
そもそも、10兆円が全て「投資」であったと仮定して(実際は違います)、その「程度」の規模では日本のデフレギャップは埋まらず、さらには国民が「自然災害から守られる」には至りません。来年もまた、自然災害で国民が死に、財産を失うでしょう。
それどころか、付け焼き刃的な補正予算は、
「ほら見ろ! 10兆円「も」カネを使ったのに、デフレ脱却はできないし、自然災害も防げない。財政出動はムダだ」
というレトリックに使われ、同時に、
「せっかく10兆円の補正予算を組んだにも関わらず、予想通り人手不足で消化しきれなかったじゃないか。財政出動はムダだ」
という主張を強化しかねません。
正しい財政出動は、規模に加えて「長期予算」です。あるいは、せめて「長期計画」。
長期で予算規模が増えていくことがコミットされて初めて、土木・建設業などは供給能力の強化(正しくは「回復」)に乗り出します。
結果的に、土木や建設業、あるいは「防災サービス」の供給能力が拡大していけば、今はもちろん、将来の国民も救われます。
この「短期的な補正予算」と、
「政府に財政的な予算制約がないという前提の長期的な供給能力回復を伴う財政の継続的な拡大」
の間の壁が大きく、越えられない。
やはり、MMT(現代貨幣理論)が説明した「貨幣の真実」が広く共有されるパラダイム・シフトが必要なのだと思います。
【歴史音声コンテンツ 経世史論】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※11月5日から上島嘉郎先生と三橋貴明の対談「自虐史観はなぜ始まり、深刻化したのか」がご視聴頂けます。
※11月5日から上島嘉郎先生と三橋貴明の対談「自虐史観はなぜ始まり、深刻化したのか」がご視聴頂けます。
さて、「氷河期世代の公務員採用」です。
『「就職氷河期」世代の支援 国家公務員への中途採用も 安倍首相
いわゆる「就職氷河期」世代への支援策を検討する、政府の新たな会議が開かれ、安倍総理大臣は、国家公務員への中途採用を実施するなど、政府としても就労支援に積極的に取り組む考えを示しました。
いわゆる「就職氷河期」世代の就労を促進するため、政府は、経済団体や労働組合、支援団体などが参加する新たな会議を設け、26日、安倍総理大臣や関係閣僚が出席して初会合を開きました。
この中では、中小企業の関係者から「職業訓練やハローワークの機能強化に取り組んでもらいたい」という要望が出されたほか、ひきこもりの人への支援に取り組む団体からは、「就労支援だけでなく、当事者や家族に寄り添った、きめ細かな支援が必要だ」といった指摘が出されました。
これを受けて、安倍総理大臣は、「『就職氷河期』世代の活躍の機会が広がるよう、経済対策も含め、あらゆる手段を尽くして対応していきたい。国みずからが積極的に動くという観点から、国家公務員の中途採用を今年度から具体的に取り組んでいく」と述べ、政府としても、就労支援に積極的に取り組む考えを示しました。(後略)』
いわゆる「就職氷河期」世代への支援策を検討する、政府の新たな会議が開かれ、安倍総理大臣は、国家公務員への中途採用を実施するなど、政府としても就労支援に積極的に取り組む考えを示しました。
いわゆる「就職氷河期」世代の就労を促進するため、政府は、経済団体や労働組合、支援団体などが参加する新たな会議を設け、26日、安倍総理大臣や関係閣僚が出席して初会合を開きました。
この中では、中小企業の関係者から「職業訓練やハローワークの機能強化に取り組んでもらいたい」という要望が出されたほか、ひきこもりの人への支援に取り組む団体からは、「就労支援だけでなく、当事者や家族に寄り添った、きめ細かな支援が必要だ」といった指摘が出されました。
これを受けて、安倍総理大臣は、「『就職氷河期』世代の活躍の機会が広がるよう、経済対策も含め、あらゆる手段を尽くして対応していきたい。国みずからが積極的に動くという観点から、国家公務員の中途採用を今年度から具体的に取り組んでいく」と述べ、政府としても、就労支援に積極的に取り組む考えを示しました。(後略)』
お分かりでしょうが、わたくしは氷河期世代(のみならず)を公務員採用していくことには賛成です。
日本の公務員対労働人口比率は、世界最低レベル。その状況で、国民のルサンチマンが煽られ、
「公務員を減らせ!」
「公務員給料を減らせ!」
との世論を受け、緊縮財政が進められ、パソナがボロ儲け。今や、地方自治体の公務員の三分の一が非正規。官が自ら、所得格差を拡大する、狂った共同体が我が国です。
というわけで、公務員を増やすのはいいのですが、プライマリーバランス黒字化目標がある限り、
「公務員を増やすならば、他の予算を削れ」
という政策にならざるを得ない。
加えて、現在の日本の公務員雇用には総定員法(行政機関の職員の定員に関する法律)の縛りがかかっています。
総定員法は、ずばり「法律」で国家公務員の人数の上限を定めているのです。
『第一条 内閣の機関(内閣官房及び内閣法制局をいう。以下同じ。)、内閣府及び各省の所掌事務を遂行するために恒常的に置く必要がある職に充てるべき常勤の職員の定員の総数の最高限度は、三十三万千九百八十四人とする。』
となると、就職氷河期世代を国家公務員として雇うと、
「その分、他の職員を削れ」
という狂った話になってしまいます。
「その分、他の職員を削れ」
という狂った話になってしまいます。
信じがたいでしょうが、これが日本の現実です。
というわけで、
「補正予算を組むならば、供給能力が回復すように長期の複数年度予算化」
「国家公務員を増やすならば、同時に緊縮前提の総定員法を改定せよ」
といった「突っ込み」をしなければなりません。さもなければ、補正予算も氷河期世代の公務員雇用も、「より状況を悪化させるために利用される」のが、現実の日本なのです。
「補正予算を組むならば、供給能力が回復すように長期の複数年度予算化」
「国家公務員を増やすならば、同時に緊縮前提の総定員法を改定せよ」
といった「突っ込み」をしなければなりません。さもなければ、補正予算も氷河期世代の公務員雇用も、「より状況を悪化させるために利用される」のが、現実の日本なのです。
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