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『日本の少子化をくい止めるにはーその2ー(前半)』三橋貴明 AJER2019.10.22

 

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12月21日(土)シンポジウム「令和の政策ピボットは実現可能なのか?」が開催されます。
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一般参加可能な講演会のお知らせ。
年末特別講演会「京都大学大学院教授、元安倍内閣・内閣官房参与 藤井聡様」
2019年12月4日(水) 18:45~ 東京都新宿区
【MMT (現代貨幣理論)を学び、日本経済を展望する】

 

三橋TV第167回【日本史上最も深い民主制の議論をしてみた】

https://youtu.be/r0wH3zlz6V4

 

 本日はチャンネル桜「Front Japan 桜」に出演します。
 
 さて、消費税が増税されましたので、予想通り法人税減税の議論が始まりました
 
自公税調議論スタート 企業支援に力点
 自民、公明両党の税制調査会は21日、それぞれ総会を開いて2020年度税制改正に向けた議論を本格スタートさせた。12月12日をめどに与党税制改正大綱を取りまとめる。10月に消費税率を引き上げたばかりとあって今回は増税を極力避け、企業に投資を促す法人税減税など企業支援策を中心に検討する見通しだ。(後略)』
 
 自民党の税調では、表向きは「投資減税」云々の議論がされますが、最終的には「単なる法人税減税」に落ち着くでしょう。何しろ、毎度毎度、「雇用減税」「投資減税」の議論がされるものの、普通の法人税減税に入れ替わり、「なぜ?」と思うパターンが繰り返されています。

 いや、もちろん、投資減税や雇用減税もやるのです。とはいえ、
そもそもデフレ期に、企業が投資をしたり、従業員給与を引き上げたり、処遇を改善したりするか!
 という話で、結局は「単なる法人税減税」分、配当金と自社株買いが増え、内部留保(現預金)が積みあがっていくという結末になっています。

 民間非金融法人企業の現預金は、恐ろしい状況になっており、すでに270兆円規模です。
 
【民間非金融法人企業の現預金(億円)】
出典:日本銀行 資金循環統計
 
 安倍政権が始まった2012年12月時点と比較すると、一般企業の現預金は80兆円近くも拡大したことになります。
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論】
※11月5日から上島嘉郎先生と三橋貴明の対談「自虐史観はなぜ始まり、深刻化したのか」がご視聴頂けます。
 
 安倍政権が本気で「デフレ脱却」を目指すならば、法人税はむしろ増税するべきです。企業が「過大な利益を残す」ことに対して罰金を強化するのです。

 もちろん、わたくしにしても企業経営者としては、法人税増税は嫌ですよ。とはいえ、それはミクロな話であり、マクロなデフレ脱却が目標ならば、法人税は増税です。

 利益を残すことへの罰金が増えれば、企業は投資(減価償却費)、人件費、交際費などの費用を拡大します。すなわち、消費・投資という需要が増えるのです。

 同時に、政府は財政拡大で需要を創出する
 
 需要拡大により、投資利益率が拡大すれば、初めて企業は本格的な設備投資に乗り出します。
 反対側で、法人税増税により「投資しない、給料上げない」ことに対する罰則を強化するわけです。

 結果的に、投資が拡大し、給料も引き上げられ、ようやく日本は本格的なデフレ脱却への途に就くことになるでしょう。

 ちなみに、現預金が膨れ上がっているからといって、「内部留保課税」などと、私有財産権の侵害をしてはいけません。やるなら、法人税増税です。

 そもそも、税金とはストック(資産)ではなく、フロー(所得)にかけるものです。所得がない者からは、税金を取らない。それでいいのです。

 そういう意味で、我が国には固定資産税(ストック課税)、消費税(所得がない者からも取る)という悪税があります。税金の役割、

1.ビルトインスタビライザー(埋め込まれた安定化装置)
2.所得再分配
3.租税貨幣論
4.政策的税制

 を無視し、弱者からも容赦なく採る「安定財源」にして、所得再分配どころか、逆累進課税。さらには、デフレ期に「消費に対する罰金を増やす」政策目的しかない消費税を増税する。

 反対側で、法人税を引き下げ、株主への配当金を増やす。自社株買いを促す。
 金持ちは、より金持ちへ。中間層は、貧困層へ。貧困層は、超貧困層へ。

 わが国の税制は、明らかに↑を目指している。ところが、国民が本質を理解しないため、事態が全く是正されない。

 税制は、国家の基本です。法人税減税+消費税増税は、
所得の有無にかかわらず、国民から税金を徴収し、企業に投資できる株主に配当金、自社株買いとして貢ぐ
 という政策的な目的しかありません。
 
 この現実を国民が共有し、正しい税制、具体的には「消費税廃止と法人税増税」を主張する政治家を押し上げていかなければなりません。このままでは、我が国は「狂った税制」により亡びます。
 
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