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『日本の少子化をくい止めるにはーその2ー(前半)』三橋貴明 AJER2019.10.22

 

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三橋TV第159回【防災投資で国富と「我々の預金」を増やそう!】
 
 さて、改めて安倍政権は民主党政権期よりも治水予算を使っていません。
 誤解をしている人が多いので、治水関係予算について当初予算、補正予算に、社会資本整備特別会計組み入れ分も含めてグラフ化しました。
 
【日本の治水関係予算(当初・補正・社会資本整備特別会計)の推移(億円)】
http://mtdata.jp/data_67.html#chisui
 
 自民党政権が治水予算を大幅に減らし、その後は民主党政権も、安倍政権も、治水予算を増やしていないこれが真実です。

 日本の治水関係予算は、補正を含めると1998年には2兆円を超えていたのです。当時は、97年の消費増税と公共事業削減で日本経済がデフレ化し、小渕内閣が大規模景気対策を打ったのです。

 98年の補正予算は、7000億円近くに達し、何と近年の当初予算に匹敵しています。当時の日本政府は、あるいは政治家は、国民を守るために「カネをケチる」ことはなかった。

 それが今や、98年の「補正」程度しか当初予算が組まれない。

 今の日本に必要なのは、治水や震災対策、無電柱化などの「国民を守るプロジェクト」に長期的に、継続的に、予算をコミットメントすることです。そうすることで初めて、土木・建設業が投資を拡大し、供給能力は回復していきます。 

 必要なのは、補正予算ではなく「複数年度予算」なのです。

 この複数年度予算が、財務省にとっては「敵」であり、ようやく18年度に国土強靭化の三年予算が組まれました。これは、財務省にとっては「許されざる暴挙」なのです。(あるいは「あり得ない敗北」)

 金額というよりは「複数年度予算」が問題なのですが(財務省にとって)、とはいっても、土木・建設業側からしてみれば、
「そりゃあ三年間は予算があるのかも知れないが、所詮三年じゃないか。その後、予算が無くなるなら、投資はできない
 となってしまい、本格的な供給能力の回復はないでしょう。
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論】
※特別コンテンツ「MMTポリティクス 第三回」が視聴可能となりました。
※11月5日から上島嘉郎先生と三橋貴明の対談「自虐史観はなぜ始まり、深刻化したのか」がご視聴頂けます。
 
アングル:水害で緊急対策延長論浮上、11月中旬にも取りまとめか
 台風19号やそれに続く豪雨などの被害を受け、政府・与党は昨年度に打ち出した3カ年の国土強靭化緊急対策の拡充を検討し始めた。まずは水害に関する対策パッケージを取りまとめた上で、補正も検討し、「必要なものを上乗せする」(菅義偉官房長官)構えだ。ただ、こうした対策には人手不足の制約もあり、緊急対策の期間を延長するという議論が主軸になりつつある。11月中旬にも概要を取りまとめるのがメインシナリオだ。 (中略)
 与党内でも、治水対策は「時間がかかるため短期の補正予算で対応する性格でない」(幹部周辺)との声がある。台風19号で堤防が決壊した千曲川や阿武隈川は、決壊箇所の修復にどのような工事が必要か検証する有識者委員会が立ち上がったばかりで、「結論が出るには数カ月かかる」(国土交通省幹部)状態だ。
 人手不足に加え「長年の公共工事縮小で地方の建設業者数が減少しており、公共工事を急には増やせない」(同幹部)との指摘もある。このため支出抑制を重視する財務省内でも「水害対策では、建設事業者が増えるような政策の方向性も打ち出す必要があるのでは」(幹部)と懸念する声も聞かれ始めた。
 与党内は大規模な水害対策を要望する声が多いが、「短期間の支出を拡大しようとすれば『人手不足で無理』と財務省から足元を見られるので、期間を延長することで規模を拡大したい」(自民幹部)との意見が主軸になりつつあるようだ。
 財務省内でも、消費増税対策として2019年度と20年度の本予算に計上される2兆円規模の臨時・特別の措置がなくなる21年度以降の対応が議論されており、水害対策も、細く長く支出を拡大する形で議論される公算が大きそうだ。(後略)』
 
「長年の公共工事縮小で地方の建設業者数が減少しており、公共工事を急には増やせない」(国土交通省官僚)
「水害対策では、建設事業者が増えるような政策の方向性も打ち出す必要があるのでは」(財務省官僚?)
 今頃、何言っているんだ、という話ですが、国土交通省の官僚としては、以前から理解はしていたものの、「世論」「空気」により口に出せなかっただけなのかも知れません。

 財務省の官僚までもが「建設事業者が増えるような政策の方向性」と本当に言い出したとしたら、「変化の兆し」と捉えることができるのかも知れません。変化はしていませんが。
 
 添田氏の寄稿からも分かりますが、特に地方の河川はメンテナンスすらされておらず、しかもメンテナンスをするための土木・建設業者すらいない。

 すでにして、発展途上国化しているのです。

 この状況を改善する「変化」とは、具体的にはPB黒字化目標の破棄と、複数年度予算です。予算的な障壁を取り払い、狂ったトレード・オフ思想(こちらを増やすなら、あちらを削る)、選択と集中(全体が増えないので、東京に集中)といった根本発想を転換する。

 その上で、二十年、三十年かけて「国民を守る防災投資」の拡大をコミットし、できれば複数年度の予算を可決するのです。国土強靭化で三年の予算を組めた以上、二十年も可能だと思います。

 要するに、政治家のやる気の問題なのです。それにも関わらず、自民党の政治家が「PB黒字化目標の破棄」や「国民を救う複数年度予算」の議論に入らないというならば、国民としては「野党」に知恵をつけ、支援していくしかありません。

 しかも、三橋TVで解説した通り、防災投資は、
「国民を守る国富(ダムなど)が創出され、国民の預金が増え、さらに国債の貨幣化(日銀国債買取)をすれば、政府の債務負担すら残らない」
 というのが、会計的な真実というか「現実」なのです。

 国民を守る国富を建設し、国民の預金を増やそう。政府には何の負担も生じない。一体、何が問題なんだ、という話なのでございますよ。
 
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